CHORD ELECTRONICS Mojo 2 〜Rock oN Monthly Recommend vol.48

CHORD ELECTRONICS Mojo 2 〜Rock oN Monthly Recommend vol.48

 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞くRock oN Monthly Recommend。今回はCHORD ELECTRONICSのヘッドフォン・アンプ、Mojoの後継機であるMojo 2を紹介する。アユートの藤丸レイヤ氏と、メディア・インテグレーションの多田純氏に話を聞いた。

Photo:Takashi Yashima(except*)

Mojo 2

Mojo 2|79,980円

Mojo 2|79,980円

 ヘッドフォン・アンプMojoの後継種として発売されたMojo 2。Mojoと同様にカスタム・コーディングが可能なFPGA回路を搭載している。新たに独自開発されたUHD DSPとWTAフィルターが備わりさらに音質が向上した。


●まず、CHORD ELECTRONICSとはどのようなブランドであるのかを教えていただけますか?

藤丸 1989年にジョン・フランクス氏が設立したイギリスの会社です。ヘッドフォン・アンプを主に扱っており、ジョン・フランクス氏、ロバート・ワッツ氏が製品の開発を行っています。彼らは一般に流通しているDACチップに満足しておらず、それなら自分たちで作ってしまおうということで会社を立ち上げました。そして、1996年にFPGAテクノロジーの開発を始めます。これはカスタム・コーディングが可能な回路で、当時は今までに無い新しいものとして非常に高い評価を得ました。今回紹介するMojo 2と、旧モデルのMojo、ハイエンド・モデルのHugo 2はこのFPGA回路を搭載しており、音の再現性が追求されています。

 

●Mojo 2は旧モデルMojoの発売からから7年後のリリースとなりましたが、開発の経緯は?

藤丸 もともとCHORD ELECTRONICSは一つ一つの製品の寿命が長いメーカーでして、モデル・チェンジも非常に少ないんです。時代に合わせた新機能を搭載したり、中身の設計を見直しました。7年も経つと相当技術が進歩しているので、Mojoよりさらに音質が良くなっていると思います。

多田 Mojo 2とハイエンド・モデルのHugo 2を試聴しました。Mojo 2は今どきな音がすると思います。ポータブル・タイプにしては音にかなり密度があったので驚きました。

 

●新開発のロスレスDSP、UHD DSPが新たに搭載されています。

藤丸 DSP内部で徹底的にノイズを排除して音の再現性を追求するとともに、音質もクリアになるようにしています。とにかくノイズを減らすというところのみにフォーカスしてしまうと、音質を犠牲にしてしまうんです。ノイズ除去と音質のバランスがとれているのが特徴ですね。

多田 音の再現性という部分は、ユーザーが気付かないように実現できているのが一番良いと思います。ヘッドフォンを挿して無音の状態のときにノイズが無いのが良いなと思いました。仕様を見ると、カップリング・コンデンサーなどが排除されていて、技術的にも新しいことをやっているなと思います。高度な技術がこのサイズに収まっているのは驚きですね。

藤丸 無音の状態のとき、旧モデルのMojoだとノイズが若干聴こえてはいたのですが、Mojo 2ではよりノイズが少なくなりました。また、ロバート・ワッツ氏が開発した独自のWTAフィルターも進化しています。音の立ち上がり、つまり無音の状態から音声が出るまでの部分の波形がより細かくなっているんです。タップという単位で表現しているのですが、Mojoが38,896タップ、Mojo 2は40,960タップなので、より細かくなっているのが分かります。音の立ち上がりは、ヘッドフォン・アンプにおいて評価の対象になりやすい部分なんですよ。以上のように、機械的なノイズを排除しつつ音質をクリアに保ち、さらに音の立ち上がり部分の波形を細かくすることで、音の再現性を高めています。

 

●メニュー・システムなど、さまざまな機能が新たに追加されています。特に印象的だったものはありますか?

多田 クロスフィードの調整が面白かったです。自分なりに変えられるのが楽しかったポイントですね。

藤丸 ヘッドフォンやイアフォンは左右の音が完全に分かれて耳に入ってきますが、スピーカーの場合、右側から鳴らした音は左耳からも聴こえています。その点がヘッドフォンやイアフォンとどうしても異なるんです。クロスフィードをかけてあえて定位をクロスさせることで、ヘッドフォンやイアフォンでもスピーカーで聴いているような状態にすることが可能です。好みに合わせて設定を切り替えることもできます。

多田 EDMなど低域がしっかりあってレンジが広いジャンルの楽曲を聴く場合はモニター・スピーカーのような聴こえ方になるように調整するのがいいかなとか、密閉型のヘッドフォンを使うときはクロスフィードはかけない方が良さそうかなとか……いろいろ試しました。Mojo 2に接続するだけで何種類ものヘッドフォンを使えるようで楽しかったです。ハイエンドなヘッドフォンの方が、クロスフィードをかけた場合とかけない場合の違いがよく分かりました。

藤丸 アユートで取り扱っているモニター・ヘッドフォンULTRASONE Signature Masterなど、ヘッドフォンとして評価が高いメーカーの製品はやはりパワーのあるヘッドフォン・アンプで鳴らすのが重要です。Mojo 2は解像度が高く情報量が多いので、非常に合うと思います。

 

●デザインがユニークなのも印象的です。

藤丸 メーカーこだわりのデザインになっているので、所有欲を満たしてくれると思います。特徴的な球体型のボタンは旧モデルのMojoが発売された当時、ほかには無いデザインでしたね。ポリカーボネート製なので耐久性も高いです。本体自体も品質の高いアルミニウムを使っていて、ハードワークに耐えうる頑丈さを備えていると思います。

多田 最初の音を出すまでは説明書と格闘しました。ボタンはシンプルで色分けされているので、その色が何を表しているかを覚えてしまえば使いやすいと思います。

藤丸 本体のボタンで、ミュート操作やボタンのロックができるようになりました。先ほどの話にあったクロスフィードや、EQの調整が可能です。EQは4バンドで、ブーストやカットが1dB単位でできます。旧モデルのMojoはボタンのロック機能が無く、誤操作でボリュームが上がってしまうという問題を抱えていたのでそこを改善したのと、“細かい調整を自分でしたい”というユーザーのニーズに応えました。

Mojo 2に搭載された4つの球体型のボタン。左からメニュー・ボタン、ボリュームを下げる/選択中のメニューの変更をするボタン、ボリュームを上げる/選択中のメニューの変更をするボタン、電源ボタンが並ぶ。それぞれのボタンは選択されているメニューやバッテリーの残量などに応じて色が変化する仕様になっている

Mojo 2に搭載された4つの球体型のボタン。左からメニュー・ボタン、ボリュームを下げる/選択中のメニューの変更をするボタン、ボリュームを上げる/選択中のメニューの変更をするボタン、電源ボタンが並ぶ。それぞれのボタンは選択されているメニューやバッテリーの残量などに応じて色が変化する仕様になっている

●USB-C端子が新たに搭載されましたが、これも現代のニーズに合わせてのことでしょうか?

藤丸 今では“必ずUSB-C端子を搭載しなさい”という命令が出る国もあったりするんです。Micro USB端子と比較もできないくらいUSB-C端子の方が頑丈なので、僕個人を含め、多くのユーザーにとって使いやすいと思います。一方で、今まで通りMicro USB端子も搭載しているので、既にMojoを使用されている方がMojo 2に切り替えても配線で全く困らないのはメリットですね。ヘッドフォン端子はミックスなどの現場で使用されることを想定し、2系統搭載されています。

多田 旧モデルのMojoやハイエンド・モデルのHugo 2は接続方法がMicro USB端子のみだったので、USB-C端子の搭載は非常にありがたいです。

右側面には端子を装備する。左から、コアキシャル入力端子、USB-C入力端子、Micro USB入力端子、充電用のMicro USB端子、オプティカルのデジタル音声入力端子が並ぶ

右側面には端子を装備する。左から、コアキシャル入力端子、USB-C入力端子、Micro USB入力端子、充電用のMicro USB端子、オプティカルのデジタル音声入力端子が並ぶ

左側面にはヘッドフォン入力端子(ステレオ・ミニ)を2系統備える

左側面にはヘッドフォン入力端子(ステレオ・ミニ)を2系統備える

●バッテリーもMojoから大きく改善されていますね。

藤丸 バッテリーの容量は旧モデルのMojoに比べて約9%アップしました。もともと発熱しやすい機種だったのですが電力効率が向上し、本体の駆動時間が約8時間になっています。また、インテリジェントデスクトップモードという機能が搭載されました。パソコンで使用される方向けの機能でして、長時間付けっぱなしにしているとデスクトップモードに自動で切り替わり、バッテリーの劣化を防ぐことができます。長期寿命を実現するための機能です。

 

●Mojo 2にもMojo専用のストリーマーPolyを接続可能ですが、何ができるようになるのでしょうか?

藤丸 Polyを接続することで、Wi-Fiを通じたハイレゾのストリーミングやMicro SDカードの音楽データを再生することが可能になります。旧モデルMojo用の製品ではあるのですが、Mojo 2でもきちんと互換性があるんです。操作はスマートフォンやタブレットなどから専用アプリをダウンロードして行うことが可能です。Bluetooth接続にも対応しています。

Mojoシリーズ専用ストリーマーのPoly(69,980円)
Mojoシリーズにドッキングして、microSDカードの音楽データ再生機能と、ネットワーク・プレーヤー機能を追加できる
Mojoシリーズ専用ストリーマーのPoly(69,980円)。Mojoシリーズにドッキングして、microSDカードの音楽データ再生機能と、ネットワーク・プレーヤー機能を追加できる

●Mojo 2の購入を検討される方にお薦めできるポイントを教えてください。

藤丸 現在の世の中において、ヘッドフォンやイアフォンはワイアレス型が非常に多いのですが、有線の良さもまだまだあるということを知っていただきたいです。パソコンでの使用はもちろん、スマートフォンなどのモバイル端末と接続して使うこともできます。持ち運ぶことを前提に作られていますので、外でも良い音で聴きたいという方にお薦めです。また、もともと音楽制作に向けた製品はハイエンド・モデルのHugo 2だったのですが、価格が高いので簡単には人に薦められませんでした。Mojo 2はHugo 2の弟分として手に取りやすい価格になっていますので、音楽制作をされる方にもぜひ手に取っていただきたいと思います。

多田 Rock oNのお客様にはプロのエンジニアの方も多いんです。そういう方々は、動作が安定していて頑丈であることと、すぐにモデル・チェンジして音が変わったりしないことを基準に機材を選ばれる傾向があります。Mojo 2はMojoの発売から7年ぶりの登場ですし、一製品あたりの寿命が非常に長いというのはお薦めしやすいポイントです。また、ほかの製品に無い魅力はモバイルですね。多くの録音機材は電源が必要かと思うので、外で良い音でモニターしたい場合、ほかにライバル機種は無いと思います。

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