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編曲時に便利なCubase Proの機能と遠隔レコーディング・システムを紹介|解説:近藤圭一

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 こんにちは。作曲家の近藤圭一です。毎年年末はSTEINBERG Cubaseのアップデートが来るのを楽しみにしています。Cubase 12は2022年春にリリース予定とのアナウンスがありましたね。少し先になってしまいましたが、Cubaseのアップデートはクリエイターに寄り添った、今まさに求められている機能が毎回追加されるので、楽しみでなりません。またライセンス方式も、従来のUSBキーからオンライン・アクティベートによるSteinberg Licensingに移行し、より便利に使うことができそうでこちらも楽しみです。さて今回は、編曲やレコーディングの際に便利な編集機能を中心に紹介していこうと思います。

過去の曲で使ったトラックを新規プロジェクトへ読み込む

 皆様は、楽曲制作時にこのような経験はないでしょうか? “あの曲で使用したシンセの音色を使いたいけど、プリセットに保存していなかったんだよね”“あの曲のリズム・パターンやフレーズを今回の曲で試してみたい!”“前に使ったエフェクトなどのオーディオ素材を今回も使いたい”などなど。そんなときにCubaseでは、過去のプロジェクトから必要なトラックだけを持ってくることが可能です。方法はとても簡単。メニュー・バーから“ファイル→読み込み→プロジェクトファイルのトラック”をクリックすると、ファイルの場所を指定する画面が表示されます。そこでストレージに保存されている過去のプロジェクト・ファイルを指定しましょう。そうすると“読み込みオプション”のダイアログが表示されますので、そこで読み込みたいトラックにチェックを入れ“OK”を押すだけです。イベントやパートも一緒に取り込みたい場合はダイアログ右上に表示される“イベントとパート”にもチェックを入れてくださいね。

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読み込みオプションのダイアログ。画面左の元トラック欄から読み込みたいトラックにチェックを入れてOKボタンを押すと、過去のプロジェクトから新規プロジェクトへトラックを読み込むことができる。赤枠の“イベントとパート”にチェックを入れておけば、イベントとパートも同時に読み込み可能

 この方法とは別に、新規プロジェクトが開いた状態で過去のプロジェクトを同時に開き、読み込みたいイベントやパートをドラッグ&ドロップで直接持ってくることも可能です。このやり方でも、プロジェクトの何もない部分にドロップして新規トラックとして読み込めば、インサートやインストゥルメントなどのトラック情報も一緒に読み込むことができます。注意点としては、2つ目のプロジェクトを開くと“プロジェクトをアクティブにしますか?”というダイアログが出ますので、ここでは“いいえ”を選択してください。“有効化”を選択すると、後から開いた過去のプロジェクトの方がアクティブになってしまいます。

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過去のプロジェクトからトラックをドラッグ&ドロップして新規プロジェクトに読み込むことができる

MIDIで打ち込んだフレーズをオーディオ化する機能

 編曲を進めていくと、VSTインストゥルメントで打ち込んだフレーズをリバースしたりチョップしたいときが出てきます。そんなときはMIDIの打ち込みをオーディオ化する必要がありますが、Cubaseではインプレイスレンダリングという機能がありますので、あっという間に必要な部分だけをオーディオ化することができます。

 

 こちらも使い方はとても簡単。まずインストゥルメント・トラックのMIDIパートから、オーディオ化したい部分を選択します。そしてメニュー・バーから“編集→インプレイスレンダリング→レンダリング設定”をクリックします。“選択範囲をレンダリング”ダイアログが表示されますので、そこでさまざまな設定が可能です。

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選択範囲をレンダリングするダイアログ。赤枠の“処理中のドライ(チャンネル設定をコピー)”にチェックを入れておくと、作成されるオーディオ・トラックに、元のMIDIトラックにかけていたエフェクト類の設定が引き継がれる

 お勧めは“処理中”の“ドライ(チャンネル設定をコピー)”にチェックを入れておくこと。ここにチェックを入れると、レンダリング後に作成されるオーディオ・トラックに、元のMIDIトラックのインサートやセンド、チャンネル・ストリップなどの設定が引き継がれます。ぜひいろいろ試してみてください。また、レンダリング後は自動で元のパートが無効化されるのもありがたいですね。僕はこの機能を頻繁に使用するので、ショートカットに登録して瞬時にオーディオ化できるように設定しています。

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画面下部のトラックがレンダリング後のオーディオ・トラック。元のトラック(画面上部)の該当部分は自動で無効化されている

遠隔レコーディングが可能なVST Connectシステム

 以前はレコーディングを対面で行うことがほとんどでしたが、昨今の情勢により対面でのレコーディングが難しいケースが出てきました。Cubaseにはかなり前から遠隔レコーディング・システムVST Connectがあり、僕は2020年春の緊急事態宣言下で初めて使いました。そのときの感想は“これマジ?すご過ぎない?”です。STEINBERGの技術力に感動したと同時に、心から感謝しました。また、何度も細かいアップデートをしていただきありがとうございました。

 

 前置きが長くなりましたが、VST Connectはレコーディングする側であるホストのCubaseに、遠隔地にいるパフォーマーの演奏がリアルタイムに直接レコーディングされる機能です。しかも、オーディオだけではなくMIDIレコーディングも可能。Cubase Proに標準で同梱されるVST Connect SEと、別売りのVST Connect Proの2種類があります。機能比較はSTEINBERGのサイトをご覧いただくことにして、今回はVST Connect Proを紹介したいと思います。

 

 まずはホスト側にVST Connect ProをインストールしてCubaseを起動します。パフォーマー側には無償でダウンロードできるVST Connect Performerをインストール後、起動してもらいます。次に、両者をインターネット回線につなぎ(有線LAN推奨)Cubaseのメニュー・バーから“VST Cloud→VST Connect Pro→Create Vst Connect”をクリックします。VST Connect Pro画面が開きますので、右上のボックスにユーザー名を入れ、ログインしましょう。そうすると9桁のパスコードが発行されますので、パフォーマー側にその番号でログインしてもらうと両者がつながり、リアルタイムでのレコーディングができるようになります。

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筆者がよくピアノ演奏を依頼するキーボーディストCoba84による、VST Connect Proを使用した遠隔リアルタイム・レコーディングの風景

 誌面の都合上細かい設定まで説明することはできませんが、ホスト側からパフォーマー側のオーディオI/Oのチャンネルを切り替えることも可能です。いやー、すごい時代になったものですね。もちろん対面でコミュニケーションを取りながら進めるのがベストですが、距離の制限がなくなるVST Connect Proは画期的な機能だと思います。

 次回は、ミックスや書き出し時に便利な機能を紹介できればと思います。

 

近藤圭一

【Profile】SUPA LOVE所属の作詞作曲編曲家。バンド活動を経た後、職業作家として活動を開始。ジャニーズ、AKB48グループ、坂道シリーズ、ハロプロ、アニメ、韓流グループなどさまざまなアーティストへ作品提供を行う。AKB48「シュートサイン」(47thシングル)、宮野真守「ぼくはヒーロー」(NHKみんなのうた)、日向坂46「青春の馬」(TV主題歌)、乃木坂46「悲しみの忘れ方」(映画主題歌)、和光市立下新倉小学校校歌などを手掛けた。

【Recent work】

『夢限大セイリング』
dreamBoat
(テイチクエンタテインメント)

製品情報

STEINBERG Cubase

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LINE UP
Cubase LE(対象製品にシリアル付属)|Cubase AI(対象製品にシリアル付属)|Cubase Elements 11:13,200円前後|Cubase Artist 11:35,200円前後|Cubase Pro 11:59,180円前後
*オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS X 10.14以降
▪Windows:Windows 10 Ver.1909以降(64ビット)
▪共通:INTEL Core I5以上またはAMDのマルチコア・プロセッサー、8GBのRAM、35GB以上のディスク空き容量、1,440 x 900以上のディスプレイ解像度(1,920x1,0
80を推奨)、インストール時に使用するインターネット接続環境