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オーケストラ用ブラスをソロ/アンサンブルで収めたソフト音源「VSL Synchron Brass」レビュー

オーケストラ用ブラスをソロ/アンサンブルで収めたソフト音源「VSL Synchron Brass」レビュー

 VIENNA SYMPHONIC LIBRARYは打ち込みのれい明期からオーケストラ楽器のライブラリー化に着手し、業界のトップ・ランナーとして本格的なオーケストラ音源を提供し続けている。近年は同社が運営するスタジオSynchron Stage Viennaで収録されたピアノ音源や、ストリングス・アンサンブル音源などをリリースし、そのスタジオの豊かな響き、演奏のクオリティの高さ、サウンド・コントロールやエディットのフレキシブルさが好評を得ている。このたび新しいブラス専用音源Synchron Brassがリリースされた。

新機能Timbre Adjustにより自然な管楽器の音色変化を再現

 Synchron Brassのライブラリーは、トランペット、ホルン、トロンボーン(テナー/バス)、チンバッソ、バス・チューバをソロ/アンサンブルの両方で収録している。

 

 まずトランペットの音色からチェックしてみた。異なるベロシティのサンプルを、クロスフェードで行き来して、サステインの強弱を表現する技術を用いたプリセット“VelXF sus”を読み込んで試奏。最初はソフトな丸い音色で、楽譜上ではメゾピアノくらいの音量感だが、モジュレーション・ホイールを上げていくとどんどん音色はブリリアントになり、フォルティッシモまで引き上がる。演奏表現のタイプを“Con fortissimo”に設定すれば、フォルティッシッシッシモくらいまで引き上げられるので、派手できらびやかなブラス・サウンドを求めるユーザーの期待にも十分に応えることができるだろう。

 

 このベロシティ・クロスフェードのほか、Synchron Brassでは“Timbre Adjust”という新たなコントローラーが搭載されている。ベロシティ・クロスフェードでは不自然になってしまう音色変化でも、Timbre Adjustなら独自のフィルターにより自然なダイナミクス変化を生み出すことができる。ベロシティ・クロスフェードと併用することで、より自然な管楽器の表情を再現することが可能だ

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画面下部に表示されるPERFORMタブを選択し、パラメーターを調整することで、好みの音色を作ることができる。新機能Timbre Adjust(左から4つ目)は、より自然な管楽器の表情を再現する際に役立つ

 アーティキュレーションは、これまでのSynchronシリーズと同じく、階層ごとにキー・スイッチで整理されており、膨大なサンプルの中から目的の奏法などにたどり着きやすい構造。個人的には、“ConVibrato” というビブラートの音色と、レガートのニュアンスが大変気に入った。これで情感たっぷりのカンタービレ・ソロも問題なく表現できる。また1番奏者、2番奏者、4人のユニゾン、6人のユニゾンとのバリエーションが収録されており、編成に応じた多彩なアンサンブルを実現することも可能だ。

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画面上部左側のアーティキュレーションを選択後、タイプ、スピード、ビブラートなどの演奏/音色表現を設定していく

楽器の音と部屋の響きを両立し、芯がありぼやけない音色を実現

 次にホルンの音色を試奏してみた。こちらも素晴らしい質感。ホルンはなんといっても楽器本来の音と、鳴らす部屋の響きが非常に重要となるが、Synchron Stage Viennaのリッチな響きの威力がここで遺憾無く発揮されている。たっぷりとしたルーム・アンビエンスを持っていながら、膨張感が無く、楽器音の芯がぼやけないのがこの製品全体の特徴だ。

 

 従来のSynchronシリーズと同様に、画面下部のMIXタブを選択すると複数のマイク・ポジションのバランスや、ディレイやリバーブといったエフェクトを細かく調整することができる。また1番奏者、2番奏者、6人のユニゾン、12人のユニゾンという4種類が収録されているので、ソロ、ユニゾン、ディビジなど、意図するオーケストレーションによる音色の違いを再現することも可能になっている。

 

 トロンボーン(テナー/バス)、チンバッソ、バス・チューバも、幅広いダイナミック・レンジと十分な中域&低域の鳴りを持っており、Synchron Brassだけで組んだ金管アンサンブルの楽曲なんていうのも十分な聴きごたえがありそうだ。

 

 筆者の肌感覚ではVIENNA SYMPHONIC LIBRARYは今日に至るまで“ストリングスが得意”というイメージがあったが、この製品を試して“ブラスもすごい!”という認識に改まった。一口にオーケストラのブラス・セクションと言っても、時代や国ごとの音楽スタイルにより求められるアーティキュレーション、ニュアンスは大きく異なるので、それを一種類の音源で網羅するのはなかなか難しい。アメリカ生まれの音源はハリウッドさながらの強奏中心のサウンド、ヨーロッパ生まれの音源はクラシカルな上品なサウンドというように、それぞれに特徴があるのが普通だった。

 

 しかし近年はオーケストレーションの技術もワールドワイド化し、ハリウッドだからこう、ヨーロッパだからこう、という垣根も無くなりつつある。そんな時代に生まれたSynchron Brassは、多様化するオーケストラ・ブラスを限りなく高品質なサウンドで、余すところなく表現することを目標としたメーカーの意気込みが感じられ、演奏に携わったプレイヤーたちの多彩な演奏技術が光る音源となっている。

 

牧戸太郎
【Profile】三重県出身の作編曲家。東京音楽大学を卒業後に作編曲家として活動を開始し、ドラマや映画などの劇伴のほか、Hey!Say!JUMPや竹内まりや、King & Princeなどの編曲を手掛けている。

 

VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Synchron Brass

79,090円

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REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.13以降、INTEL Core I5以上のプロセッサー(INTEL Core I7/I9/Xeon以上推奨)
▪Windows:Windows 8.1/10(64ビット)、INTEL Core I5またはAMD Athlon Pro以上のプロセッサー(INTEL Core I7/I9/Xeon以上推奨)
▪共通:16GB以上のRAM(32GB以上推奨)、VIENNAキーまたはその他のUSB-eLicenser、SSD、スタンドアローンでも動作可能(AU/VST/AAX対応のホスト・アプリケーションを推奨)

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