斬新なデザインのイタリア産6モノ+4ステレオ・パワード・ミキサー

ETEKMA400

イタリアのETEK(イーテック)社より、話題のラップトップ・ミキサーが日本に上陸しました。同社は、1991年イタリアにおける楽器生産の最重要地点の1つであるマルケ州に近いレカナティで設立、パワード/パッシブ・スピーカーを専門にスタートしましたが、1993年にMX1604Xでミキサー市場に参入。そんな同社が放つラップトップ・ミキサーMA400に今回は注目しましょう。

サイズからは想像できない
充実した機能を搭載


外観は文字通りラップトップ・パソコン型で、本体(パワー・アンプ部)にパソコンで言えばディスプレイ部分に当たるミキサー操作部を開いて使用する形です。ぱっと見ミキサーには見えず、初めて見る人は"きゃー、何これー!"と必ず言いますね。機能的には、このサイズで最大モノ6ch+ステレオ4系統の計14chの入力とデジタル・マルチエフェクト・プロセッサーを備え、パワー・アンプも搭載するオールインワン・タイプです。


14chの入力のうち6chは、モノラル入力のXLRタイプでファンタム電源も供給可能。ステレオ入力はフォーンを用意。また、モノラル入力部は各チャンネル共通でPFL、インプット・ゲイン、クリップ・インジケーター、3バンドEQ、パンポット、インサート端子を装備。AUXも3系統用意されています。AUX1/2は常にポストフェーダーで、外部エフェクター等に使用できます。一方AUX3は常にプリフェーダーで、モニター送り等の外部アンプのコントロールに使用します。また内部エフェクターは、AUX1でコントロール可能。なおステレオ4系統の入力はライン入力のみですが、EQは無いもののAUXコントロールは可能です。そして、これらのコントロールはすべてスライド・ボリューム(フェーダー)にて行うわけです。つまみやスイッチ類を一切使用していないため、一見グラフィックEQにも見えますね。


内部エフェクターは99種類のディレイ、リバーブ、ディレイ+リバーブから成り、パネルのUP/DOWNとRECALLボタンで呼び出しが可能です。さらにアサインは、エフェクト・パネルの下にあるスイッチで行い、ポジション1はOFF(エフェクト解除)、ポジション2はLR、AUX3にアサイン。そしてポジション3はLRのみと、使用に応じた選択が可能となっています。


マスター・セクションは、レベル・メーター付きのマスター・フェーダーと、ヘッドフォン・モニターのコントロール・フェーダーから構成。これはPFL、AUX3、そしてLRの選択が可能です。さらにレベル・メーターもPFL、AUX2/3、LRの選択が可能。限られたスペースを有効活用しています。


背面にはパワード・スピーカー類を接続するためのXLR出力端子、AUX1-3出力端子、マスターへのインサート端子、そして内蔵のパワー・アンプの出力端子(スピコン)を装備。パワー・スイッチおよびヘッドフォン端子(2個)、EXTENSION PORT等は、前面に配置されています。


斬新なデザインとスペース・ユーティリティは素晴らしく、サイズからは想像がつかないほどの機能と言えます。ただ1つぜいたくを言わせてもらうと、操作部のフェーダーとパンポットは、ふたの部分ではなくノート・パソコンでいうキーボード部分に位置してほしかったですね。


イージー・オペレーションなので
セッティング時間の少ない現場もOK


実際の使い勝手ですが、入力から出力までノンパッチですので、音を出すまでの時間が非常に速いです。必要なマイクを入力してスピーカーを結線するだけで、すぐに音を出せました。またモニター送りや、マイクにリバーブを付加すること等も瞬時に行えます。オペレーションの場所が無く、さらにセッティング時間の無いイベントには、大変重宝しますね。しかもラップトップ・タイプなので、台本や資料を卓の上に置いても操作に支障を来すこと無く、コントロール可能です。


ただ先に述べましたフェーダーの位置ですが、やはりこのタイプのミキサーに慣れていないため少々辛いこともあります。まあコンサートなどで微妙なフェーダー・ワークを必要とする訳ではありませんので、全然問題は無いのですが......。


内蔵のパワー・アンプも、このクラスのミキサーには十分のパワーと力強い印象を受けました。パワー・アンプの端子も、フォーンではなく信頼性の高いスピコンを使用している点は共感が持てます。メーカーのプロ意識を感じた部分ですね。


ところで、使い終わって最後に発見したものがあります。それは、本体中央の下部にある小さなランプです。使用しているときは気にならなかったのですが、終わって部屋の電気を消したときに、何とこのランプが、操作部分を照らしていたのです。これは、日本製には無い感覚ですね。



ETEK
MA400
82,900円

SPECIFICATIONS

ミキサー部
■チャンネル数/6mono+4stereo
■周波数特性/20Hz〜20kHz+/-1dB(ライン)、75Hz〜20kHz+1/-3dB(マイク)
■クロストーク/>60dB@1kHz
■入力インピーダンス/2.2kΩ(マイク)、56kΩ(ライン、モノ)、10kΩ(ライン、ステレオ)
■トーン・コントロール(ch1〜6)/ハイ:10kHz±15dB(シェルビング)、ミッド:700Hz±15dB(ピーキング)、ロー:80Hz±15dB(シェルビング)
パワー・アンプ部
■出力/200W+200W
■出力インピーダンス/8Ω
■周波数特性/30Hz〜20kHz+/-1dB@1W
共通部
■外形寸法/295(W)×76(H)×238(D)mm
■重量/9kg