UNIVERSAL AUDIO Volt 〜Rock oN Monthly Recommend vol.43

UNIVERSAL AUDIO Volt 〜Rock oN Monthly Recommend vol.43

 注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞くRock oN Monthly Recommend。今回はUNIVERSAL AUDIOの新しいオーディオ・インターフェース、Voltを紹介する。DSPを搭載した同社のApolloシリーズとは違い、VoltはDSP非搭載で価格を抑えたシリーズだが、誰でも簡単にアナログ・トーンを得られる独自機能を盛り込んだオーディオ・インターフェースとなっている。UNIVERSAL AUDIOインターナショナル・セールズ・マネージャーのユウイチロウ“ICHI”ナガイ氏、メディア・インテグレーションの佐々木一成氏に話を聞いた。

Photo:Takashi Yashima

UNIVERSAL AUDIO Volt シリーズ

Volt 1

UNIVERSAL AUDIO Volt 1

VINTAGEモードを搭載する1イン/2アウトのモデル。価格はオープン・プライス(市場予想価格17,050円前後)

Volt 2

UNIVERSAL AUDIO Volt 2

VINTAGEモードを搭載する2イン/2アウトのモデル。価格はオープン・プライス(市場予想価格23,100円前後)

Volt 176

UNIVERSAL AUDIO Volt 176

VINTAGEモードと76 COMPRESSOR搭載の1イン/2アウトのモデル。価格はオープン・プライス(市場予想価格30,800円前後)

Volt 276

UNIVERSAL AUDIO Volt 276

VINTAGEモードと76 COMPRESSOR搭載の2イン/2アウトのモデル。価格はオープン・プライス(市場予想価格36,850円前後)

Volt 476

UNIVERSAL AUDIO Volt 476

VINTAGEモードと76 COMPRESSOR搭載の4イン/4アウトのモデル。価格はオープン・プライス(市場予想価格45,100円前後)

Volt 476 以外のモデルはUSBバス・パワーで動作可能。USB-C端子搭載のAPPLE iPad Proでもバス・パワーで使用できる

Volt 476 以外のモデルはUSBバス・パワーで動作可能。USB-C端子搭載のAPPLE iPad Proでもバス・パワーで使用できる。iPhoneやiPadなどの場合は、5V DC電源端子から電源供給することで動作させることができるので、モバイル・バッテリーなどを使っての駆動も可能だ

 

●これまでUNIVERSAL AUDIOではプロ向けのApolloシリーズを展開して来ましたが、ビギナーにも扱いやすいVoltシリーズが新たに登場しました。このタイミングでVoltを開発した理由は何かあったのでしょうか?

ICHI 自宅で音楽制作をするスタイルが多くなったことを受け、“スタジオを持ち運ぶ”という考えで生まれたのがApolloでした。Apollo Twinが登場したことでさまざまなユーザーが購入してくれたのですが、中にはApolloだと難し過ぎると感じる方も居たんです。それはそのユーザーが求めている以上の機能をApolloが持っていたためでした。そういった方に向けて、よりピンポイントに機能を絞ることで、機能は十分ながら価格を抑えることができるオーディオ・インターフェースが作れると思ったんです。

佐々木 UNIVERSAL AUDIOがVoltのようなオーディオ・インターフェースをリリースしたことにはびっくりしましたね。まず驚いたのは製品の仕上げです。ほかの低価格なオーディオ・インターフェースと比べてもすごくしっかりしたデザインで、表面の金属部分やボタンとノブの感触、ボタンの光り方など、こだわって開発されたことが伝わってきました。今は低価格のオーディオ・インターフェースがかなり登場して求めているユーザーも多いですが、そういったビギナーの方はいきなりApolloには手が出せないですし、Voltは初心者〜中級者にすごく向いていると思います。

ICHI Apolloはセミプロ/プロの仕事道具として、スタジオの機能や機材をコンパクトにまとめているというオーディオ・インターフェースです。しかし、ビギナーやミュージシャンが何を求めているかというと、すぐに音楽を楽しめる環境です。例えば、普段はYouTubeを再生しながらギターを演奏して楽しんでいるという人がDAWで制作を始めるにあたって何が必要なのか……。そういった層に合わせて機能を厳選し、それを面白いものに仕上げることを考えました。ミュージシャンは音を耳で聴いて、それに反応して演奏をするというループの中に居ます。聴いている音が面白いものでなければ、良いフィードバックも生まれない。だからUNIVERSAL AUDIOはマイク・プリアンプやコンプレッサー、リアルタイム・モニターでの音作りなど、良い“トーン”を生み出すことを大事にしているんです。VoltではDSPを積まない代わりに、一番重要なプリアンプに“VINTAGEモード”、そしてコンプの“76 COMPRESSOR”をアナログ回路で組み込み、良いトーンをVoltで作ることを考えて作りました。

 

●これまで培ったスタジオ・ハードウェアの技術がアナログ回路として搭載されているのは魅力的です。

ICHI ボタン一つで簡単に使えるというのもポイントです。こういったアナログ回路の良い面は、パラメーターをいろいろといじらずとも音の突っ込み方でキャラクターが変わること。つまり、ミュージシャンが本能的に持っているスキルで音を変えることができるんです。慣れてきたらVoltを楽器やエフェクターのように扱うこともできると思います。

 

●76 COMPRESSORの搭載有無のほか、入出力数の違いによるバリエーションも多く用意されています。

佐々木 VINTAGEモードと76 COMPRESSORの両方を搭載したモデルのみにする、とはしなかったのですね。

ICHI やはり価格を重要視されるユーザーがいらっしゃるので、そこを考慮したんです。でも76 COMPRESSORにも興味を持ってくださる方は絶対に居ると思いましたし、機能を絞った低価格なモデルだけでなく、さらに面白い機能が搭載されたリッチなモデルという選択肢も増やしました。

 

●機能の詳細についてもお聞きします。まずはVINTAGEモードについて教えてください。

ICHI これはプリアンプのUA 610をベースにしています。簡単に言えば温かみと太さが加わり、スピード感がスローになる。現代の機器はクリアな音で録れますが、とてもシャープで速い音なんです。それがマッチする音楽もありますが、ジャンルによってはもっとナローなサウンドが合うこともあります。そういった場面を考えて、少し極端な変化が出せるようになっているのがVINTAGEモードです。面白いのが、一定の入力レベルに行くまではVINTAGEモードであってもその影響は少なく、音がクリアなことです。–18dBFSくらいから音の変化が生まれますが、低いレベルで録ればVINTAGEモードでも割とクリアな音になります。

佐々木 ビギナーの方は音の違いに慣れていなかったりもするので、ちゃんとオン/オフ時それぞれの良さを店頭で説明してあげた方がよいかもしれません。でも、VINTAGEモードでの変化は分かりやすいものになっているので良いですね。ここから音の違いによる影響を学んでいけると思います。

ICHI あまり深く考え過ぎず、とりあえずオン/オフして試してもらって、曲に合う方を選んでもらえればいいと思っています。VINTAGEモードも76 COMPRESSORもボタンを押すだけなので、それで良い音だと感じたら録音しましょうというコンセプトなんです。ApolloだとたくさんのUADプラグインがあって選ぶことに悩んでしまったり、さらにパラメーターをどう設定しようかと考える必要がありますが、ワン・ボタンでできるのはすごいことだと思います。

 

●76 COMPRESSORはどのような機能でしょうか?

ICHI これは1176がベースとなったコンプです。この機能が搭載されたのは初めてではなく、4-710Dという真空管とソリッド・ステートをブレンドできる4chマイクプリにも使われています。そこにもコンプのスイッチがあって、FASTとSLOWという設定のみですが使えるようになっているんです。

Volt 1とVolt 2にはVINTAGEモード、Volt 176とVolt 276、Volt 476にはVINTAGEモードに加え76 COMPRESSORという機能が備わっている

Volt 1とVolt 2にはVINTAGEモード、Volt 176とVolt 276、Volt 476にはVINTAGEモードに加え76 COMPRESSORという機能が備わっている。VINTAGEモードは同社のプリアンプUA 610の回路をエミュレーションする機能。76 COMPRESSORは1176をベースにしたコンプレッサーで、VOC/GTR/FASTという3つの設定が用意されている

●VoltではVOC/GTR/FASTという3つの設定が用意されています。

ICHI プロであっても1176の設定を毎回変えるのではなく、幾つかのプリセットを決めて使っている方が多いです。スタジオに行ったらノブの位置をマークしていたりしますよね。それに1176はどんな設定でも割と良い音になってくれますし、プリセットというものが作りやすいんです。これもVOCとGTR、FASTと名前が付いていますが、先に言ったようにとりあえず試して遊んで、良い音だと感じられたら録音するというスタンスでいいと思います。録音用に作られた設定なので、使ってみて後から後悔してしまうようなかかり方にはなっていません。一番大きな効果としてはレベリングですね。コンプが効いた音をモニターしながら演奏することでパフォーマンスも安定しますし、演奏者の自信にもつながると思います。

佐々木 音楽制作に慣れてきた方がハードウェアやプラグインのコンプを使い始めた際、やっぱりパラメーターで混乱してしまうと思います。その迷いがなくなるのは良いですね。ミュージシャンにとっては録るタイミングが重要だったりするので、素早く簡単に操作できるのは便利です。ただ日本のユーザーはシンプルなものよりもフルスペックのモデルが好きな傾向があるので、ICHIさんのおっしゃるようにまずは試して録音していく、という考え方も広めていけるといいなと思っています。

 

●VINTAGEモードも76 COMPRESSORもアナログ回路での機能ですし、例えばVoltを単体のプリアンプやコンプのハードウェアとして使うことも可能ですよね。

ICHI そうなんです。Voltは5Vの充電器やモバイル・バッテリーでも動作するので、持ち運びできるポータブルなプリアンプ/コンプになります。そうやって使ってくれる人も増えてきました。Apolloではできないことですし、プロの方にとってはそういった使い方が面白く感じてもらえるかもしれません。

 

●DAWをはじめとする多数のソフトウェアがバンドルされているのも魅力的です。

ICHI 開発当初からバンドル・ソフトにこだわることは意識していました。オーディオ・インタフェースだけでは音楽は作れませんから、いろいろな目線から必要なソフトウェアをそろえたんです。レコーディングするためのDAWはシンプルに、エレクトロニックなものからアコースティックなものまで対応できるABLETON Live Liteを選んでいます。さらに、録音するときにメトロノームだけだとつまらないので、UJAM Virtual Drummer DeepとVirtual Bassist Dandyを加えました。また、エレキギターやエレキベースにはアンプが必要なので、SOFTUBE Marshall Plexi Classic Amp、PLUGIN ALLIANCE Brainworx Ampeg SVT-VR Classicも入っています。ほかにもSOFTUBE Drawmer S73やRELAB LX480など、さまざまなユーザーに音楽制作を楽しんでもらえるラインナップにしました。これらのバンドル・ソフトも含めてVoltという一つのパッケージだと考えています。

UNIVERSAL AUDIOのユウイチロウ“ICHI”ナガイ氏
メディア・インテグレーションの佐々木一成氏
UNIVERSAL AUDIOのユウイチロウ“ICHI”ナガイ氏(写真左)、メディア・インテグレーションの佐々木一成氏(同右)

 

Rock oN NEWS

 Rock oN渋谷店&梅田店は、人数制限を行いながら完全予約制で営業中。当日予約の場合は各店舗までお電話ください。入店時は入口で検温や消毒、ご予約確認のためにお待ちいただいています。また営業時間を短縮しております。

Rock oN Shibuya:☎︎03-3477-1756 営業時間12:00-18:00(日曜日臨時定休)
Rock oN Umeda:☎︎06-6131-3077 営業時間12:00-18:00(定休日:日曜日、祝日)
※営業時間及び営業日は変更になる場合がございます

製品情報

関連記事

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp