ノラ・ジョーンズ『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』、The Soft Pink Truth『Shall We Go On Sinning So That Grace May Increase?』 〜Nagie's Recommend

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。Nagie氏の今月のセレクトは、 ノラ・ジョーンズ『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』、The Soft Pink Truth『Shall We Go On Sinning So That Grace May Increase?』です。
 

絶妙な存在感を放ち定位する上モノと
ステレオ全体を包み込むようなドラム

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『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』ノラ・ジョーンズ(ユニバーサル)

 ジャズ・ボーカル/ピアニストであるノラ・ジョーンズが最新アルバム『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』をリリース。先行曲「アイム・アライヴ」は、面白い音の処理や過激なミックスがされているわけではないが、自分の好きなミックスだと感じた。音場の右からアコギのカッティングがフワッと広がって登場したり、ピアノやギターがちゃんと“ここだよ”と絶妙な存在感を放ち定位している。まるでライブ・ハウスのステージを見ているようだ。

 

 ドラムはステレオ・フィールド全体を包むように聴こえ、定位感は無い。しかしこれによって、ステレオの中でバンド・メンバー全員が居心地良さそうに演奏している雰囲気が出てくる。ミックスからこの空気感が伝わってくるのがすごく良いなと思う。

 

Pick Me Up off the Floor

Pick Me Up off the Floor

  • ノラ・ジョーンズ
  • ポップ
  • ¥1935

 

希望に満ちた音色のシンセが暗闇を照らす
アンビエントなエレクトロニカ

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『Shall We Go On Sinning So That Grace May Incre ase?』The Soft Pink Truth

 ザ・ソフト・ピンク・トゥルースは、エレクトロニカ界の巨匠であるマトモスのメンバー、ドリュー・ダニエルによるソロ・プロジェクトだ。本作は、前作『Why Do the Heathen Ra ge?』までの攻撃的なエレクトロニカから大きく転換。ボーカルをフィーチャーして、アンビエントの要素も取り入れている。アルバム・タイトルを意訳すると“恵みを増やすために罪を犯しましょうか?“となるが、アルバムにはこの深いテーマをそのまま反映した表題曲も収録している。

 

 この曲も含めてアルバムの頭から最後まで、シンセの音作りが秀逸だ。まるで、暗い海に女神が立っていて光の方へに導いてくれるような、そんな希望に満ちた音がしている。

 

Shall We Go On Sinning So That Grace May Increase?

Shall We Go On Sinning So That Grace May Increase?

  • ザ・ソフト・ピンク・トゥルース
  • アンビエント
  • ¥1375

 

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Photo:Seiji Okumiya

Nagie

【Profile】ANANT-GARDE EYES、aikamachi+nagie、CM、アニメ、劇伴、映像音楽中心に活動。Vocaloidライブラリー開発も行う

 

 

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