映像制作を支えるSANDISK PROFESSIONAL〜RAIDの外付けHDDを使用レポート

映像制作を支えるSANDISK PROFESSIONAL〜RAIDの外付けHDDを使用レポート

SANDISK PROFESSIONALのドッキング・ステーション&ロック付きSSDのレビューに続いて、ここでは同ブランドの外付けHDD(RAID)をサウンド・エンジニア/映像クリエイターの森田良紀氏がレポート。プロの映像制作におけるメリットとは?

Photo:Chika Suzuki

G-RAID Shuttle 4|External HDD(RAID)

G-RAID Shuttle 4|286,000円前後(24TB)、473,000円前後(48TB)、682,000円前後(72TB)/いずれも受注生産。Mac / Windows対応

G-RAID Shuttle 4|286,000円前後(24TB)、473,000円前後(48TB)、682,000円前後(72TB)/いずれも受注生産。Mac / Windows対応

 Thunderbolt 3接続の外付けHDD。USB-Cケーブルでの接続にも対応します。全4台のHDDを内蔵しRAID(ディスク・アレイ)を構成することで、転送速度を向上させたり、データ損失のリスクを軽減。RAIDの方式は標準でRAID 5ですが、RAID 0/1/10のほかJBODもサポート。RAIDの構成にハードウェアRAIDを採用しているので、コンピューターへ負荷をかけずにRAIDの恩恵を享受できます。最大速度は読み出し1000MB/秒、書き込み1100MB/秒。容量は72/48/24TBの3種類を展開。

背面にはThunderbolt 3端子が2つあり、最大5台のG-RAID SHUTTLE 4をデイジー・チェイン可能。転送速度は異なるが、Thunderbolt 3端子にUSB-Cケーブルを差してのコンピューター接続にも対応する

背面にはThunderbolt 3端子が2つあり、最大5台のG-RAID SHUTTLE 4をデイジー・チェイン可能。転送速度は異なるが、Thunderbolt 3端子にUSB-Cケーブルを差してのコンピューター接続にも対応する

8K編集にも耐える大容量ワーク・ディスク

 HDDですが、RAID 5でスピードを担保しつつ設計されているので、十分に速いです。BLACKMAGIC DESIGN Disk Speed Testで測ってみると、読み出しは約700MB/秒、書き込みは約900MB/秒という結果に。併用するコンピューターによって少し差が出るようですが、これだけあればバックアップ用のみならず、映像編集のワーク・ディスクとしても問題無いと思います。Thunderbolt 3接続もポイントが高く、USBより安定性や信頼性に分があるでしょう。

 内蔵のHDDはWESTERN DIGITAL Ultrastarシリーズというデータ・センター用のハイグレードな製品なので、負荷をかけてもエラーが出づらいと思います。編集や書き出しがストレスフリーに行えるのは、7200rpmという回転数もあってのことでしょう。また万が一、4つのHDDのいずれかが損傷してしまっても、交換すればデータ復旧できる可能性が高い。これはRAID 5の強みですね。

 さて、映像の制作というものは、とにかくメディアやストレージの容量を要するものです。高画質なファイル・フォーマットでは40分で500GBを超えることもあり、音楽アルバム・セッションの何倍!?という感じ。編集して書き出して……とやっていると瞬く間にストレージを圧迫しますし、一般的な外付けSSDで8Kの編集などをしていたら容量不足に悩まされがちです。でも今回試したのは72TBのモデル。頼もしい容量で、8K編集にも全く問題ありません。価格は約68万円ですが、超大容量のワーク・ディスクと考えれば“高くない”と思う人も居ると思います。これほどの容量を必要とせず、かつRAIDのSSDが欲しいという方はSANDISK PROFESSIONALのG-RAID Shuttle SSD(最大32TB/1,375,000円前後)をチェックしてみましょう。

 今回、G-RAID Shuttle 4を試してみて、とても気に入りました。欲しいです!(笑)。ワーク・ディスクとして使っているSSDは最大でも4TB程度なので、データをどこかに移してから消去し、ほかの仕事に使うこともあるわけですが、時間も手間もかかりますよね。G-RAID Shuttle 4ならその必要が無く、データの管理も楽。導入しておけばストレスも減らせるし、“買っておいて良かった”と思えるはずです。手放せない一品になるでしょうね。

総評:信頼性と現場目線の性能がストレージに求めるもの。SANDISK PROFESSIONALにはそれがあるんです

森田良紀

 SANDISK PROFESSIONALの製品は、プロの映像クリエイターのほか、DIT(Digital Imaging Technician)と呼ばれる職種の方にも有用だと思います。映像クリエイターは創造性にたけていても、全員がデジタル機器に詳しいわけではないので、大きな現場になるとファイルの管理が追い付かなくなることもあります。DITは、撮影したそばからファイルをストレージに取り込んで管理するなどデジタル領域の業務を担うため、特にPro-Dock 4やG-RAID Shuttle 4などは必要とされるはずです。撮影に使う記録メディアは決して安いものではありませんから、データを素早く取り出せるPro-Dock 4のような機材があれば次の撮影に回しやすい。また、現場で複数のストレージにバックアップを取るのは難しいと思いますが、G-RAID Shuttle 4ならRAIDが組んであるのでデータ損失の可能性が低いわけです。持ち運びを想定した天面のハンドルからも、現場への目線を感じますね。

 総じて、ストレージに求めるものは信頼性。僕は何が何でもWESTERN DIGITALという人間ではありませんが、例えばバルクのHDDにしても不良品に出くわした記憶が無く、気付けばWESTERN DIGITALやSANDISKのストレージをよく使っていました。撮影用メディアにもSANDISKの製品を愛用していて、周りにユーザーも多いので、同じメーカーが手掛けているものとして信頼感があります。また信頼性と価格のバランスが良く、今後はSANDISK PROFESSIONALの製品にもアンテナを張っていきたいですね。

森田氏が、納品済み映像の保管に使用しているWESTERN DIGITALのバルクHDD=WD60EZAZ。6TBの大容量モデルがズラりと並ぶ

森田氏が、納品済み映像の保管に使用しているWESTERN DIGITALのバルクHDD=WD60EZAZ。6TBの大容量モデルがズラりと並ぶ

写真手前は、ワーク・ディスクなどとしても活用してきたSANDISK Extreme Portable SSD。奥に見えるのは、撮影用に使っているSANDISKのメディアだ

写真手前は、ワーク・ディスクなどとしても活用してきたSANDISK Extreme Portable SSD。奥に見えるのは、撮影用に使っているSANDISKのメディアだ

※記事中に掲載の製品はすべてオープン・プライス。記載価格はすべてioPLAZAでの販売価格

 

前編では、ドッキング・ステーションのPro-Dock 4、ロック付きSSDのG-Drive ArmorLock SSDをレビューします。

 

森田良紀

森田良紀
【Profile】studioforestaを拠点として録音からミックス、マスタリング、映像撮影、配信まで行う。ゆず、大森靖子、清春、ビッケブランカ、SEKAI NO OWARI、AIなどの映像や生放送番組の制作に携わる

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