A.G.クック『Apple』、Hachiku『I'll Probably Be Asleep』 〜今本 修's Recommend

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。今本 修氏の今月のセレクトは、A.G.クック『Apple』、Hachiku『I'll Probably Be Asleep』です。

 

“アコースティック楽器と電子音” “美と汚” “暴音と静寂”
A.G.クックの持ち味やセンスが詰まった特有の世界観

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A.G.クック『Apple』

 UKのレーベルPC Musicのファウンダー、A.G.クックの作品を紹介する。夏に『7G』なる7枚組(49曲入り)カバー・アルバムを発表した際には、同時にチャーリーXCXやフルームが参加したZoomバーチャル・パーティを開催するなど勢力的に活動していた。

 本作『Apple』は、シンガー・ソングライターとしては初の作品集である。“アコースティック楽器と電子音”“美と汚”“暴音と静寂”といった特有の世界観など、彼の持ち味やセンスが詰まっている。ボーカルにピッチ補正をフル活用するのも彼の音楽の特徴で、音から推測するとROLANDのVTシリーズっぽい。僕自身も所有しているので、使い方の勉強になった。

Apple

Apple

  • A. G. Cook
  • ポップ
  • ¥1681

 

コケティッシュな歌声が持ち味のプロデューサー
良い意味でチープでアナログライクなサウンドを披露

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Hachiku『I'll Probably Be Asleep』

 ドイツ/オーストラリアのインディー・ポップ界で話題のHachikuことアニカ・オステンドルフが、コートニー・バーネットやホセ・ゴンザレスなどのツアー同行で経験と力を付けて、ついにギター・ポップ界でデビューした。本作はハッピー・オーラに満ちていて、録音技術が未熟なせいか高音質ではないが、良い意味でチープな音も魅力だ。

 そして、前作『99 Dreams EP』よりもアナログライクなサウンドになっている。個人的に以前から「Zombie Slayer」などを聴いていて、コケティッシュな歌声と何とも愛らしい味のあるギターを弾く人だと思ってきた。“成長していて何より”と父親のような気持ちで応援している。ちなみに、サンプラーを使いながら全楽器を自分で操作するライブも魅力だ。

I'll Probably Be Asleep

I'll Probably Be Asleep

  • Hachiku
  • オルタナティブ
  • ¥1528

 

今本 修

【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア

 

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