ABLETON Liveとの相性抜群の屈強なUSB/MIDIコントローラー

VESTAXVCM-600
DJスタイルの多様化に伴い、さまざまな機材が出そろってきている今日このごろ。そんなさなか老舗のVESTAXから、USB接続タイプのMIDIコントローラーVCM-600が発売されました。ステージでの使用から楽曲の制作まで対応する安定したDAWソフト、ABLETON Liveでの操作を念頭に置いて開発された機材なので、それを踏まえてチェックしていきたいと思います。

存在感のある堅固なボディ
感覚的に素早い操作が可能


まず外観ですが、無駄なくシンプルな配色が個人的には好印象。フロント部分を覆うアルミ・ボディは質実剛健といった趣で、激しいプレイにも耐える強度を感じさせます。サイズもやや大きく重量もあるので、存在感は十分。また、両サイドにはLEDが仕込まれ、薄暗いステージやブース内でも適度な明るさで手元を照らしてくれます。接続はUSBケーブル1本、電源もUSBバス・パワーで供給されるので、セットアップはとても簡単です(別売りのACアダプターも使用可能です)。Windows/Macともに対応し専用ドライバーは不要で、接続するだけでコンピューターが認識してくれます。付属DVD-ROMにはABLETON Live Lite 7 Vestax Editionが収録されているので、“そもそもLiveを持ってない!”という方も安心です。これを起動すると、VCM-600のパネル上に表記されている機能が既にアサインされており、感覚的にすぐ操作を始めることができます。もちろん一般的なMIDIコントローラーとして、好みの機能をアサインして操作することも可能ですが、せっかくなので今回はこのデフォルト・プロジェクトを使用してみます。本機の各操作子は実に分かりやすい配置がなされています。まずはパネル左側に6つ並んでいるトラック部分。上から、hi/mid/lowのつまみとそれぞれのCUTボタンが並ぶEQセクション、その下にmute/soloボタン、pan、sendA/B、フィルターのresonance/frequencyといったつまみ類。さらにその下にはクロスフェーダーへアサインするためのcf asnボタン、再生中のクリップを表示するclipボタン、操作したいトラックを選択するtrackボタン、クリップのplay/stopボタン、そしてフェーダーとLiveを使用する際に肝となる操作子が備わっています。ちなみにパネル上にあるのは6トラックですが、後述のtrack bankボタンを使用することで計12トラック分の操作が可能です。右上のeffectセクションには、お好みの機能をアサインできるつまみとボタンを8個ずつ搭載。続いてその下にreturnA/Bトラック(それぞれにpanとmuteあり)、マスター・フェーダー、クロスフェーダーを配置。右端には前述のtrack bankボタン、loop in、loop out、loop on/offといったループ関連のセクション、tempo nudgeボタンやfineつまみ、tempoフェーダーといったテンポを操作するセクション、そして使い勝手の良い手元の位置にsceneつまみが用意されています。このsceneつまみと各トラックのtrackボタンの併用により、マウスを使用せずに各クリップやシーンの選択/再生ができます。

DJライクな操作感
テンポのコントロールも容易に


では実際に触ってチェックしてみましょう。まず気になる人は気になるであろう、つまみやフェーダーの操作感ですが、軽過ぎること無く程よい重みがあります。DJブースのような暗い場所ではよくある、不本意な接触によるトラブルを防ぐ絶妙な設計です。クロスフェーダーに関しては、縦フェーダーよりやや軽く設計されているという点にニヤリとさせられました。さらにクロスフェーダーのカーブが調節できる仕様など、端々にこれまで多くのDJミキサーを作り出してきた同社ならではの細かい気遣いが感じられます。各トラックのEQとフィルターを使用することで、音質補正から過激なオーディオ加工までお手の物です。加えてsendA/Bやeffect部にプラグインをアサインし、一般的なDJプレイでは不可能な展開も考えられます。パラメーターの細かい調節はLive側で可能なので、設定を追い込んでいくことで自分好みの環境を構築できます。また、テンポの微調整をマウスではなくボタンで行うのは思った以上に快適で、一瞬を争うセッション時などに効果てきめん。各ボタンは画面上と同期し点灯するので視認性も良好、レスポンスも良くなじみよいインターフェースも相まって効率の良いコントロールが可能となっています。今回はデフォルトの仕様でチェックしましたが、好みの機能をアサインし直したり、ほかのDAWソフトで使用することも可能です。環境やスタイルによって、多様な使い方に対応する本機は、Liveでの使用に興味のある方はもとより、ライブ・パフォーマンスや自作曲の大胆なリアルタイム・ミックスでの使用を考えている方など、幅広いユーザーにとって新たな選択肢となるでしょう。20081101-05-002

▲リア・パネル。左よりフット・スイッチ端子(TRSフォーン)、MODE切り替えスイッチ、DCイン、電源切り替えスイッチ、USB端子

VESTAX
VCM-600
オープン・プライス(市場予想価格/75,000円前後)

SPECIFICATIONS

■外形寸法/280(W)×74(H)×190(D)mm
■重量/1.25kg

REQUIREMENTS

■Windows/Windows XP(SP2以降)/Vista(SP1以降)、1.5GHz以上のCPU、512MB以上のRAM、USB端子、DVDドライブ
■Mac/Mac OS X 10.4以降、G4以上のCPU、512MB以上のRAM、USB端子、DVDドライブ