強力なDSPカードとプラグイン搭載のオーディオ・インターフェース

METRIC HALOMoblie I/O ULN-2 2D Expanded
ETRIC HALOのオーディオ・インターフェース、Mobile I/Oシリーズが2D Expandedとして登場。ラインナップは12イン/14アウト仕様のMobile I/O ULN-2 2D Expandedと18イン/18アウト仕様のMobile I/O 2882 2D Exapanded(オープン・プライス/市場予想価格208,000円前後)の2機種で、今回は前者のレビュー。2001年発売のMobile I/Oシリーズは現在主流となっているFireWire接続オーディオ・インターフェースの先駆けであり、今でも根強い人気を持った製品だ。その魅力のポイントは確かな音質と内蔵ミキサー部の自由度の高さだろう。今回はDSPパワーを従来の5倍に拡張する2D Cardを搭載すると同時に内部デザインも一新。より洗練された構造なので早速レポートしよう。

太めながらも前に出てくる
元気なサウンド


Mobile I/O ULN-2 2D Expandedは、アナログ入力に2chのMIC/LINE/Hi-Z入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)を備え、アナログ出力はステレオ1系統のメイン出力(TRSフォーン)と1系統のモニター出力(TRSフォーン)も装備。また、デジタル入出力はADATのほかに、選択して使用する形だがAES/EBU(XLR)とS/P DIF(コアキシャル)も搭載している。マイクプリ部は6〜72dBとかなりのゲイン幅を持っておりSHURE SM57でアコギのアルペジオを録音しても十分。−20〜0dBのトリムでレベルを調整すればドラム録音にも対応可能だ。音質は太めで、かつブライト感があって好印象。アコギやボーカルのニュアンスを拾うのがうまくて実に音楽的な音。Moblie I/O 2882 2D Expandedより求めやすい価格設定だが、アナログ入力が2chと少ない分、その音質は上であるとのこと。またアナログ入力にはインサート端子で、A/D前段からコンプなど外部エフェクトを接続可能。センドだけでマイク・スプリッターとしても使える。そのほかFireWire端子も2つあり、本機を4台まで拡張でき、バスパワー駆動も可能だ。

より洗練されたMIO Console
ユニークなライブ録音機能


本機はDSPによるデジタル・ミキサー機能を内蔵し、MIO Consoleソフトから一括して制御する。今回のVer.5では内部設計が変更され、かなり使いやすくなった。新たなミキサー画面上ではDAWのように付属DSPプラグインをインサートできるほか、従来同様、複数のプラグインを直列/並列など自由に接続して、一つのプラグインとしてインサートできる+DSPグラフによる高度な使用方法も可能。結果、かなり洗練された構造になった。DAWとのやり取りは18chのバスが用意され、DAW内素材を本機のミキサー部でミキシングでき、DSPで処理した音を再度DAWへ戻すことも可能だ。ミックス・バスの数も任意に増やせ、5.1chなどにも対応(パンもサラウンド・タイプとなる)。とにかく自由度が高く、特殊な設定も可能だが、作業目的に応じたテンプレートが用意されるので初心者でも安心だ。また、MIO Consoleは単に本体の制御だけではなく、簡易的なライブ録音機能まで備えているのが実にユニーク。なんと本機とコンピューターだけでDAWを使わずとも各入力からのダイレクト録音が可能だ。例えばMobile I/O 2882 2D Expandedを4台接続すれば最大72trの録音が可能だ。入力音もそのまま録音されている感覚で音質も良好だ。なお、MIO ConsoleをDAWのプラグインとして起動できるMIO ConsoleConnectも用意され、MIOの設定をDAW側で保存でき、曲データと一括に呼び出せるので便利だ。また本体前面の9個のスナップショット・メモリー・スイッチではスタンドアローン使用時にMIO Consoleの設定を変更可能。ライブでのリアルタイム・エフェクトなどに便利だろう。内蔵エフェクトはリバーブのHaloVerb、ディレイのMIODelay、M/SデコーダーのM/S Decoder、ディザリング・ツールのDitherなど計6種類。中でも注目すべきは新開発のCharactor。“Classic British Mic Pre”など22タイプのアナログ機器のディストーション特性が選べ、楽器に応じて音の雰囲気を作れる。また、ゲート/コンプ/EQからなるチャンネル・ストリップのMIO Stripは同社のプラグインChannel Stripそのままで、攻撃的な音作りが可能なコンプとEQでかけ録りでき、非常においしい。さらに2D+DSP License(77,700円)で計100種を超えるプラグインが利用可能となる。今回5倍となったDSPパワーで48kHz時に全12chにCharacter、MIOStripをインサートし、HaloVerbを2つ起動可能。ADAT端子につながるマイクプリがあればドラム・キットをEQしての録音も可能だ。試しに本機で外部入力を聴きながらDAW側を終了、再び立ち上げしても音も途切れず、ノイズも出なかったのは偉い。ライブに持ち出すユーザーが多いというのもうなずける。また、小型多機能デジタル・ミキサーの感覚で、DAWと外部の楽器を混ぜてPA&CUEモニターができるだろう。ユーザーの立場に立った製品作りにも驚いた。7年前購入のMobile I/O ULN-2ユーザーでも同じ仕様にできるのもスゴい。定評ある音質だけでなく内蔵ミキサーの可能性も魅力なので、ぜひ店頭でじっくり触ってみてほしい。20081201-05-002

▲リア・パネル。左からモニター・アウト(TRSフォーン)、アナログ入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)&インサート・センド/リターン(TRSフォーン)×2、アナログ出力×2(TRSフォーン)、レベル調整スイッチ、放送システム用電源(4ピンXLR)、ADAT入出力(オプティカル)、ワード・クロック入出力(BNC)、S/P DIF入出力(コアキシャル)、AES/EBU入出力(XLR)、FireWire端子×2

METRIC HALO
Moblie I/O ULN-2 2D Expanded
オープン・プライス(市場予想価格/187,000円前後)

SPECIFICATIONS

■サンプリング・レート/44.1/48/88.2/96kHz
■外形寸法/343(W)×44(H)×210(D)mm
■重量/1.8kg

REQUIREMENTS

■Mac/Mac OS 9.1 以降、PowerPC G3以上、128MB以上のRAM