NEKTAR Impact GX Mini / Impact LX Mini レビュー:コンパクトで多機能! 25鍵のMIDIコントローラー

NEKTAR TECHNOLOGY Impact GX Mini / Impact LX Mini

 以前、自分が海外渡航時に持っていったMIDIコントローラーは48鍵モデルだったため、スーツケースにギリギリ収まらず、機内持ち込み用のバッグで持参した経験があります。まさに“帯に短したすきに長し”。微妙に邪魔だったのを思い出します(笑)。今回レビューするのはNEKTAR TECHNOLOGYから登場した25鍵MIDIコントローラー、Impact GX MiniとImpact LX Mini。両者は持ち歩くにはうってつけの大きさです。早速見てみましょう。

ピッチ・ベンドとモジュレーションを操作可能なジョイ・スティックを搭載

 Impact GX Miniを箱から取り出すと、そのコンパクトさに驚きます。ベロシティ対応の鍵盤は、まるでオルガンのようなタッチ感。弾いたときにしっかりと沈むストロークがあるにもかかわらず、高さ32mmという薄さです。

 

 フロント・パネル左下にあるジョイ・スティックは、操作に必要最低限の高さになっているため引っかかることも無さそうです。本体は幅390mm、奥行115mmなので、スーツケースやショルダー・バッグに入れても問題無いサイズ感でしょう。

 

 一方Impact LX Miniは、横幅がImpact GX Miniと同じで、奥行は185mm。ちょっとしたノート・パソコン程度の存在感です。鍵盤の仕様はImpact GX Miniと同じですが、こちらは8基のロータリー・ポットと、ベロシティ対応のパッドを8つ搭載しているので、その分サイズが大きくなっています。

 

 Impact GX Miniのボタン類を見てみましょう。フロント・パネル左上にあるSetupボタンは、設定モードに入るためのもの。つまり、コントローラー自体で細かい設定を変更できるということです。その下にはShiftボタンのほか、ループ/停止/再生/録音などをつかさどる7つのトランスポート・ボタンがあります。これらはDAWをコントロールするためのもので、手元で制御できるのは便利です。

 

 これらの下段にあるのは2つのオクターブ・ボタン。2オクターブしか無いMIDIキーボードには必須です。その右側にある2つの“パート2”ボタンはあまり見慣れませんが、あらかじめ設定しておくことによって“数オクターブ分を一気に上下する”“瞬間的にトランスポーズする”“別のMIDIチャンネルへ切り替える”といった特殊操作を可能にします。これらは、例えばライブ演奏時に、Bメロだけ違う音色にしたいときなどに有効です。ジョイ・スティックは左右に動かすとピッチ・ベンドとして、上下に動かすとモジュレーションとして機能します。

 

 Impact LX MiniはImpact GX Miniと同じトランスポート・ボタンやオクターブ・ボタン、パート2ボタンを搭載し、前述した8基のロータリー・ポットと8つのパッドを装備しています。いずれも扱いやすく、ちょうど良い大きさです。

 

 フロント・パネルの左上には、DAWの各チャンネル・ボリュームの調整に使用する大きなボリューム・ノブや、アルペジエイター/ノート・リピート機能のオン/オフ・ボタンなどを搭載しています。また、コンピューターとUSB(Micro USB)接続する際に気付いたのですが、Impact LX Miniの側面には電源のオン/オフ・スイッチが備えられているのも特徴の一つです。Impact GX Miniにはありません。

Impact LX Miniの側面

Impact LX Miniの側面。左から、電源のオン/オフ・スイッチ、コンピューターと接続するためのMicro USB端子、フット・スイッチ用端子を装備する

Impact GX Miniの側面

Impact GX Miniの側面。こちらには電源スイッチが無く、Micro USB端子とフット・スイッチ用端子のみを備えている

 なお、Impact GX MiniとImpact LX MiniはUSBバス・パワーで動作。フット・スイッチ(別売り)と接続するためのミニ・ジャック端子を装備しています。

ソフト/デフォルト/ハード×2種など全部で7種類のベロシティ・カーブを搭載

 それでは、多機能なImpact LX Miniを使ってみましょう。基本的にコンピューターとUSB接続すればドライバー無しで使えるのですが、AVID Pro Toolsで使う場合には設定が必要でした。とは言え、一度設定してしまえばその後はすぐに使えるのでたいした手間ではありません。また専用の“Nektar DAWインテグレーション”ファイルをインストールすると、DAW側でアサインせずとも、トランスポートやソフト音源などを主要DAWにてスムーズにコントロール可能になります。

 

 実際に鍵盤を弾いてみると、ミニ・サイズでありながらもしっかりとした弾きごたえがあります。これは、鍵盤の長さがある程度長めに設計されていることと、バネの反発力の強さがしっかりあるためでしょう。

 

 ベロシティ・カーブはソフト、デフォルト、ハード×2種のほか、打鍵の強さにかかわらずベロシティ値は常に127を出力する“127固定”、100を出力する“100固定”、64を出力する“64固定”の全部で7種類。これだけ豊富だとうれしいですね。特に“64固定”は、メロディ入力に有用だと感じます。

 

 8つのパッドにも上記7種類のベロシティ・カーブが用意されています。デフォルトのカーブ設定では、リズムを打ち込むには少し強めにたたく必要がある気がしたので、こちらは“127固定”が便利でしょう。これは個人の問題もあるため、好みのカーブ設定にするのがよいと思います。

 

 次は、ストリングスなどに使用するエクスプレッション。ダイナミクスに相当するパラメーターを8基のロータリー・ポットのいずれかにアサインすればOKです。右手でストリングスのメロディを弾きながら、左手でロータリー・ポットをいじってエクスプレッションを描くことができました。また、これらのロータリー・ポットには内蔵アルペジエイターのパラメーターもアサインでき、アルペジオの速度やスウィングなどを調整することが可能です。

 

 Impact GX MiniとImpact LX Miniは、音楽制作をするための十分な機能と優れた可搬性を備え、さらには“パート2”機能でライブ演奏にも対応できる万能MIDIコントローラー。外観は、水色を差し色としたスタイリッシュなデザインで好感が持てますし、防犯用ケンジントン・ロックが採用されていたりと、細かいところまで考えられています。外出の多いユーザーはもちろん、スタジオ用にも一台検討しても良い製品でしょう。

 

谷口尚久
【Profile】東京大学経済学部卒業。作詞/作編曲家/アーティスト。CHEMISTRY、SMAP、V6、関ジャニ∞、SexyZone、中島美嘉など多くのアーティストを手掛ける。WAFERS Studioを構える。

 

NEKTAR TECHNOLOGY Impact GX Mini / Impact LX Mini

オープン・プライス

(市場予想価格:10,450円前後/Impact GX Mini、17,600円前後/Impact LX Mini)

NEKTAR TECHNOLOGY Impact GX Mini / Impact LX Mini

SPECIFICATIONS
●Impact GX Mini
▪外形寸法:390(W)×32(H)×115(D)mm ▪重量:0.49kg
●Impact LX Mini
▪外形寸法:390(W)×38(H)×185(D)mm ▪重量:1kg
●共通項目
▪付属品:ミニ・ジャックからフォーン端子への変換アダプター

REQUIREMENTS
▪Mac:Mac OS X 10.7以降
▪Windows:Windows 7以降

製品情報