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BOSE AMM108 〜コンパクトでパワフルな多目的ラウド・スピーカー

同軸2ウェイ方式を採用した多目的なラウド・スピーカーBOSE AMM108。扱いやすいコンパクト・サイズと迫力のサウンドを両立したことで人気を博している。その魅力に迫るべく、ユーザーである映像センター イベント映像事業部 技術部の松原英明氏、鈴木武志氏、小井戸陽介氏に話を聞いた。

写真◎小原啓樹

映像センターが所有する8本のAMM108。横置きでウェッジとして使用したり、スタンドに立ててサイド・スピーカーとして使用したり、フレキシブルに運用されている

映像センターが所有する8本のAMM108。横置きでウェッジとして使用したり、スタンドに立ててサイド・スピーカーとして使用したり、フレキシブルに運用されている

プロが驚いたサイズと音

 「初めて見たときは“こんなに小さくてちゃんと鳴るのだろうか……”と思ってしまったのですが、音を出してみるとパワフルで“こんなに鳴るんだ!”と、正直驚かされました」

 そう小井戸氏が語る通り、AMM108はコンパクトでパワフルという表現がぴったりのスピーカーだ。サイズは318(W)×318(H)×268(D)mm。重さは13.04kgと、その小ささから想像するよりもずっしりとしているが、頑丈なエンクロージャーをまとい、プロ仕様のスピーカーらしい安定感がある。

 パワフルな音は1.7インチ・コンプレッション・ドライバーと8インチ・ウーファーから繰り出される。高出力を得るためにはキャビネットの内容積を大きくする必要があるが、“指向性制御のためにはウェーブガイドを大きくしたい”“しかし、そのためにウーファーの位置を下げると内容積が確保できない”というジレンマがある。そこでAMM108は、ウェーブガイドに通気孔を開けることでウーファーの出力を損なわずに位置を前に寄せる方法を採用(下図参照)。これにより内容積を確保、高出力と指向角110°×60°という中高域のコントロール性を両立し、低域と高域の均一なカバレージを実現している。この技術は小型化にも大きく寄与しているだろう。

低域がウェーブガイドの通気孔を通過することよってもたらされる効果を説明した図。Bose Beamwidth Matching Waveguideと呼ばれる独自技術だ(BOSE提供)

低域がウェーブガイドの通気孔を通過することよってもたらされる効果を説明した図。Bose Beamwidth Matching Waveguideと呼ばれる独自技術だ(BOSE提供)

グリルを外したところ。大型のウェーブガイドにティアドロップ型の通気孔が開いているのが分かる

グリルを外したところ。大型のウェーブガイドにティアドロップ型の通気孔が開いているのが分かる

 サウンドの特徴について鈴木氏は「制御しやすい音」と表現してくれた。

 「小さいサイズでパワフルな音を出そうとすると低域が誇張されて制御しにくくなることも多いのですが、このスピーカーは低域もしっかり出ていながら誇張された感じがない。位相も整っていて、高域から低域までバランス良く出ています」

コンパクトさがもたらすメリット

 AMM108の特徴は映像センターの業務内容にもフィットしていると松原氏は語る。

 「映像の会社なので、設置したときの会場全体のバランスと“どう映るか”が大事になります。大型のスピーカーをウェッジとして置いてしまうと必要な奥行きが取れなくなったり、映像に見切れてしまったりするのですが、AMM108はコンパクトなのでその問題が起こりにくい」

 この点に小井戸氏も同意する。

 「このサイズ感なら見切れを避けながら前に出せますし、加えて先ほど鈴木の話にもありましたようにバランスが良くクリアな音なので音量を上げ過ぎずに済みます。ライブで使用する際はかぶりを抑えられ、ハウリング・マージンも稼げる。結果として外音もクリアに提供できる。指向性の制御もしっかりできているので、近くの演奏者の妨げにならないのも良い点だと思います。狭いステージでありがちな“ボーカルのモニターを上げたら、隣のギターのモニターも上げて、ベースも上げて……ステージ内が飽和状態になってしまった”という事態も避けられます。小さな会場やライブ・ハウスではかなり有利なのではないかと感じます。実際にライブでウェッジとして使ったときに、本番終了後にアーティストの方から『モニターしやすかった』との声もいただきました。良い演奏をしてもらうには良いモニター環境を提供しなければならないので、そのときはとてもうれしかったです」

さまざまな用途にフレキシブルに対応

 映像センターでは8台のAMM108が使われている。ウェッジだけでなく、スタンドに立ててサイド・スピーカーとしても活用されており、複数の現場が重なったときにも運用できるよう、この数を所有しているという。

 「ステージ内の環境がウェッジもサイドも同じスピーカーであれば、チューニングもしやすいし音のなじみも良くなります。チューニングの際、会場によって気になるポイントをカットする程度で済むので時間短縮にもなります。ウェッジで使う場合、縦の指向角が110°あるので、スピーカーを持ち上げて角度を煽る作業も必要なく、多少立ち位置がずれても聴こえる印象はほとんど変わらないと感じます(小井戸氏)」

 「スタンドに立てると横の指向角が110°になるので、会議室や教室、宴会場くらいの広さで行われるスピーチの現場なら左右に置いてメインとして使っています。スピーチの明瞭度もすごく高いです(松原氏)」

頑丈なエンクロージャーに、スタンドを取り付けるための穴を備える

頑丈なエンクロージャーに、スタンドを取り付けるための穴を備える

コネクター接続部。「少し奥まっているのが良いと思います。屋外で使用する際に急な雨が降っても多少なら耐えられそう(小井戸氏)」

コネクター接続部。「少し奥まっているのが良いと思います。屋外で使用する際に急な雨が降っても多少なら耐えられそう(小井戸氏)」

 映像センターでは、AMM108用のパワー・アンプとしてPowersoft T604やLAB.GRUPPEN IPD2400を使用している。メーカー推奨の専用プリセットEQの用意もあるが、好みのアンプでも望む音に作り込みやすいところもAMM108の使い勝手の良さだろう。

 もう1つ、AMM108の特徴と言えるのが“BOSEロゴ”が付いていないことだ。松原氏によると「企業向けの仕事が多いので、ロゴは付いていない方がありがたい。テープで貼って隠すのも見栄えが悪いし、この仕様はとても助かります」とのことだった。


 取材班もAMM108を手に持たせてもらったが、そのコンパクトさは際立っていると感じた。ずっしりとした重さはあるものの持ち上げるのが苦になるほどではなく、映像センターの小柄な女性スタッフでも1人で楽に持ち運んで設営が行えたそうだ。移動の車の中でも嵩張らず、小型であることのメリットは大きいだろう。今後もあらゆる現場で活用されるに違いない。

取材に答えてくださった皆さん。左から、松原英明氏、小井戸陽介氏、鈴木武志氏

取材に答えてくださった皆さん。左から、松原英明氏、小井戸陽介氏、鈴木武志氏

◎本インタビューは動画でもご覧いただけます。

◎本記事は『音響映像設備マニュアル 2023年改訂版』より転載しています。

 1980年代より、長年にわたって全国の専門学校等で教科書としてご採用いただいている音響/映像/照明の総合解説書『音響映像設備マニュアル』。2年振りとなる本改訂版では、随所を最新情報にアップデートしました。

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