注目の製品をピックアップし、Rock oNのショップ・スタッフとその製品を扱うメーカーや輸入代理店に話を聞くRock oN Monthly Recommend。今回紹介するのはSSLのフィジカル・コントローラーUF8とUC1だ。UF8は8本のフェーダーを備えたDAWコントローラー、UC1はSSLプラグイン専用コントローラーで、伝統的なSSLコンソールの機能を現代的なシステムに落とし込んだ製品となっている。ソリッド・ステート・ロジック・ジャパンの鈴木宏隆氏、メディア・インテグレーションの福山智宏氏に話を聞いた。
SSL UF8 / UC1
8つの100mmモーター・フェーダーを搭載。最大4台のUF8をカスケードして拡張することが可能だ。アサイナブル・ボタンも8つ×5バンク装備しており、さらにレイヤーを切り替えることで異なる設定(もしくはDAW)を使えるレイヤー機能も用意している。マウス・ポインターを置いたパラメーターを操作できるフォーカス・モードも魅力的だ。また、Vocalstrip 2とDrumstripというSSL Nativeプラグインが付属する。
SSL NativeプラグインのChannel Strip 2とBus Compressor 2の専用コントローラー。SSLコンソールのチャンネル・ストリップを抜き出したような見た目だ。左からEQ、バス・コンプ、ダイナミクスのセクションが並ぶ。中央下のディスプレイでは、操作しているDAWのトラック名やプラグインのプリセット名などが表示できる。
●UF8、UC1共にメタリックなデザインで、高級感がありますね。
鈴木 SSL 2やSix、Fusionとカラーリングが一緒なんです。スペース・グレーのような色で、新しいSSLプロダクトとして統一性が保たれています。SSLらしい重厚感があり、デスクに置いたときにしっかりと存在感が出せる見た目です。
福山 SSLコンソールから抜き出してきたようなメカニカルな筐体が良いですね。所有欲を満たしてくれますし、スタジオに置いておくだけで良い曲が作れそうな気持ちになります。
●まずはUF8について、どのようなコントローラーなのかを教えてください。
鈴木 過去にNucleus 2というDAWコントローラーがありましたが、それが販売終了となり、次の世代を担うものとしてUF8が登場しました。Nucleus 2は16本ものフェーダーがあり業務的なイメージが強かったのですが、UF8はフェーダーが8本となって自宅環境でも置きやすいサイズとなっています。セットアップも簡単で、スタジオで作業をするプロの方だけでなく、自宅制作をするビギナーの方も扱いやすい製品です。仕事のツールというよりも、楽しく使えるツールになっていると思います。
●コントローラーは各ボタンなどへのアサインが大変だったりしますが、UF8では簡単に行えるのでしょうか?
鈴木 専用ソフトウェアのSSL 360°上に主要なDAWのプロファイルが用意されているので、使用しているDAW名を選べばすぐにお使いいただけます。プロファイルの無いDAWであっても、HUIやMCUといったDAWが対応しているプロトコルさえ分かれば大丈夫です。また、3つレイヤーを持っているので、それぞれに違うDAWを設定し、UF8上のボタン一つで切り替えができます。レイヤーごとにアサイナブル・ボタンの設定も変更できるので、複数人が作業を行う環境でレイヤーごとに使用者を決めておくような使い方も可能です。
●マウス・スクロールのエミュレートするフォーカス・モードがパラメーターの操作に便利そうだと感じました。
鈴木 フォーカス・モードでは、マウス・ポインターをプラグインのパラメーター・ノブ上に置き、UF8の右側にあるエンコーダーでコントロールすることができるんです。
福山 アサインする面倒さも無く、直感的に扱えるのが良いですね。
鈴木 両手を使ってパラメーター操作ができるというのも良い点です。例えばフォーカス・モードでコンプのスレッショルドを調整しつつ、変化した音量分はフェーダーで戻すなど、マウスやキーボードだけでは難解な操作も簡単に行えます。
●一方のUC1はSSLプラグイン専用コントローラーです。中央にあるバス・コンプが目を引きますね。
鈴木 SSL NativeプラグインのBus Compressor 2とChannel Strip 2を操作できます。バス・コンプの左側がEQセクション、右側がダイナミクス・セクションです。完全にSSLプラグインのためのコントローラーとなっている、ぜいたくな一品と言えますね。
●DAWのチャンネル上にBus Compressor 2またはChannel Strip 2を立ち上げると、連動してUC1でコントロールできるようになるのでしょうか?
鈴木 はい。コントロール設定ではSSL 360°が役立ってきます。例えば、DAWのトラックにChannel Strip 2を立ち上げると、インサートしたトラック分だけSSL 360°にコンソールのチャンネル・ストリップが表示されます。2つのディスプレイをお持ちであれば片方にDAW、もう一方にSSL 360°を映して、まるで自分の制作環境にSSLコンソールを導入したような状態にしていただくことが可能です。UC1でチャンネルを切り替えてプラグインのコントロールができるので、わざわざプラグイン画面を開く必要はありません。SSL 360°のチャンネル・ストリップの画面もしっかりとパラメーター表示が連動するので、各チャンネルの状態が一目瞭然(りょうぜん)です。全体を把握しやすいのはストレス・フリーだと思います。
福山 多チャンネルを扱うときはDAWの画面だけでは収拾がつかなくなることもありますし、コンソールの画面で各チャンネルの状態を俯瞰できるのは重宝するでしょう。手で触ってすぐに調整できるので、スピードが求められる現場でも活躍すると思います。
●あらためてChannel Strip 2とBus Compressor 2の特徴を教えていただけますか?
鈴木 SSLのコンソールは年代によって種類がありますが、Channel Strip 2はXL9000Kがモデルになっており、XL9000Kに搭載されているEQとコンプの特徴を踏襲しています。Bus Compressor 2は、SSLの代表作となっているSL4000Gバス・コンプです。現行のSSLコンソールにも必ずセンター・セクションに用意されています。
福山 SSLのEQやコンプはとにかく効きが良いんですよね。僕は特にバス・コンプレッサーがお薦めです。楽曲の各トラックの一体感を出すときに使う人が多いですね。今のDAWは分離が良いので、そのままだとなかなか一体感が出づらいんです。アナログ・ミキサーやアウトボードを使う方法もありますが、SSLのバス・コンプも定番の手法になっています。
●UC1の操作子はSSLのチャンネル・ストリップそのままでなじみ深いものですが、大きなインプット&アウトプット・メーターやノブ周りのLEDが備わっていて、デジタルの良さもうまく取り入れられている印象です。
鈴木 ディスプレイも付いていて、UC1で操作するトラック名だったり、プラグインのプリセット名も表示されます。プリセットが用意されているのも特徴ですね。最初から音を作るのではなく、プリセット・ベースでチャンネル・ストリップを使ってもらえるので、音作りを学ぶのにも適していると思います。
●UF8、UC1共にプレミアムなコントローラーというイメージですが、操作性は非常に簡単で、クリエイターのレベルを問わず誰でも扱える製品になっていますね。
鈴木 UF8はDAWを使い倒している方に寄り添うようなアイテムだと思います。UF8を導入することで、さらにDAWでの作業を効率化していただけるでしょう。UC1はプロはもちろん、ビギナーの方にもお薦めできるコントローラーです。UC1とSSL Nativeプラグインを触りながら音作りを学んで遊んでみてほしいですね。
福山 UF8とUC1は、最新のフィジカル・コントローラーとしてデザインも優れていて、視認性や操作性の面でも今選ぶべきコントローラーの一つと言えます。特に劇伴を制作している方など、スピードを重視している人にお薦めできる製品です。
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