豊富なルーティングを実現するオーディオI/O機能搭載のDJミキサー

MACKIE.D.4 Pro
今回レビューするMACKIE. D.4 Pro、これがすごい。基本は4ch仕様のDJミキサーですが、それに加えて14イン/8アウトのFireWireオーディオI/Oとしても機能します。その真価は?

各chに2系統の入力を装備
現場を意識した機能も満載


まず中央のチャンネル・セクションを見てみましょう。電源を入れて気付くのが、青く光るEQつまみとシグナル・メーター。暗い現場では特に、肝心のEQが見づらいことが多々ありますが、本機では心配ありません。EQはHIGH(4kHz)、MID(1kHz)、LOW(300Hz)の3バンド仕様。カット側に回しきるとキル設定になります。効きはエッジがありつつも音楽的で、“わざとらしくない”点が好印象。各チャンネル入力部にはライン/フォノ入力とCD(ライン)入力(どちらもRCAピン)のステレオ2系統ずつを装備しています。CDプレーヤー、サンプラー、シンセなど最大ステレオ8系統のソースを常時接続しておき、使用するものを上部のSOURCEスイッチで選ぶ、といったことが可能です。次は左上の2chマイク・セクション。入力部はXLR/TRSフォーンのコンボ・ジャックで、コンデンサー・マイク用のファンタム電源スイッチも装備。マイクプリは同社Onyxシリーズと同じものを採用し、ここの3バンドEQはHIGH(12kHz)、MID(2.5kHz)、LOW(80Hz)となっています。下部の左右には2基のフィルター・セクションが配置されていて、フィルター・タイプはハイパス/バンドパス/ローパスが用意されています。さらに出色なのはフィルターのON/BYPASS/BUMPを選択するトグル・タイプのバンプ・スイッチです。BYPASS/BUMP間にはバネの力がかかっており、BUMPにするとフィルターがオン、手を離すと張力でスイッチはBYPASSに戻りフィルターがオフになります。これにより、楽曲に合わせタイミング良く瞬時にフィルターをオフにできます。また、フィルターの作りも素晴らしく、ミックスに最適なセッティングが施されています。ほかにも、メイン・ミックスとキュー・バスをヘッドフォンの左右に分けるSPLIT CUEスイッチやクロスフェーダーのカーブを調節するCONTOURつまみなど、現場を意識した機能を豊富に搭載しながらそれらの配置が見事で、操作してみてその深い意図を感じました。各フェーダーの動きも滑らか、つまみもしっかりしており信頼できます。

DAWやDJソフトとの連携が可能
音質もMACKIE.ならでは


今度はNATIVE INSTRUMENTS Traktor 3を立ち上げたコンピューターと本機をFireWireで接続、オーディオI/Oとして本機を使用してみます。ソフト上でD.4 Proへの出力を設定、各PGMのSOURCEをFireWireへスイッチ。これでTraktor 3からのステレオ4系統が各PGMに立ち上がり、D.4 ProでEQやフィルタリングが可能です。ミキサーとオーディオI/Oが融合した手軽さだけでなく、音質の面でもその素晴らしさを十分に感じました。これがクラブ据え置きのミキサーであれば、僕のようにコンピューターを使用する人もオーディオI/Oを持ち込む必要がなく、接続もケーブル1本だけで済むので、トラブルも少なくなるでしょう。また、本機からコンピューターへはマイク×2、PGM×8、AUX×2、MAIN OUT×2の合計14chの信号を送ることができます。各PGMの信号は、背面のFW OUTスイッチを切り替えることで、EQ/フェーダーを通過する前後の信号どちらをDAWに送るかを選べます。これにより、タイムコードCD/レコードを手元のプレーヤーで操作し、Traktor Scratchをはじめとするタイムコード対応ソフトを制御、そしてソフトの音声信号を本機に立ち上げることも可能です。このような複雑な信号のやり取りの際、ケーブルを接続し直す必要がない点が本機の大きな魅力です。14イン/8アウトのルーティングは人それぞれでしょうから、背面の入出力の豊富さも相まって多様なセッティングができます。音質も素直で扱いやすいので、ただのDJミキサーとしてだけ使うのはもったいないくらいです。“ミックスする”という点を熟考したMACKIE.ならではのプロユース・モデルと感じました。欲しいです(笑)!!!20081101-06-002

▲リア・パネル。左からメイン・アウトL/R×2(RCAピン、XLR)、LIVE/RECORDボタン、LINE/MICボタン、ブース・アウトL/Rとゾーン・アウトL/R(共にTRSフォーン)、AUX SEND L/RとAUX RETURN L/R(共にTRSフォーン)、その下にFireWireポート×2、電源ソケット、電源スイッチ。PGM1〜4はそれぞれライン/フォノ入力L/Rとライン入力L/R、また上部にLINE/PHONOスイッチ×4、下部にFW OUTスイッチ×4を装備。最右部はファンタム電源スイッチとマイク入力×2(XLR/TRSフォーン・コンボ)

MACKIE.
D.4 Pro
192,290円

SPECIFICATIONS

■外形寸法/254(W)×117(H)×393(D)mm
■重量/5.2kg

REQUIREMENTS

■Windows/Windows XP(SP2以降)、INTEL Pentium 4またはAMD Athlon XP以上のプロセッサ、256MB以上のRAM
■Mac/Mac OS X(10.3.9以降)、G4以上のプロセッサ、256MB以上のRAM