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「SPITFIRE AUDIO Abbey Road One: Orchestral Foundations」製品レビュー:アビイ・ロード・スタジオ“Studio One”で収録したオーケストラ音源

SPITFIRE AUDIOとアビイ・ロード・スタジオがタッグを組み、オーケストラ音源Abbey Road One: OrchestralFoundationsをリリースした

  高品質なオーケストラ系音源を多数発表してきたSPITFIRE AUDIOとアビイ・ロード・スタジオがタッグを組み、オーケストラ音源Abbey Road One: Orchestral Foundationsをリリースしました。多くのメーカーのオーケストラ音源を試してきた筆者もお薦めできる音源です。

スムーズに制作できるパッチの読み込みの速さ
大編成の弦楽器は高域と低域に分けて収録

 本製品は、Mac/Windows対応のオーケストラ音源ライブラリーです。それぞれの楽器は弦/金管/木管/打楽器の4つのセクション別に収録され、思い浮かんだイメージをスケッチする段階での使用にも向いています。通常オーケストラ音源を使って作曲やアレンジをする場合、膨大な容量のパッチの読み込みに時間がかかり、読み込み中に思い浮かんだフレーズを忘れてしまう……なんてこともあります(経験談)。しかし、Abbey Road One: Orchestral Foundationsはライブラリーの起動にかかる時間が短いので、オーケストラ編成の曲をサッと作ることが可能。操作方法は、同社製品のBBC Symphony Orchestraと同様で、SPITFIRE AUDIO独自のプレイヤー内で、パッチを選んで読み込む方式です。

 

 アビイ・ロード・スタジオのStudio Oneで収録されたという音色は、全体的にリッチな印象です。弦楽器は16−14−12−10−8の大編成で収録。High Strings(バイオリン〜ビオラの音域)とLow Strings(チェロ〜コントラバスの音域)に分けられています。筆者は作業時に、細かいアレンジを進める前の段階でトラックを高音と低音で分けるので、この収録方法は個人的にうれしいです。オートメーションなどをしっかり調整すれば、納品物としても十分使えるでしょう。

 

 金管楽器は、Trumpets/Horns/LowBrassに分かれて収録され、特にホルンは迫力があり、曲の中で存在感が出る音でした。木管楽器は、High Woods/Low Woodsに分割。打楽器は、Drums/Metals/Tunedがあり、DrumsとMetalsに収録された音色を合わせてあるPercussionカテゴリーを読み込んでおけば即戦力となるでしょう。

ストリングスとトランペットの音の立ち上がりが良く
アーティキュレーションの切り替え方法も多数用意

 筆者が特に気に入ったのは、打鍵してから音が鳴るまでの音の立ち上がりの速さ。特にストリングスとトランペットの立ち上がりの良さは思わず小躍りするほど。細かい設定をせずともデフォルトで十分使えると思います。

各アーティキュレーションは、音の長さや技法別にカテゴライズされ、一覧表示される

各アーティキュレーションは、音の長さや技法別にカテゴライズされ、一覧表示される

 アーティキュレーションは基本的なものが配置されていますが、使わないものはオフできるので、メモリーの節約にもよいですね。アーティキュレーションの切り替えは、トラックの中でキー・スイッチを使って切り替える方法と、奏法ごとにMIDIトラックを分ける方法の両方に対応。TRIGGERの項目で、KEYSWITCHかMIDI CHANNELを選択してください。特に後者は、音色ごとにパッチを読み込まなくてよいのが、これまたメモリーに優しいですね。ほかにもパッチの切り替え方法は多数あります。

 

アーティキュレーションは、キー・スイッチでの切り替えと、MIDIチャンネルを分ける方法のいずれにも対応する

アーティキュレーションは、キー・スイッチでの切り替えと、MIDIチャンネルを分ける方法のいずれにも対応する

 そのほか、REVERB、TIGHTNESS、VIBRATO、RELEASEの4つのFXパラメーターや、マイキングを細かく設定できるミキサー・チャンネルも搭載し、お好みの音作りにもトライできます。Mixフェーダーは、『アバター』や『ハリーポッター』の音楽を手掛けたサイモン・ローズ氏による2種類を用意。Mix1は情緒ある音色で、打鍵後少し音が膨み、響きが豊かなイメージです。Mix2は余韻を抑えた分、スラーで弾いても音の粒が立っていて、駆け上がりなどのフレーズで使うと、とても雰囲気が出るでしょう。個人的には、白玉系はMix1を、細かくフレーズが動くときはMix2が良いと思います。

 

 マイキングは、より奏者に近い音を足したいときはスポット・マイクのClose、ステレオ感を足したい場合は、デッカ・ツリーを中心に配置した無指向性マイクのOutriggersをオンに。指揮者の位置の音を鳴らしたいというマニアックな方は、指揮者位置のリボン・マイク、Vintage2が使用できます。

 

 SPITFIRE AUDIO製品の入門用としてもお薦めできますし、突き詰めればこれだけでオーケストラ曲を作り込むこともできるでしょう。より高度な制作には、BBC Symphony Orchestraなどを入手する方がよいかもしれませんが、手軽で高音質なオーケストラ音源や、初めてのオーケストラ音源を探す方などは、本製品を候補に入れると良いと思います。

 

カワイヒデヒロ
【Profile】大学卒業後より作編曲家/ベーシストとしてキャリアをスタートし、fox capture planのベーシストとしても活動中。『コンフィデンスマンJP』など多くのテレビ番組や映画の楽曲を担当している。

 

SPITFIRE AUDIO Abbey Road One: Orchestral Foundations

46,510円(価格は為替レートによって変動)

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REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.10〜10.15(64ビット)、AAX/AU/VST対応のホスト・アプリケーション、16GB以上のRAM、INTEL Core I5以上のプロセッサー ▪Windows:Windows 8/10(64ビット)、AAX/VST対応のホスト・アプリケーション、8GM以上のRAM(16GB以上推奨)、INTEL Core I5またはAMD Ryzen 5 2.8GHz以上のプロセッサー(Core I7/AMD Ryzen 2700以上推奨) ▪共通:70GB以上のストレージ空き容量(インストールには倍の容量が必要)

 

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