サンレコの連載でもおなじみのSANDISKと言えば、フラッシュ・メモリー・ストレージの雄として長年の実績を誇るブランド。そのSANDISKを傘下に持つウエスタンデジタルが、より高度なニーズに向けて始動させたのがSANDISK PROFESSIONALだ。近年は音楽活動と並行して映像制作をこなす人が増えているが、彼らにとってSANDISK PROFESSIONALはいかなる恩恵をもたらすのか? その製品をサウンド・エンジニアで映像クリエイターの森田良紀氏にレビューしてもらった。
Photo:Chika Suzuki
Pro-Dock 4|Card Reader Docking Station
最大4つのカード・リーダーを入れて、同時にデータを取り出せる(オフロードできる)Thunderbolt 3接続のドッキング・ステーション。対応リーダーはSANDISK PROFESSIONAL Pro-Readerシリーズで、CF、SD、microSD、CFast、CFexpress、RED MINI-MAGをサポート。接続中のコンピューターや周辺機器を87Wの電力で充電できる給電機能、イーサーネット端子、映像出力、USB-C端子×2(USB 3.2 Gen 2)、USB-A端子×2(USB 3.0)、ヘッドセット端子(ステレオ・ミニ)なども備え各機器のターミナル的な役割を果たします。
作業スペースの“ターミナル”になり得る一台
カード・リーダーやUSBハブを一体化させた製品は各社から出ていますが、Pro-Dock 4はストレージ・メーカーが作っただけあって、必要なリーダーを最大4つ選んで使えるのが魅力です。例えばSDカードのリーダー。僕が見てきた一体型製品では1つあれば御の字でしたが、Pro-Dock 4なら“SDカード4枚を同時にオフロード”といったことも可能。また、リーダーを本体に差し込む仕様なので、ケーブルレスでコンピューター周りがすっきりします。
対応リーダーのPro-Readerシリーズは単体でも使用でき、Mac/WindowsとUSB-Cで接続します。どの製品もアルミ筐体を採用し放熱性を高めているため、データの取り出し中にもエラーが起こりにくいでしょう。廉価なリーダーとは信頼性が格段に違うと思います。Pro-Dock 4に差し込むと、コンピューターとはThunderbolt 3で通信。USB接続の一体型製品と違って、複数のメディアを同時にオフロードする際、速度がひどく落ちるようなことはないはずです。
Pro-Dock 4にはカード・リーダーのほか、LANケーブルやディスプレイ、ストレージなどさまざまなものを接続できます。接続中の機器への給電も行えるので、よく使うものをつなぎっぱなしにしておけば、外から帰ったときなどもノート・パソコンをつなぐだけで作業を始められます。ノートにあれとこれをつないで……というのを毎回やっている人は、手間やストレスの軽減になるかもしれません。外出先とスタジオで同じノートを使っている人にうってつけだと思いますし、最近はノート一台で映像編集から完パケまで行う人も増えているので、設置スペースさえ確保できれば使い勝手は抜群でしょう。
G-Drive ArmorLock SSD|Portable SSD
ロック機能を備え、アクセス権を持つ人だけが使える外付けSSD。ロックのオン/オフはiOS/Android対応のスマートフォン・アプリWESTERN DIGITAL ArmorLockで行い、スマホの持ち主でなければ認証されないため、パスワードよりも安全と言えるでしょう。コンピューターには、本体のUSB-C端子からUSB 3.2 Gen 2で接続。最大速度は読み出し/書き込み共に1000MB/秒となっています。256ビットAES-XTS形式のハードウェア暗号化、IP67対応の防塵/防水性能、購入後5年間の製品保証も魅力。
スマホとの連携でセキュリティを強化したSSD
専用のスマホ・アプリでロックのオン/オフを行うユニークな外付けSSDです。まずは、本体背面のQRコードをアプリでスキャン。すると“ロック済み”の表示が現れるので、タップしてロックを解除します。このスマホが“マネージャー”としてアプリに登録され、ほかのスマホでQRコードをスキャンしてもマネージャーからの許可が無ければロックを解除できなくなるため、第三者にアクセスされる危険性が極めて低いと言えます。
マネージャーが許可した場合は、任意のユーザーを“読み取り専用”にしたり無効にしたりできます。ロックが最後に解除された場所をアプリ上の地図に表示させることも可能なので、本体をチームで共用する際に管理しやすいでしょう。アプリにはMac版も用意されていますが、“マネージャーからの許可あってのロック解除”という仕組みを徹底しています。パスワードで解除するタイプのストレージよりセキュアでしょうし、指紋認証機能が故障して解除できない!といったトラブルもありませんから、世の中に公表される前のデータを持ち運ぶ映像や音楽のクリエイターにとっては安心感が違うと思います。
速度は読み出しが最大1000MB/秒。ハードウェア暗号化を感じさせないほどの速さで、映像編集のワーク・ディスクとしても機能します。
※記事中に掲載の製品はすべてオープン・プライス。記載価格はすべてioPLAZAでの販売価格
後編では、外付けHDD(RAID)G-RAID Shuttle 4のレビューをお届けします。
森田良紀
【Profile】studioforestaを拠点として録音からミックス、マスタリング、映像撮影、配信まで行う。ゆず、大森靖子、清春、ビッケブランカ、SEKAI NO OWARI、AIなどの映像や生放送番組の制作に携わる