UNIVERSAL AUDIO UAFXペダルの実力をパフォーマンス動画付きで解説!

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UNIVERSAL AUDIOから発売されたコンパクト・エフェクター、UAFXペダル・シリーズ。UAFX Golden Reverberator(リバーブ)、UAFX Starlight Echo Station(ディレイ)、UAFX Astra Modulation Machine(モジュレーション)の3機種を、エレクトロニック・ミュージックのシステムに取り入れ、アーティストYuichiro Kotaniがアンビエント曲「8.2.2021」を制作。レコーディングの様子をムービーでご覧いただき、Kotaniによる解説を通してUAFXペダル・シリーズの魅力&活用法に迫ろう。

Photo:Chika Suzuki Movie:Kazuki Kumagai

Yuichiro Kotaniによる楽曲「8.2.2021」のマルチファイル(24ビット/48kHz WAV)がダウンロード可能! 各トラックを単体で聴き、UAFXペダル・シリーズの響きをお楽しみください。
※ファイル・サイズ(約370MB)にご注意ください。

※ファイルをダウンロード後、TwitterやFacebookといったSNSおよび掲示板などでのファイル共有はご遠慮ください。
※一度ダウンロードしたファイルは必ずお客様ご自身でバックアップ、管理をお願いいたします。
※ファイル種別:zip(内容:24ビット/48kHz WAV×9トラック)

 

「8.2.2021」はYuichiro KotaniのBandcampでも公開中!

yuichirokotani.bandcamp.com

UAFX Golden Reverberator

46,200円前後

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 1960年代のアメリカ製ギター・アンプに備わっていた真空管式スプリング・リバーブのエミュレーション“SPRING 65”、1950年代後半に開発されたプレート・リバーブに基づく“PLATE 140”、スタジオ定番と目されるデジタル・リバーブを再現した“HALL 224”という3つのアルゴリズムを搭載。製品登録時に“Chamber & Plate 224”エフェクトを無料ダウンロードして追加できる。

UAFX Astra Modulation Machine

46,200円前後

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 1976年に発売された日本製のバケツ・リレー式コーラス/ビブラートを再現する“CHORUS BRIGADE”、1970年代後半のバケツ・リレー式スタジオ用フランジャー/ダブラーがモデルの“FLANGER DBLR”、1960年代のアメリカ製ギター・アンプに備わっているオプティカル・チューブ式トレモロを忠実に再現したという“TREM 65”を搭載。製品登録時に“Phaser X90”と“Dharma Trem 61”を無料ダウンロードして追加できる。

UAFX Starlight Echo Station

46,200円前後

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 1970年代の有名テープ・エコーの回路を完全再現したという“TAPE EP-III”、1980年前後のアメリカ製バケツ・リレー式ディレイがモデルとなった“ANALOG DMM”、ピンポン・ディレイやモジュレーションが得られるハイファイ志向の“PRECISION”といった3種のアルゴリズムを備える。製品登録時に“Cooper Time Cube”エフェクトを無料ダウンロード&追加可能。

【動画】How to use UAFX Pedal Series〜Performed by Yuichiro Kotani

 ここでは、ムービーの時間軸に沿って、Yuichiro KotaniにUAFXペダル・シリーズで何をやっているのかを解説していただこう。

 ムービーでの使用機材 

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Yuichiro Kotaniのスタジオ機材の一部。ムービーの楽曲では、写真左のUAFXペダル・シリーズと中央のモジュラー・シンセのほか、MOOG DFAMやROLAND Juno-60などのシンセも使われた。モジュラー・シンセについては、主に下記のモデルを使用。

●VERBOS ELECTRONICS Complex Oscillator(オシレーター)
●ANALOGUE SYSTEMS RS-500E(フィルター)
●DOEPFER A-140 ADSR(フィルター・エンベロープとして使用)
●SQUARP INSTRUMENTS Hermod Modular Brain(MIDI→CVコンバーターとして使用)

00:25  DELAY 

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 Juno-60につないだUAFX Starlight Echo Stationのディレイ・タイムを回し、エフェクト成分のピッチをリアルタイムに変化させています。タイムを速めるとピッチが上がり、遅くするとピッチ・ダウン。アルゴリズムはANALOG DMMを使いました。03:25辺りは、その効果が最も分かりやすい個所です。Juno-60ではフィルター・カットオフを動かし、送り量を調整。ディレイ・タイムを回しているときは閉じ切って、エフェクト成分のみが聴こえるようにしています。

01:07  REVERB 

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 UAFX Golden Reverberator(HALL 224)をパーカッションに使い、ドライ/ウェット・バランスを調整。これとリバーブ・ディケイのコントロールが肝でした。ちゃらんちゃらん……と鳴らし続ける場合は音が連なりますので、ディケイを伸ばす必要は無いのですが、シャッと一振りするようなフレーズでは長くして残響を際立たせています。またUAFX Golden Reverberatorにはトーン・コントロールがあるため、残響を目立たせたいときにトレブルを上げることもありました。パーカッションには常にリバーブとディレイをかけ、音を聴きながらかかり具合を調整しています。

01:43  MODULATION 

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 DFAMのノイズにUAFX Astra Modulation Machineのトレモロ(TREM 65)をかけ、モジュレーション周期を徐々に速めています。これにより“シャ~”という音が“シャッシャッシャッ……”と刻むように変化していきますね。

02:00  DELAY   REVERB 

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 BUCHLA系のComplex OscillatorとEMS Synthiのフィルターを再現したRS-500Eを演奏。UAFX Golden Reverberator(HALL 224)とUAFX Starlight Echo Station(TAPE EP-III)をかけっぱなしにして、ビンテージっぽいリッチな質感を狙いました。

03:22  MODULATION 

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 アウトロでポイントになったのはUAFX Astra Modulation Machineのフランジャー/ダブラー(FLANGER DBLR)です。Juno-60のアルペジオにかけているのですが、そのテンポにモジュレーション周期を合わせないことで粒立ちを弱め、持続音的に聴かせています。存在感の強いアルペジオだったので、にじませた方が曲のエンディングにマッチするだろうと思ったんです。実はイントロでも同様の処理を行っていて、緩やかに導入していく感じを演出しています。

UADのエミュレーション能力を踏襲

 UAFXペダル・シリーズは、往年のハードウェア・エフェクトを再現しています。確かにどのモデルもビンテージライクですし、UADプラグインのハードウェア・エミュレーションのキャラクターを色濃く受け継いでいる印象。例えばUAFX Starlight Echo Stationにはテープ・エコーのエミュレーションが入っていて、ディレイ・タイムをいじると本当にテープを扱っているような感覚がします。つまり挙動にも再現性の高さを感じるので、その辺りがUNIVERSAL AUDIOだからこそ成せる業なのではないかと思うんです。

 

 今回、最初にビンテージ的だと感じたのはUAFX Golden Reverberator。特にPLATE 140というアルゴリズムです。機種名の“Golden”は言い得て妙だと思います。僕は1960~70年代の音楽を聴くと、プレート・リバーブなどの響きから音がキラキラ光っているような印象を受けるんです。派手だったりバブリーなきらびやかさではなく、上質でリッチな黄金感というか、聴くだけで豊かな気分になれる響き。オフィシャルの製品動画を見たときに、その感じがよく表現されていると思ったので、僕もUAFX Golden Reverberatorにビンテージ系のシンセサイザー・モジュールを組み合わせ、良き時代の黄金感を出してみようと考えました。

素性が良いから“かけっぱなし”にもできる

 UAFX Starlight Echo Stationはエミュレート元のチョイス(3種類のアルゴリズム)が面白い。ディレイ・タイムをシーケンスのテンポに合うよう設定し、フレーズにちょっとした変化を加える使い方にはPRECISION(デジタル・ディレイ)が適しているし、タイムを触ってピッチを変えるという飛び道具っぽい効果はTAPE EP-III(テープ・エコー)やANALOG DMM(アナログ・ディレイ)で作り出せます。しかもTAPE EP-IIIとANALOG DMMでは、タイムをいじったときの振る舞いが全く違うので、ソースによって使い分けが可能。また、個別のペダルとして作られることの多い3種類のディレイが、一台になっているのもユニークです。各アルゴリズムの3つのバンクでは音のキャラクターを変えられますが、その変化は繊細。だからこそ、表情が伝わりやすい音楽としてアンビエントで使ってみることにしました。

 

 以上2機種は、派手な効果を生み出す以上に、音自体の雰囲気を作るのに貢献しそうです。UAFX Astra Modulation Machineも同様で、トレモロをスライサー的にかけるような攻めの音作りにも使えるものの、基本はビブラートやコーラスなどを“かけっぱなし”にしておくような使い方なのかなと。音の素性が良いからこそ可能になる使用法ですね。

Yuichiro Kotani【Profile】米バークリー音楽大学で学んだ後、近年はアーティストとしてAll Day I DreamやSag & Tre、Loot Recordingsといった欧米の人気レーベルからディープ・ハウスをメインに発表。国内では広告音楽制作やメジャーへの楽曲提供を行うほか、モジュラー・シンセでのライブを積極的に展開。

 

UNIVERSAL AUDIO UAFXペダル・シリーズ

オープン・プライス

(市場予想価格:各46,200円前後)

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SPECIFICATION(共通)
●入力:ライン・インL/R(フォーン) ●出力:ライン・アウトL/R(フォーン) ●入力インピーダンス:500kΩ(モノラル)、1MΩ(ステレオ) ●出力インピーダンス:500Ω ●バンク:3種類(A/B/C) ●電源:専用パワー・サプライPSU-GP1-WW(3,300円前後)など別売電源が必要 ●外形寸法:92(W)×65(H)×141(D)mm ●重量:567g ●UAFX Controlモバイル・アプリ:iOS/Android対応、製品登録/無料エフェクトの入手/バイパス・モードの設定などに使用 ●UAFX Controlデスクトップ・アプリ:macOS 10.14以降/Windows 10に対応、製品登録/無料エフェクトの入手/ファームアップなどに使用

製品情報

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