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「PRESONUS Revelator」製品レビュー:2系統のループバック機能やエフェクトを搭載するDSP内蔵USBマイク

PRESONUSがDSP内蔵のUSBマイク、Revelatorを発売

 オンライン授業やビデオ会議はもはや当たり前となり、ライブ・ストリーミングやポッドキャスト向けのマイクは近年注目傾向にあります。そんな中PRESONUSはDSP内蔵のUSBマイク、Revelatorを発売しました。

カーディオイド/フィギュア8/オムニから
マイクの指向性を選択可能

 Revelatorは、USBマイクと卓上用ブーム・スタンドが一体となったモデル。6イン/6アウトのオーディオI/O機能を搭載し、Mac/Windows対応でサンプリング・レートは最高24ビット/96kHzを誇ります。

 

 マイク底面には、バス・パワー供給や後述する付属ソフトのUniversal Controlをインストールしたコンピューターとの接続を行うためのUSB端子(Type-C)と、ヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)を搭載。必要な端子はすべてここにまとめられており、簡単に言うなら“コンピューターとマイクをUSBケーブル1本で接続するだけ”なので、机周りはすっきりします。

内蔵DSPによるエフェクトやミキサーを制御するソフト、Universal Control。画面上部はエフェクト・プリセット・セクション、同下部はミキサー・セクションとなっている

内蔵DSPによるエフェクトやミキサーを制御するソフト、Universal Control。画面上部はエフェクト・プリセット・セクション、同下部はミキサー・セクションとなっている

 マイク本体のフロント・パネルには上からPresetボタン、Monitorボタン、Volumeノブを装備。Presetボタンはエフェクト・プリセットにアクセスする際に、Monitorボタンはマイク入力のほか、コンピューターからのプレイバックとマイク間の音量バランスを設定する際に、Volumeノブはヘッドフォン出力やマイク入力、モニター・レベルなどを調整する際に使用します。これら2つのボタンと1つのノブは、赤/青/黄/緑などに点灯して現在の状況を視覚的に伝えてくれます。なお、リア・パネルにボタンやノブなどは一切ありません。

 

 Revelatorは本体にDSPを内蔵しており、ライブ/スタジオ用デジタル・コンソールPRESONUS StudioLiveシリーズのFat Channelプロセッサーの一部を装備。ハイパス・フィルター、ゲート、コンプ、EQ、リミッターといった基本的なエフェクトのほか、ダブラーやデチューナー、ボコーダー、ロボット・ボイスを提供するリング・モジュレーター、フィルター、ディレイといった音声用特殊エフェクト6種類も搭載しています。

 

 そしてRevelatorの可能性をフルに引き出すには、先述した付属ソフトのUniversal Controlが必須だと言ってもよいでしょう。Universal Controlを使用すれば8種類の既存エフェクト・プリセットの編集や、8種類のオリジナル・プリセット作成が可能。マイク本体にあるPresetボタンを押せば、最大4種類のエフェクトを瞬時に呼び出すことが可能なのですが、このエフェクトの種類や数も細かく設定が行えます。さらにはマイクの指向性切り替えも、カーディオイド/フィギュア8/オムニの3種類から選べるため、さまざまなレコーディングのシチュエーションに対応できます。

マイクは色付けの無いクリアな音質
Studio One Artistも付属

 テストでは音声やボーカル、アコギなどを試してみましたが、色付けの無いクリアな音質で録音することができました。癖の無いサウンドはPRESONUS製品に通底しているように感じられ、Revelatorも例外ではありません。レイテンシーはほとんど感じない状態でのモニタリングやレコーディング、エフェクト処理を体感することができます。

 

 これだけでも十分ハイクオリティなUSBマイクとして評価できるのですが、真骨頂はここから。Universal Controlではエフェクトだけでなくミキサー設定も行え、ミキサー・セクションではマイク入力に加えてステレオのプレイバック入力が1系統のほか、ステレオのループバック入力が2系統用意されているという珍しい仕様です。

 

 例えばZoomでオンライン会議をしながら、コンピューター内に保存した音声やYouTube動画を再生しつつ、さらに制作中の音楽や動画編集ソフトの音声も相手に届けたいクリエイターや、ゲームのBGMと自分の声、そしてボイス・チャット相手の音声をまとめて配信したい実況者などにお薦め。どれも珍しいケースではありませんが、このような状況での音響機材をさらりとセットアップできる人は、特に一般ユーザーの間ではそう多くないでしょう。中には面倒であきらめていた人も居るかもしれません。

 

 しかしRevelatorを用いれば、このような例をたった1台のマイクで実現できてしまいます。自分の音声+コンピューターで再生した音楽をまとめたい場合なら、ループバック入力はステレオ1系統で足りるのですが、昨今主流のオンライン会議やポッドキャストを行いながら複数の音声を使用するようなケースだと、どうしてもループバック入力はステレオ2系統必要です。そんなときこそ、Revelatorの恩恵をダイレクトに受けることができるでしょう。

 

 DAWとの接続に必要な操作は、DAW側の出力をRevelatorのループバック入力に割り当て、Universal Controlで音量調節をするだけ。DAWソフトのPRESONUS Studio One Artistも付属しているため、DAWを持っていない方でもすぐに録音までできる環境が手に入ります。

 

 昨今はコンピューターを用いたオンライン・コミュニケーションの機会、そしてその形態は多様化する一方です。そんな中、RevelatorのようにコンピューターとUSBマイクのみという非常にミニマルなセットアップで、オンラインを使った現代のさまざまな音声コミュニケーションをカバーできる便利なツールは、個人的に知る限りほかに見当たりません。高音質かつエフェクトも使えて操作性も簡単。しかも一歩踏み込んだ音声ルーティングを実現するRevelator。筆者にとって、現状では代替できない唯一無二のUSBマイクとなっています。

 

in the blue shirt
【Profile】有村崚のソロ・プロジェクト。Maltine RecordsやSeco nd Royalからのリリースを経て、2016年と2019年にはアルバム を発表する。ボーカル・エディットを駆使した独特の作風が特徴的。

 

PRESONUS Revelator

オープン・プライス

(市場予想価格:27,500円前後)

PRESONUS Revelator

SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド/フィギュア8/オムニ ▪感度:1mV/Pa ▪最大音圧レベル:110dB<3%THD ▪ヘッドフォン出力(RMS):22.6mW(16Ω) ▪周波数特性(ヘッドフォン出力):20Hz〜20kHz ▪インピーダンス:(ヘッドフォン出力)16Ω ▪ダイナミック・レンジ(ヘッドフォン出力):77.5dB ▪ビット/サンプリング・レート:24ビット/44.1/48/88.2/96kHz ▪電源:USBバス・パワー ▪外形寸法:130(W)×225(H)×130(D)mm ▪重量:0.73kg

REQUIREMENTS
▪Windows:Windows 10(64ビットのみ)、AMD A10プロセッサー以上 ▪Mac:Mac OS X 13以降(64ビット)、INTEL
シリーズ2GHzマルチコア・プロセッサー ▪共通:INTEL Core I3以上、4GB以上のRAM(8GB 以上推奨)、32GB以上のディスク容量、1,366×768px以上の解像度のモニター

製品情報