【お知らせ】6月20日の申込/更新分より、サンレコWebのサブスクリプション価格を改定いたします。詳細はこちらをご覧ください。また、6月17日までWeb+印刷版(年間)を約30%オフでご提供しています。

Zoë Mc Pherson 〜独自のスタイルで電子音楽の可能性を切り開くマルチメディア・アーティスト

Zoë Mc Pherson 〜独自のスタイルで電子音楽の可能性を切り開くマルチメディア・アーティスト

アドバイスを受けなかったことが自己のサウンドを確立することにつながった

世界の各都市で活躍するビート・メイカーのスタジオを訪れ、音楽制作にまつわる話を聞く本コーナー。今回登場するのはロンドン生まれ南フランス育ち、現在はベルリンを拠点とするゾーイ・マクファーソンだ。インディペンデントなマルチメディア・アーティストとしてさまざまなコラボでも注目を集めている。レーベル/プラットフォームのSFX(https://s-f-x.space)を共同主宰するなど、独自のスタイルで電子音楽の可能性を切り開いている。

キャリアのスタート

 母がプロのミュージシャンだったので、子どもの頃から音楽に囲まれて育ちました。母のライブのサウンド・エンジニアをしたこともあります。18歳くらいまではジャズ・ドラムとアイリッシュ・バイオリンをやっていましたが、電子音楽は独学です。サウンド・デザインの奥深さと、生ドラムでは再現できない複雑なリズムが作れるところに魅力を感じました。ベルリンに越してきたのは5年ほど前。それまではブリュッセルでジャズ・アーティストのマネージメントや、フェスのブッキングといった仕事をしていたのですが、その傍らで自分の音楽活動もやっていました。“フルタイムで音楽家としてやっていく”という自信と決心が付いたとき、ベルリンに引っ越そうと思ったんです。

ベルリンのフリードリヒスハイン地区にある制作スタジオ。マクファーソンのほか、ピアニストとプロデューサーの3人でシェアしているそうだ。スタジオ内の音響パネルは、マクファーソン自身で設置したという。デスク上にはDJミキサーのALLEN&HEATH Xone:96をはじめ、EVENTIDE PitchFactorやTimeFactor、H9、ABLETON Push 2などが置かれている

ベルリンのフリードリヒスハイン地区にある制作スタジオ。マクファーソンのほか、ピアニストとプロデューサーの3人でシェアしているそうだ。スタジオ内の音響パネルは、マクファーソン自身で設置したという。デスク上にはDJミキサーのALLEN&HEATH Xone:96をはじめ、EVENTIDE PitchFactorやTimeFactor、H9、ABLETON Push 2などが置かれている

制作機材の変遷

 最初はIMAGE-LINE FL Studioの体験版や、APPLE GarageBandといった無償のDAWを使っていましたが、割とすぐにABLETON Liveへ移行しました。その後、リズム・マシンのELEKTRON Analog Rytm MKIIやエフェクト・ペダル、モジュラー・シンセなどを買い足しましたね。

愛用ギアの一つ、リズム・マシンのELEKTRON Analog Rytm MKII

愛用ギアの一つ、リズム・マシンのELEKTRON Analog Rytm MKII

モジュラー・シンセ群。ERICA SYNTHS Bass DrumやHi-Hats D、INSTRUō Arbhar、RANDOM*SOURCE Serge Resonant Equalizer、MAKE NOISE Maths、SHAKMAT MODULAR Time Wizardなどがユーロラックに格納されている

モジュラー・シンセ群。ERICA SYNTHS Bass DrumやHi-Hats D、INSTRUō Arbhar、RANDOM*SOURCE Serge Resonant Equalizer、MAKE NOISE Maths、SHAKMAT MODULAR Time Wizardなどがユーロラックに格納されている

音源について

 何でも使いますが、例えばサンプル素材を“ディグる”という行為はしないです。サンプル素材は自分で作成します。シーケンス/プログラムしたものなどをレコーディングし、無数のプラグインで加工しています。

ビート・メイキングの手順

 リズムのアイディアを思いついたら、まずは何かしらの形でそれを記録しておきます。作曲時はこれを元にドラム・ループを組み立てたり、楽器のアレンジを加えたりするんです。あるいはジャム・セッションして録りためた過去15年間分のオーディオ・ファイルのアーカイブがあるので、ここからどれかを選び、その音色やダイナミクスをヒントにさまざまなパートを組み立てていくというパターンもあります。これらのどちらかが多いように思いますね。ちなみにアーカイブ・フォルダーは全然整頓されていないのですが、逆にそれが良いと思っているんです(笑)。多少ぐちゃぐちゃな方がクリエイティブになれます。“このファイル何だったっけ?”と聴きなおしてみることで、インスピレーションが得られることもあるので(笑)。

ミックスについて

 ミックスは、まずLive上で各チャンネルをレンダリングして新しいプロジェクトに流し込みます。そこでさらにミックスとアレンジを加え、再度レンダリングして新規プロジェクトに読み込ませるんです。こういった作業を繰り返してミックスを完成させます。なるべくオーディオ・ファイルに変換することで、全体のバランスを取ることに集中できるのです。

若いクリエイターへのアドバイス

 今の世の中にはアドバイスがあふれすぎていて、その中で溺れてしまいそうになると思うので、まずはアドバイスを全部無視してみるのがいいんじゃないですかね(笑)。私の場合は、誰もアドバイスをくれなかったことが結果的に自己のサウンドを確立することにつながったと思います。周りには知識を共有したがらない男性ばかりでしたから(苦笑)。ベルリンに引っ越してきたことは良かったですね。女性やノンバイナリーのアーティストが多数いて、みんなで協力/共有し合っています。ちなみに、若い頃は年上男性にいつも意見されていたので自信が持てない時期がありましたが、惑わされる必要はありません。自分が正しい/好きだと思うことに自信を持って! 

 

SELECTED WORK

『Abyss Elixir』
ゾーイ・マクファーソン
(Pendulum Recordings)

 Carbon 96というユニットを組むコラボレーター、シアラ・ブラックが主宰するレーベルから、今年3月にリリースされた最新のソロ作品です。

関連記事

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp

www.snrec.jp