「MONKEY BANANA Turbo 6」製品レビュー:ユニークな六角形エンクロージャー採用のドイツ製パワード・モニター

MONKEY BANANATurbo 6
今回紹介するのはMONKEY BANANAのモニター・スピーカーです。かなり目を引くド派手なルックス、ボディ色は誰かの専用機を思わせるレッド(ブラックもあり)。全くの初見だったのでワクワクしながらチェックしてみました。

バスレフ用ダクトはリアに設置
デジタル入力端子も装備


MONKEY BANANAは、ドイツのシュリーンゲンに拠点を置く気鋭のスピーカー・メーカー。ヨーロッパでは既に高い評価を得ているそうで、今年4月に日本での取り扱いが決まったばかり。Turboシリーズは印象的なデザインとカラーリングが特徴のアクティブ・ニアフィールド・モニターで、ウーファーのサイズに4種類のバリエーションがあり、サブウーファーTurbo 10sと組み合わせて2.1chシステムに拡張することも可能。今回レビューするのは、中型クラスにあたる6.5インチ・ウーファーを搭載したTurbo 6です。サイズはYAMAHA NS-10M Studioとほぼ同じで、左右共通の筐体となっています。特徴的な六角形のエンクロージャーですが、特にセッティングが難しいことはありません(一応、マニュアルには横置きは推奨しない旨が記されております)。背面にはバスレフ・ポートのほかにコネクター類が並んでおり、この価格帯では珍しくデジタル入力端子を装備。アナログ/デジタルの切り替えとデジタル入力時のL/Rをスイッチで切り替えられます。またフィルター的な役割のLF/HFノブで100Hzと10kHzを±6dBで調節できます。 

サブローを鳴らし切るウーファー
音が近くで鳴っている感覚も


実際のサウンドですが、あえて一言で表すなら極めてドンシャリに感じました。気持ち良いくらい明らかなドンシャリ傾向で、“ドイツ!”という感じ。特にテクノをはじめとするジャーマン・エレクトロニック・ミュージック(あえてEDMとは言いません)の感覚にマッチする音だと思いました。具体的にはまず低域がしっかりしており、ROLAND TR-808のキックが気持ち良く鳴ります。100Hz辺りの“しん”はしっかりとプッシュされますが、バスレフ式にしてはタイトな印象。より下の帯域のサブローもきちんと鳴り、ダブつくこともありません。見た目より2回りくらいビッグな低域が鳴る印象。自宅では出せる音量が限られてしまうかもしれませんが、環境が整った場所であれば、とても気持ち良く鳴らせるでしょう。クロスオーバー・ポイントは3kHzで、不自然なピークを感じることもありません。高域までスッとスムーズにつながるので、中域が若干おとなしく感じる反面、7kHz以上の高域はしっかり鳴るので、低域と合わせると派手めな音作りに聴こえるのでしょう。ただしドンシャリと言っても音像が破たんしているわけではなく、“ドンシャリの中の正解”とでも言うべきバランスなので、基本的にどんなジャンルでもこなせると思います。位相感も良好で、音が近くで鳴っている感覚があります。生楽器系のアコースティックなサウンドの再生も問題ありませんが、“温かみ”“ツヤ”といったニュアンスはやや薄いので、それよりも最近の超ワイド・レンジなEDM系の音の方が映えると思います。試しに本機で軽くミキシングしてみましたが、鳴りっぷりがとても気持ち良いので、“イエー!”とノリノリで作業できました。が、普段使用しているNS-10M StudioとGNELEC 1031Aで仕上がりを聴いてみると、意外とおとなしいミックスになっていたので、本機をミキシングで使用する際は注意が必要かと思います。以上のような傾向を考慮すると、本機はビート・メイクなどで“俺かっけー!”と盛り上がって制作するのに向いたスピーカーと言えるのではないでしょうか。オールマイティではないかもしれませんが、私が好きな打ち込み系の音楽とはとても相性が良く、しばらく聴き込んでしまいました。 最近のスピーカーは本当にコスト・パフォーマンスが高いですね。本機もこの価格帯でほぼフル装備、位相の良さも含めて基本性能は高く、つくづく良い時代になったものだと思います。自分の制作環境に合いそうでしたら、ぜひ一度試聴してみてください。 
 
▲リア・パネル。バスレフ用ダクトの左、上よりボリューム調整ノブ、HFのEQノブ、LFのEQノブ、デジタル入力時に使用するLeft/Rightスイッチ、Analog/Digitalスイッチ、その右がアナログ入力端子(XLR/TRSフォーン・コンボ、RCAピン)、デジタル入出力端子(コアキシャル) ▲リア・パネル。バスレフ用ダクトの左、上よりボリューム調整ノブ、HFのEQノブ、LFのEQノブ、デジタル入力時に使用するLeft/Rightスイッチ、Analog/Digitalスイッチ、その右がアナログ入力端子(XLR/TRSフォーン・コンボ、RCAピン)、デジタル入出力端子(コアキシャル)
  (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年7月号より)
MONKEY BANANA
Turbo 6
オープン・プライス (市場予想価格/ 57,750円前後:1本)
▪構成/高域:1インチ・シルク・ドーム、低域:6.5インチ電磁シールデッド・セラミックPPコーン ▪出力/90W(高域30W+低域60W) ▪周波数特性/50Hz〜30kHz ▪クロスオーバー周波数/3kHz ▪入力インピーダンス/20kΩ(バランス)、10kΩ(アンバランス) ▪入力モード/アナログ、デジタル ▪サンプリング・レート/32〜192kHz ▪外形寸法/272(W)×382(H)×260(D)mm ▪重量/7.6kg(1本)