「EOWAVE Magma」製品レビュー:多機能な16ステップ・シーケンサー付き卓上型アナログ・モノシンセ

EOWAVEはフランスで2002年に設立されたシンセ・メーカーです。当初はCYCLING'74 Pluggo用ソフト・シンセからスタートし、現在ではDominoなど個性的なハード・シンセで有名になっています。そんな同社が満を持して発売したアナログ・モノシンセが、このMagmaです。

EOWAVEMagma
EOWAVEはフランスで2002年に設立されたシンセ・メーカーです。当初はCYCLING'74 Pluggo用ソフト・シンセからスタートし、現在ではDominoなど個性的なハード・シンセで有名になっています。そんな同社が満を持して発売したアナログ・モノシンセが、このMagmaです。

野太い音が堪能できるフィルター パラメーター操作も可能なシーケンサー


Magmaの構成は1VCO、1VCF、1VCA、3EG、2LFOで、多機能パターン・シーケンサーも装備。マニュアルやオフィシャルWebサイトにもある通り、1980年代前後のアナログ・シンセ……とりわけROLAND SH-2やSH-101から多くのインスパイアを受けた製品となっています。もちろん、現代的な制作環境で不可欠なMIDI INやUSB端子(パソコンとのMIDIのやりとりやファームウェアのアップデート用)も完備します。 各セクションを見てみましょう。オシレーターにはノコギリ波、矩形波、サブオシレーター、ノイズが用意され、各レベルの調整やPWM/シンク機能などが設定できます。フィルターを全開にしてスルーさせれば、アナログ・シンセらしい荒々しいエッジの立った音をすぐに聴くことが可能です。フィルターには−24dB/octの鋭いローパス・フィルターを装備。フィルターを閉じていくと存在感のある野太い音を聴くことができますし、そこからレゾナンスを発振させていけばアシッドなベースを作っていくことも可能です。このフィルターで外部入力を処理することもできます。 そして個人的に大変うれしいのがエンベロープで、ADSRタイプ×2基とADタイプ×1基を装備。前者がVCFのカットオフとVCAに、後者がVCOのピッチにアサインされています。Magmaがインスピレーションを受けたというビンテージ・シンセたちはエンベロープは1つか2つ程度がほとんどですから、本機の表現力はとても高いです。 またシーケンサーも非常に高機能。16個のボタンで打ち込むパターン・トラックのほかに、モジュレーション・トラックを3つも搭載。これはパラメーター・ツマミの動きを記録できるもので、例えばステップごとにフィルターがスウィープするシーケンスも簡単に構築できます。これら計4つのシーケンスはパターン・レングスを変えられるだけでなく、何と個別に違うテンポで動作させるクロック・デバイドも設定可能。カットオフのシーケンスだけをメイン・シーケンスと違うテンポにして、ポリリズムで動かすなんてこともできます。また、一律でグルーブをコントロールするスウィングや、指定のステップだけにグルーブを付加するシャッフル機能も装備します。 パネル下部のボタン群はシーケンサーで使用するだけでなく、SHIFTボタンと併用することさまざまな機能に対応します。サウンド/シーケンス・プリセットの保存/読み込みやトランスポーズ、シーケンス再生方向の変更、果てにはシーケンス・ランダマイズまで、多種多様な機能で複雑なシーケンスを構築することが可能です。

まさに“素性の良いシンセ”という印象 上モノ・パートでも存在感を発揮


今回はMagmaで作ったオクターブ・ベースをメインに、80'sエレディスコ・トラックを作ってみました。レベルの大きなソフト・シンセと混ぜてみましたが、本機が埋もれることは全く無く、存在感のあるベース・ラインが得られました。さらにディレイをかけて空間的な広がりを付加してみると……おぉ、素性が良いシンセってエフェクト乗りもいいなぁと再認識してしまいます。パネルに“ANALOGUE BASSLINE SYNTHESIZER”と書いてあるだけのことはあります。しかし、それだけでないのが本機。さらに高音部のフレーズも作ってみます。プリセットの中から近そうな音を選んで、そこからエディットを開始……こうして使っていると、まさに本物のアナログ・シンセでありながらビンテージのクローンに収まらない、非常に現代的な設計思想が見えてきます。 “アナログ・シンセのサウンドは欲しいけどDAWとの接続が大変そう”“チューニングなど細かいケアができるか不安”といった方も安心して使える本機。省スペースで本物のアナログ・シンセの音を導入したい方には特にお薦めしたい製品です。
▲リア・パネルの入出力端子は、左からMIDI IN、USB、オーディオ・アウト/イン(フォーン) ▲リア・パネルの入出力端子は、左からMIDI IN、USB、オーディオ・アウト/イン(フォーン)
サウンド&レコーディング・マガジン 2013年7月号より)
EOWAVE
Magma
オープン・プライス (市場予想価格/89,000円前後)
▪構成/VCO×1(ノコギリ波、矩形波、サブオシレ ーター、ノイズ)、VCF×1(24dB/octローパス・フィルター)、VCA×1、EG×3(ADSR×2、AD×1)、LFO×2(8波形) ▪シーケンサー/16ステップ(レングス設定可能) ▪パターン・メモリー/256(64パターン×4バンク) ▪プリセット・メモリー/256(64プリセット×4バンク) ▪外形寸法/203(W)×63(H)×247(D)mm ▪重量/約1.3kg