「Cinematique Instruments 2」製品レビュー:実験的なサウンドを中心に収録したシネマティック音源ライブラリー

CMや劇伴などの作曲家にとって楽器音色というのは結構重要で、セリフを邪魔せずに“おや?”と耳を引く楽器で印象的なメロを弾くというのは1つの手法。それゆえ“シネマティック~”というようなタイトルを冠したライブラリーにはついつい手が伸びます。とはいえ、今までたくさん買ってきましたが、実際に活用できるものは意外と少なかったというのも事実。今回のライブラリー音源はいかに!?

BEST SERVICECinematique Instruments 2
CMや劇伴などの作曲家にとって楽器音色というのは結構重要で、セリフを邪魔せずに“おや?”と耳を引く楽器で印象的なメロを弾くというのは1つの手法。それゆえ“シネマティック~”というようなタイトルを冠したライブラリーにはついつい手が伸びます。とはいえ、今までたくさん買ってきましたが、実際に活用できるものは意外と少なかったというのも事実。今回のライブラリー音源はいかに!?

Engine 2に読み込んで使用 キー・スイッチで奏法切り替えも可能


サンプル・ライブラリーの超老舗、BEST SERVICEから発売された本音源は、同社のCinematique Instrumentsの続編という位置付け。恥ずかしながら前作は持っていないのですが大好評だったようで、今回の“2”がリリースされたという経緯です。このライブラリーは付属のEngine 2というプレーヤー・ソフトで鳴らす仕組みで、スタンドアローンのほかVST/Audio Units/RTASで動作可能。Mac/Windows両方に対応します。今回Macは試せませんでしたが、Windows Vista/7においては32/64ビット両方のVSTが用意されており、64ビット環境のDAWでも大活躍してくれそうです。 早速、試奏してみました。冒頭で活用できるシネマティック系ライブラリーが少ないと書いたのは、それらの多くがホラー映画的な怖い音や、あるいは宇宙的なアンビエント音ばかり収録していて、音は面白いけどクラスター的というか、無調というか、実際はほかのパートのコードに当たって使いづらいという経験が多かったのです。しかし本ライブラリーは違いました。楽器は、アルト・グロッケン、バス・ハーモニカ、弓で弾いたギター、バンジョー、ギター・ハーモニクス、ダルシマーのようなものであろうジャーマン・モノコード、巨大な音叉、そしてアップライト・ピアノなど撥弦楽器がメインです。気に入ったのはそれらのすべてが怖いパッド音を奏でるのではなく、ちゃんとしたメロディを弾くことができて、耳を引く面白い楽器として用意されている点です。 例えば、今回気に入った“Bowed Guitar”は先述した“弓で弾いたギター”音色ですが、演奏しながらモジュレーション・ホイールを操作すると、まるでバイオリンのようにアタック感や持続音の抑揚を付けることができます。キー・スイッチでスタッカートに変えるとバイオリンのアタックっぽい音、あるいはコップに水を入れたグラス・ハープの音に近い短い擦弦音が得られて、何とも不思議なギター・サウンドになりました。同様に、どの音色もいろいろな奏法が用意されており、キー・スイッチやモジュレーション・ホイールで変更することが可能です。“ギターっぽいけどギターではない”“チェンバロっぽいけどなんか違う”というような、耳を引くちょっと変わった音色……いわゆる“使える音”が満載で、本当に良いと思いました。

アコースティック楽器に加えて グリッチ系やホラー系音色も実用的


ライブラリーのプレーヤーであるEngine 2も気に入りました。メインで表示されるパネルは“Quick Edit”と呼ばれる画面で、大抵の場合その音色ごとに最適な調整ダイアルやボタンが2〜3個表示されるだけ。でもそれを回すと音色の方向性を失わずに音のバリエーションが作れて良く、リバーブやアンプ・シミュレーターなどのボタンやツマミが用意されることが多かったです。それと楽器の画面の下にちょこっと、“キー・スイッチは余韻の長い音がC0、短い音はC1、モジュレーション・ホイールはアタックをコントロール”というようなメッセージが表示されて、とても便利。もっと突っ込んで音色作りしたければ、“ProEdit”というページに行けば良いです。とはいえ僕はQuick Edit画面だけでも大満足でしたけどね。Engine 2はレスポンスも速く、非常に良いプレーヤーだと思いました。 鍵盤を押さえただけで壮大なレイヤーを奏でるライブラリーを見かけますが、それらの多くは実際の曲に入れづらかったりもします。そういった意味でCinematique Instruments 2は実用的で大変気に入りました。何だかこのライブラリーは“ヒット曲を耳にして、そのアーティストのデビュー・アルバムを探しにいく”みたいなパターンになりそうです。さて、前作のCinematique  Instrumentsをチェックしに行きますか。   (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年7月号より)
BEST SERVICE
Cinematique Instruments 2
27,300円
▪Mac/Mac OS X 10.6/10.7/10.8、1.8GHz以上のINTEL製CPU、1GB以上のRAM(2GB以上を推奨)、4GB以上のハード・ディスク空き容量(SATA 7,200rpm以上)、動作フォーマット:Audi o Units/VST2.4/RTAS/スタンドアローン(すべて32ビット) ▪Windows/Windows XP(32ビット)/7(32&64ビット)/8(32&64ビット)、INTEL Pentiu m4/AMD Athlon XP 3GHz以上のCPU、1GB以上のRAM(2GB以上を推奨)、4GB以上のハード・ディスク空き容量(SATA 7,200rpm以上)、動作フォーマット:VST2.4/スタンドアローン