「BLUE CAT AUDIO」Uni-Vibeを再現したPolyVibeなど個性的なギター系プラグイン

Uni-Vibeを再現したPolyVibeなど個性的なギター系プラグイン「BLUE CAT AUDIO」

フックアップが運営するオンライン・ストアのbeatcloudから、注目のソフトをピックアップする本コーナー。今回レビューするのはフランスに拠点を置くソフトウェア・ブランドBLUE CAT AUDIOの新製品、Blue Cat's PolyVibeをはじめ、Blue Cat's Axiom、Blue Cat's Destructor、Blue Cat's Late Replies、Blue Cat's Hot Tunaといったギター/ベースに関連するプラグインです。Mac/Windows対応で、AAX/AU/VST3プラグインとして動作。Blue Cat's Axiomのみ、スタンドアローン・アプリケーションとして使用可能となっています。

実機のシミュレートだけでなく現代的機能も搭載のBlue Cat's PolyVibe

Blue Cat's PolyVibe

Blue Cat's PolyVibeは、サイケデリックなサウンドが作れるUni-Vibe系エフェクト・ペダルのシミュレーション・プラグイン。加えてClassic/Reversed/Phaseといった3種類のモードを搭載し、ステレオ入力にも対応している

Blue Cat's PolyVibeは、サイケデリックなサウンドが作れるUni-Vibe系エフェクト・ペダルのシミュレーション・プラグイン。加えてClassic/Reversed/Phaseといった3種類のモードを搭載し、ステレオ入力にも対応している

 Blue Cat's PolyVibeは、サイケデリックなサウンドが作れるUni-Vibe系ギター・ペダルのオリジナル機をシミュレートしたプラグイン・エフェクト。コーラスやフェイザーといったモジュレーションからフィルター、ロータリー・スピーカー・サウンドまで再現しているとのことです。

 それだけではなく、Blue Cat's PolyVibeには現代的な機能も追加されています。画面左上にあるModeノブでは3つのモードを切り替え可能。スタンダードなClassicに加え、LFOの動きを逆転させてワウのような効果を演出するReversed、シャープなノッチを持つPhaseの3種類があります。またステレオ入力にも対応しているため、ギターだけではなくシンセなどのパートに使用できるようになっています。

 そして、Blue Cat's PolyVibeは銀河のようなデザインのマップから好みの音色を選択できるというユニークな機能、Tone Mapを搭載。画面最上段にあるツール・バーから二重丸のアイコンをクリックすると、Tone Mapの画面が出現します。左端にあるメニューから任意のプリセットを選択すると、それと関係する複数のプリセットがTone Map上に青丸で表示されるので、緑のポインターをドラッグして好きな位置に移動させましょう。

Tone Mapの画面。左端にあるメニューから任意のプリセットを選択すると、関係のあるプリセットがTone Map上に青丸で表示される。画面中央にある緑のポインターを動かすことで、ポインターの付近にあるプリセットの音色同士をミックスすることができる

Tone Mapの画面。左端にあるメニューから任意のプリセットを選択すると、関係のあるプリセットがTone Map上に青丸で表示される。画面中央にある緑のポインターを動かすことで、ポインターの付近にあるプリセットの音色同士をミックスすることができる

 ポインターを動かすことでプリセットの音色はもちろん、ポインターに近い位置にあるプリセットの音色同士をミックスすることが可能です。いちいち細かいパラメーター設定をする必要がないため、直感的にイメージするサウンドを見つけることができます。オートメーションを描くことも可能です。

 筆者はギターのエフェクトにロータリー・スピーカー・サウンドをよく使うのですが、Blue Cat's PolyVibeではキャラクターの濃い個性的なサウンドが作れました。薄くかけることでトレモロやコーラスなどとは一味違う、能動的で浮遊感のあるサウンドが作れるのでお薦めです。

 個人的にはReversedのプリセットが好印象。オート・ワウやトーキング・モジュレーターのようなものが多数用意されており、曲中のギミックとして使ってみたくなるサウンドだと感じました。

マルチエフェクトのBlue Cat's Axiomはサード・パーティ製プラグインも組み込み可能

Blue Cat's Axiom

Blue Cat's Axiomは、ギター/ベース向けのマルチエフェクト/アンプ・シミュレーション・プラグイン。2系統のチャンネルそれぞれにアンプ・シミュレーターを備え、別々に鳴らしたり、両者をミックスしたりすることができる。また入出力段には、それぞれ4つのエフェクト・スロットを備え、チューナーやブリックウォール・リミッターも搭載している

Blue Cat's Axiomは、ギター/ベース向けのマルチエフェクト/アンプ・シミュレーション・プラグイン。2系統のチャンネルそれぞれにアンプ・シミュレーターを備え、別々に鳴らしたり、両者をミックスしたりすることができる。また入出力段には、それぞれ4つのエフェクト・スロットを備え、チューナーやブリックウォール・リミッターも搭載している

 ギターやベースに特化したマルチエフェクト/アンプ・シミュレーション・プラグインです。AとBという2系統のアンプ・シミュレーション・チャンネルがあり、これらを個々に使用したり、ミックスしたりすることができます。またAとBのチャンネルには、前段にPRE FX Strip、後段にPOST FX Stripという6つのエフェクト・スロットを搭載。画面中央にあるアンプ・エディター内で音色調整ができるだけでなく、PRE FX StripとPOST FX Stripを併用すれば独自のチェインを構築することができるでしょう。

 入力段のINPUTと出力段のMASTERには、それぞれ4つのエフェクト・スロットがあり、INPUTには高精度チューナーも備わっています。またMASTERにはブリックウォール・リミッターが搭載されているため、レベル・オーバーでひずんでしまったということを防げるでしょう。

 Blue Cat's Axiomはアンプ・シミュレーター/マルチエフェクトとして使用できるのはもちろん、各エフェクト・スロットにはサード・パーティ製のAU/VST/VST3プラグインを追加できるため、プラグイン・ハブとしても扱えて便利です。

 内蔵エフェクトは高品質で、ひずみ系からディレイ、リバーブ、FX系まで網羅されているため、自由度の高いオリジナルのエフェクト・チェインを作り出すことが可能。Blue Cat's Axiomに複数のプラグインまとめておくことによって、制作時の時短にもつながるでしょう。

Blue Cat's Destructor

ギター/ベース・アンプやコンプ、テープ・マシン、ビット・クラッシャーなどから得られるひずみをモデリングするディストーション・プラグイン、Blue Cat's Destructor。ゲートやコンプ、最終段にはブリックウォール・リミッターを内蔵するほか、Tone Mapやランダマイズ機能も備えている

ギター/ベース・アンプやコンプ、テープ・マシン、ビット・クラッシャーなどから得られるひずみをモデリングするディストーション・プラグイン、Blue Cat's Destructor。ゲートやコンプ、最終段にはブリックウォール・リミッターを内蔵するほか、Tone Mapやランダマイズ機能も備えている

 ギター/ベース・アンプやコンプ、テープ・マシンなどから得られるひずみをモデリングしたディストーション・プラグイン。細かい音作りが可能なのでギターやベースだけでなくドラムやシンセなどにも使用でき、ミックス時にはローファイ系プラグインとしても便利です。プリセットは707種類も用意されており、アナログ・テープに通したときの飽和感をシミュレートしたサウンドから、ビット・クラッシャーで過激にデジタル・クリップさせたようなひずみまで多種多様。正直、Blue Cat's Destructorだけで作れるディストーション・サウンドの幅には驚きました。画面上段にあるサイコロ・アイコンを押すと、プリセットがランダムに選択される機能も面白いです。

Blue Cat's Late Replies

Blue Cat's Late Repliesは、ディレイ&リバーブに特化したマルチエフェクト。25種類のエフェクトを内蔵するほか、サード・パーティ製プラグインもBlue Cat's Late Replies内に組み込むことができる

Blue Cat's Late Repliesは、ディレイ&リバーブに特化したマルチエフェクト。25種類のエフェクトを内蔵するほか、サード・パーティ製プラグインもBlue Cat's Late Replies内に組み込むことができる

 ディレイ&リバーブに特化したマルチエフェクト。ディレイのフィードバック音の一つ一つをパンニングするなど、まさに自由自在な音作りが可能です。25種類のエフェクトを内蔵しているため、例えばフィードバック音にピッチ・シフトをかけてアルペジエイターのようなディレイを作成することもできます。使い方次第では、クリエイティブなディレイ・エフェクトとして活用できるでしょう。

 豊富なプリセットはユニークな効果のものが多く、ディレイの概念を覆すようなサウンドを得ることができます。このプラグインもまたサード・パーティ製のAU/VST/VST3プラグインを取り込めるため、より複雑でオリジナリティあふれるエフェクト・チェインを組むことができるでしょう。

Blue Cat's Hot Tuna

チューナー・プラグインのBlue Cat's Hot Tuna。基準周波数は、430.0〜450.0Hzの間で調整することができる

チューナー・プラグインのBlue Cat's Hot Tuna。基準周波数は、430.0〜450.0Hzの間で調整することができる

 視認性と操作性に優れたチューナーで、基準周波数は430.0〜450.0Hzの間で可変できます。ライブ時などでの使用も考えられているため、チューニング時のボリュームを変更できるDIMノブも搭載しています。

 ざっと駆け足で5つのBLUE CAT AUDIOプラグインを見て行きましたが、どれも遊び心満載かつクリエイティブであり、他社にはない個性的なプラグインだと思います。エンジニアだけでなく、新しい音を求めるクリエイターにもお薦めです。“何か足りないな”というときのスパイスとしても、大活躍してくれるでしょう。

 

BLUE CAT AUDIO

beatcloud価格:
Blue Cat's PolyVibe:10,902円|Blue Cat's Axiom:27,462円|Blue Cat's Destructor:13,662円|Blue Cat's Late Replies:17,802円|Blue Cat's Hot Tuna:1,242円

 Requirements 
●Blue Cat's Axiom
■Mac:Core Audio互換のオーディオ・インターフェース(スタンドアローンで起動時)
■Windows:ASIO/MME/WASAPI互換のオーディオ・インターフェース(スタンドアローンで起動時)
■共通項目:4GM以上のRAM、2GB以上の空きディスク容量、1,280×768以上のディスプレイ解像度

●全プラグイン共通項目
■ Mac:macOS X 10.9以上、AU/AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホスト・アプリケーション、INTELもしくはAppleSiliconプロセッサー
■ Windows:Windows Vista/7/8/10、AAX/VST(いずれも32/64ビット)対応のホスト・アプリケーション、SSE2命令セットに対応したプロセッサー(Pentium 4以降)

 

鈴木Daichi秀行

【Profile】サウンド・プロデューサー。家入レオやYUI、miwa、絢香、いきものがかり、モーニング娘。など、トップ・チャートに輝くアーティストの楽曲に多く携わる。レーベルStudio Cubic Recordsを運営している。

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