本特集ではさまざまな未来系プラグイン・エフェクトを紹介しているが、近年の音楽シーンでもう一つ無視できないのがローファイ系プラグインだ。近年、チルやローファイ・ヒップホップ/ハウスの人気は高まり、同ジャンルの制作に携わるクリエイター/エンジニアも増えた。ここでは、MONJOE(DATS)、tofubeats、KEITA SANOにお気に入りのローファイ系プラグインについてアンケートを行った。
MONJOE(DATS)
【Profile】4人組バンドDATSでボーカル/シンセ/作曲を担当。向井太一やFIVE NEW OLD、雨のパレード、AAAMYYYといったアーティスト/バンドへの楽曲提供やアレンジ、リミックス、コラボレーションなど幅広い活動を展開している。
Recent work
『Stunning Misshapes(feat. Garden City Movement)』
MONJOE
(RALLYE LABEL/SPACE SHOWER MUSIC)
手軽にアナログ的な質感を付加できるので気に入っています
Q1. お気に⼊りのローファイ系プラグインは?
WAVESのテープ・シミュレーター、Kramer Master Tape。以前友人に“打ち込みのトラックにアナログな質感を加えたい”と相談したら、これをお薦めされました。
Q2. 好きな機能やパラメーターは?
ローファイ・ヒップホップを制作するときは、画面右側にある“NOISE”でテープ特有のひずみ感を加えたり、その左隣にある“WOW&FLUTTER”で音の揺れ具合を調整したりしています。Kramer Master Tapeは、手軽にアナログの質感を付加できるので気に入っていますね。
Q3. お勧めの使い方やポイントなど
画面左側にある“RECORD LEVEL”と“PLAYBACK LEVEL”で、かかり具合や音量バランスを調整するのがポイント。またオケになじまずに困っているトラックがある場合、一度Kramer Master Tapeを挿してみるとよいでしょう。いろいろな設定を試して、自分だけのクリエイティブな使い方を見つけるのもプラグイン・エフェクトの醍醐味ですね。
tofubeats
【Profile】1990年生まれ、神戸出身のプロデューサー。森高千里、藤井隆、神聖かまってちゃんのボーカル=の子など人気アーティストと数々のコラボを行い注目を集める。6月18日には、デジタル・シングル『SMILE』をリリースした。
Recent work
『SMILE』
tofubeats
(ワーナーミュージック・ジャパン)
クリエイターなら一つ持っておくと役に立つことでしょう
Q1. お気に⼊りのローファイ系プラグインは?
MCDSP FutzBox。使い始めるきっかけとなったのは、ある日突然MCDSPの設立者であるコリン・マクドウェル氏がうちの事務所に来たことです。最初はデモ版を使っていたのですが、あらゆる楽曲で使いまくってしまい、いつのまにかFutzBoxは手放せないプラグインとなりました。
Q2. 好きな機能やパラメーターは?
“SIMライブラリー”というプリセットです。“ラジオ”“イアフォン”“カー・ステレオ”など、求めるサウンドに近くなるようなタイトルを見つけたら、次々と試していくのがお勧め。内蔵のディストーションもなかなか良い感じで効く上、種類も豊富なので便利です。
Q3. お勧めの使い方やポイントなど
ボーカルに使うことが一番多く、ラップをひずませたいときにも使います。クリエイターなら、FutzBoxのような汚し系のプラグインを一つ持っておくと役に立つことでしょう。
KEITA SANO
【Profile】岡山に居ながらMister Saturday NightやLet's Play House、Rettl Flettaなど世界中の有力ハウス・レーベルから作品をリリースするアーティスト。レーベルMAD LOVE RECORDSの主宰でもある。ユニークなローファイ・ハウスが特徴的だ。
Recent work
『In The Pool - EP』
KEITA SANO
(Esuoh)
マスターに挿すと“良い感じ”にひずんでくれます
Q1. お気に⼊りのローファイ系プラグインは?
ディストーションのCAMEL AUDIO CamelCrusherとテープ・エミュレーターのSOFTUBE Tapeです。テープ・モデリングのプラグインはいろいろありますが、その中でもTapeが好きですね。アウトボードを使ってミックスした後、マスターにこのTapeを挿すと“良い感じ”にひずんでくれるので気に⼊っています。
Q2. 好きな機能やパラメーターは?
Tapeは3種類のテープ・マシンをエミュレーションしており、“TYPE”にあるA/B/Cのボタンでサウンド・キャラクターを切り替えることができます。個人的にはBとCが好きです。言葉にするのがとても難しいのですが、どちらも絶妙なローファイ・サウンドにすることが可能です。
Q3. お勧めの使い方やポイントなど
画面右端にある“TAPE SPEED”を“30”に設定すると、自分好みのローファイ感を得やすいです。デモ版があるので、まずはご自身で試してみることをお勧めします。