BTが明かすiZotope Stutter Edit 2開発の裏側

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複雑でクリエイティブなエフェクト・プロセスを
より直感的で楽しいものにするプラグインなんだ

 トランス/テクノのシーンで一躍脚光を浴び、第53回グラミー賞にもノミネートされたアメリカの音楽プロデューサー=BTことブライアン・トランソー。彼がiZotopeと共同開発したプラグインStutter Editは2011年に発売され、さまざまなスタッター・エフェクトを指一本で実現できるものとして人気を博した。それから約10年の歳月を経て、同プラグインはStutter Edit 2として復活。今回は開発者であるBTに、その制作の裏側を伺った。

より高いサウンド・デザインの可能性を備える

—Stutter Edit 2を開発するきっかけは何でしたか?

BT まずStutter Edit 1については、とても誇りに思っている。テイラー・スウィフトなどの作品をはじめ、映画『スター・ウォーズ』や『ストレンジャー・シングス』などの予告編や劇中の音楽でStutter Edit 1が用いられた。しかし、まだまだたくさんのアイディアがあったので、今回のStutter Edit 2を作ろうと思ったんだ。Stutter Edit 2は、以前よりもはるかに高いサウンド・デザインの可能性を秘め、現代的にアップデートされている。世の中の人々が、これを使ってどんなに素晴らしい音楽を作るのか待ち切れないね。

 

—開発プロジェクトには、どのくらいの人数がかかわっているのでしょうか?

BT 基本的には僕とJUCEのプログラマーの2名だ。僕がCYCLING '74 Maxや音楽プログラミング言語CSoundなどを使ってプロトタイプを作り、それからサウンド・デザインの可能性を示すためにビルドを生成した。その後、iZotopeの優秀なスタッフたちが各パッチの作成や、サウンド・デザイン、ベータ版の試作、ビジネス・アナリティクスやマーケティング戦略など、製品をより良いものにするためのあらゆることを手伝ってくれたんだ。

 

—Stutter Edit 2の開発では、どのようなことが実現されましたか?

BT Stutter Edit 2でどうしてもやりたかったことは、より精巧で複雑な効果を生成する機能を導入することだった。そのために、バッファーをカットできる仕様と新しいDSPを採用したんだ。もう一つは各パラメーターに“Curve Editor”と呼ばれるモジュレーターを搭載したこと。Stutter Edit 1では、エフェクトのスタート/エンド・ポイントとその間の調整ができたけど、Stutter Edit 2ではそれぞれのポイントを時間ごとに変化させることができるようになった。これによって、Curve Editorを使えば非現実的なサイド・チェイン・トリガーやリズミック・ゲートを設定することができるんだ。そして、それは複雑なのに音楽的なモジュレーションを施すことができるとも言える。Stutter Edit 2で表現できるサウンドは無限に広がり、目覚ましい進化を遂げたんだ!

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レイアウトが一新されたStutter Edit 2。最上段の中央には、複数のエフェクト・モジュールを組み合わせたプリセットを格納するジェスチャー・バンクを備え、その下段にはStutter Edit 2の心臓部となるSTUTTERとBUFFERモジュールが配置されている。画面左端には、そのほかのモジュール・エフェクトが縦一列にならび、クリックするとそれぞれに対応する設定画面が表示される仕組みとなっている。画面右端には、複雑なモジュレーション設定が可能なCurve Editorを搭載。その下部にはリミッターを装備したアウトプット・セクションがスタンバイする

優れた完成度を誇る各エフェクト・モジュール

—画面レイアウトも一新されましたね。

BT 各パラメーターに搭載したCurve Editorやエフェクト・モジュールの設定画面を見やすくする必要があった。その結果、今回のように各画面を収納できるレイアウトに変更したんだ。

 

—エフェクト・モジュールには、コム・フィルター/コーラス/リバーブが新しく追加されています。

BT 今回もすごく魅力的なエフェクトがそろっている。特にリバーブ・モジュールはとてもクールで、これだけで一つの完成したプラグインとして成立すると思うよ。リバーブ・モジュールには13個のパラメーターがあり、それぞれのCurve Editorを使って全く新鮮なエフェクト処理を施すことができる。ピッチ・ベンドや自己発振もでき、それらを使ってワームホールを移動するようなイメージのサウンドを作ることも可能なんだ! そのほかコム・フィルターやコーラスも、素晴らしい完成度になっているよ。

 

—プリセットについてはいかがですか?

BT iZotopeの素晴らしいサウンド・デザイナーたちが、ロック/EDM/ヒップホップなどのあらゆる音楽ジャンル、特定の楽器やボーカル、映画トレーラー向けに素晴らしいプリセットを作ってくれた。もちろん、僕もサイド・チェインやトランス・ゲートを駆使した近未来的なプリセットを作成したよ。以前のバージョンでは全くもって不可能だった、新鮮なサウンドをたくさん体験できるだろう。

 

—Stutter Edit 2の開発で特に印象に残っていることはありますか?

BT ソフトウェア開発では、コミュニティとチームを集めることについて多くを学んだ。自分とは違ったアイディアや製品の使い方を持つ人たちと一緒に仕事をすることで、これまで考えたこともなかった可能性を見出すことができたんだ。特にiZotopeと仕事をするときは、スタッフがとても素敵で優秀な人たちばかりだから興奮するね。

 

—最後に、日本の音楽制作者やiZotopeユーザーにメッセージをお願いします。

BT Stutter Edit 2は、複雑でクリエイティブなエフェクト・プロセスをより直感的で楽しいものにするツールなんだ。これを日本の皆さんにも提供できることを幸せに思うよ。

 

製品情報

www.izotope.jp

iZotope Stutter Edit 2

20,900円(税抜)

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