ピッチ編集で高低差を付けてグルーブ感を出し
タイム・ライン上の位置も工夫したドラム
ドラムンベースの制作にかかわることになり勉強していたところ、ウィルキンソンやアンディCが在籍している老舗レーベル=RAM Recordsに行き着いた。本作は、DCブレイクスを筆頭に10組アーティストが参加しているコンピレーションEPだ。どの曲でもドラムンベースのオーソドックスなセオリーを踏襲しつつ、ドラムにピッチ編集で高低差を付けてグルーブ感を出し、タイム・ライン上の位置を工夫してバウンシーに聴かせる現代的な音作りがなされている。これによってダークではないダンサブルなドラムンベースに仕上げているのだ。
初期のドラムンベースでは斬新なドラム解釈と手法が評価されてブームが起こった。その後あまり大きな音楽性の変革は起こっていないが、最近はメジャーなアーティストもドラムンベースを取り入れる機会が増えている。サンプリングだけでなくち密なプログラミングを楽しめる本作は、進化した現代のドラムンベースとして楽しめるだろう。
聴者が予想できない角度に音階を外すなど
プロデューサーの手腕が光ったアレンジが満載
もう一枚は、チャーリーXCXの最新アルバム。PC MUSICの設立者で、2017年にリリースされた『ナンバー1エンジェル』からプロデューサーを務めるA.G.クックとBJバートンがプロデュースを担当。彼らの手腕が光ったアレンジや音の処理が満載だ。ボーカルの存在感はかなり強いが、バック・トラックも負けていない。聴者が予想できない角度に音階を外してみたり、音をひずませるなどしてバイオレントな雰囲気に仕上げているのはさすがだと感じた。
【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア