第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。今本 修氏の今月のセレクトは、ローラ・マーリング『SONG FOR OUR DAUGHTER』、マイク・シノダ『Dropped Frames, Vol. 1』です。
イーサン・ジョンズと再びタッグを組んだ7作目は
ナチュラルなスタジオの空気をそのまま収めている
ロンドンのシンガー・ソングライター、ローラ・マーリングの7作目となるアルバムが発表。今作はライアン・アダムスやポール・マッカートニーなど数々のアーティストと交友のあるプロデューサー、イーサン・ジョンズと制作された。彼女の代表作である『Once I Was An Eagle』以来再びのタッグだ。アコースティック楽器で構成された内容の楽曲が多く、演奏も音も素朴でナチュラルなスタジオの空気をそのまま収めている。ジョニ・ミッチェルが引き合いに出される彼女だが、僕はカーペンターズの雰囲気も感じ取れて癒された。コロナ禍にアメリカの公共ラジオ放送NPRの人気企画タイニー・デスク・コンサートで自宅からのライブ映像も提供されて、心が浄化された人もたくさん居たようである。
リンキン・パークのマイク・シノダによるソロ作品
ブレイクビーツ色が濃いインストを収録
リンキン・パークには日系人のボーカル、マイク・シノダが在籍している。2年前からシノダはソロ活動を開始しており、このたび2枚目のアルバムを発表した。本作は、インストが多め。リンキン・パークのファン層もつかみつつ、さまざまなジャンルを網羅した楽曲を展開している。まるで映画のサントラを聴いているかのようだ。キャッチーな音選びもさすがで、ブレイクビーツ色が濃い。ケミカル・ブラザーズの1st……いや、言い過ぎか……。バランスから音のセンス、立体感のある音像、すべてが自分好みだった。ネットで彼のスタジオを調べてみたところ、どうやら自分と同じメーカーのスピーカーを使用していることが判明。いろいろと納得した。
今本 修
【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア
関連記事