有線接続も可能なBluetoothモニター・ヘッドフォン「CLASSIC PRO CPH7000BT」レビュー

有線接続も可能なBluetoothモニター・ヘッドフォン「CLASSIC PRO CPH7000BT」レビュー

 サウンドハウスのプロデュースによる音響機器ブランド、CLASSIC PROのヒット商品の一つであるモニター用ヘッドフォンのCPH7000ですが、このたびBluetoothを搭載したバージョンがCPH7000BTとして新たに登場しました。筆者はCPH7000を何度か使用したことがありますが、約4,000円というリーズナブルな価格にもかかわらず、モニター・ヘッドフォンとして全く差し支えないクオリティに驚きました。そのCPH7000のBluetoothモデルということで俄然、期待してしまいますね。

まずは有線接続で試聴。低域と高域の両者が豊かな音色

 CPH7000BTは、無線と有線両用のヘッドフォンです。まずは、本体左側のステレオ・ミニ・ジャックに付属のケーブルをつないで有線モードで音質をチェックしていきましょう。説明書に記載されている仕様によりますと、ドライバーは40mm径のネオジム・マグネット、インピーダンスは64Ω、再生周波数特性は10Hz〜30kHz、感度は108dBとなっています。数値の上ではSONY MDR-CD900STとほぼ同じです。装着感は締め付けがやや強めで、イア・パッドにはしっかりとした厚みがあります。周波数特性はMDR-CD900STと比較すると若干狭いですが、実際音を聴いてみるとむしろCPH7000BTの方が高域も低域も伸びて聴こえます。裏を返せば中域が引っ込んだドンシャリなサウンドだとも言えますが、極端なドンシャリではないのでバランス良くモニターすることができます。

 

 最大許容入力については、調べたところCPH7000が1,000mWとなっていますので、このCPH7000BTもカタログ記載は無いものの同じ値だと思われます。モニター・ヘッドフォンとして十分なスペックでしょう。Bluetooth搭載ということでバッテリーが内蔵されており、重量は一般的な有線のモニター用ヘッドフォンより重くなってしまいますが、重みが多少あった方が装着時の安定感が増す気がします。長時間の使用になってくると人によっては疲れると感じるかもしれませんが、筆者は全く違和感無く使うことができました。

 

 付属のケーブルは両側ともステレオ・ミニ端子になっていますが、片方はねじ込み式のステレオ・フォーン変換アダプターを付けられるようになっています。また、Bluetooth使用中でも有線接続すると自動的にBluetoothはオフになるので、無線と有線の同時使用はできません。ステレオ・ミニ端子のケーブルなら何でも使えるので、好みのケーブルに替えて使用するといった楽しみ方もありますね。

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付属のストレート・ケーブル(約2.2m)と変換アダプター

Bluetooth接続でも有線と同等の高音質。スマホでの通話も可能

 続いてBluetooth接続での音質をチェックしてみました。Bluetoothのバージョンは5.0で、コーデックはSBC/AAC/aptXに対応。今回はAPPLE Mac Mini(同じくSBC/AAC/aptX対応)からMP3やWAVのオーディオ・ファイルを再生してチェックしてみたところ、有線との違いはほとんど感じられませんでした。Bluetoothの仕様上レイテンシーはある程度発生してしまいますので、演奏のモニターとして使う場合は有線接続した方が良いでしょう。

 

 また、左側ユニットには通話用のマイクが付いています。実際にスマートフォンに接続して電話してみると、クリアな音質で問題無く通話できました。少し残念ですが、このマイクはBluetooth接続時のみ有効で、有線モードには対応していません。同じく左側ユニットに3つのボタンがあり、向かって左の-ボタンは音量ダウン、長押しで曲戻し。中央の+ボタンは音量アップ、長押しで曲送りができます。右のコントロール・ボタンは再生/一時停止、長押しで電源オン/オフ、また電源オフの状態で5秒間長押しすればペアリング・モードに切り替わります。この辺の操作はBluetooth接続のイアフォンやヘッドセットを普段使っている方には慣れ親しんだ操作方法でしょう。

 

 また充電は付属のUSB Type-Cケーブルを使って行います。充電とBluetoothの接続状態をそれぞれLEDインジケーターで確認できるようにもなっています。なお、充電しながらのBluetooth接続はできませんので、あらかじめ充電しておきましょう。

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左側ユニットのボタン。-ボタンは音量ダウン、長押しで曲戻し、+ボタンは音量アップ、長押しで曲送り。コントロール・ボタンは再生/一時停止、長押しで電源オン/オフ、電源オフ状態に5秒長押しでペアリングできる。充電とBluetoothの接続状況はLEDインジケーターで確認可能。通話用マイクは内部に搭載されており、側面の穴から音声を拾う仕様

 このようにBluetoothヘッドフォン、モニター・ヘッドフォンとしての基本性能を充分に備えており、かつ6,980円前後という価格を実現しているのは驚きです。演奏やレコーディング、ミックスの作業には有線接続のモニター・ヘッドフォンとして、また出先でのちょっとした作業や普段使いには無線モードが適していると思います。初心者のクリエイターやエンジニアの方の1台目として最適なヘッドフォンですし、既にお気に入りをお持ちの方も、予備や貸し出し用として持っておいて損は無いでしょう。

 

濱本洋平
【Profile】フリーランスでPAやレコーディングを手掛けるエンジニア。これまでに赤い公園や集団行動、GARLICBOYS、あっぱ、Vampillia、Kroiなど、多くのアーティストのライブや作品に携わる。

 

CLASSIC PRO CPH7000BT

オープン・プライス

(市場予想価格:6,980円前後)

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SPECIFICATIONS
▪形式:密閉ダイナミック型 ▪ドライバー:40mm径(ネオジム・マグネット) ▪感度(1kHz):118dB/mW ▪周波数帯域:10Hz~30kHz ▪インピーダンス:64Ω ▪Bluetoothバージョン:5.0 ▪Bluetoothコーデック:SBC/AAC/aptX ▪最大到達距離:約10m ▪最大連続再生時間:約30時間 ▪充電時間:約2.5時間 ▪重量:約295g(ケーブル除く)

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