DJ Mitsu the Beats 〜プラグインや音源がそろった状態でスタートできる|Maschine ユーザー・インタビュー

DJ Mitsu the Beats 〜プラグインや音源がそろった状態でスタートできる|NATIVE INSTRUMENTS ユーザー・インタビュー

NATIVE INSTRUMENTS製品を愛用するプロ・クリエイターのコメントとともに、現在発売中のラインナップを一挙に紹介! ここで登場するのはGAGLEのメンバーであり、DJ/トラック・メイカーのDJ Mitsu the Beats。ヒップホップ・シーンで活躍し続ける彼の制作やパフォーマンスにおいて、重要な役割を担ってきたのがMaschineシリーズだ。ここでは、Mitsuが感じるMaschineの進化や、愛用中のMaschine+について聞こう。

Photo:Kiyofumi Kuroda

モバイル・バッテリーをつなげて電源なしでも使える

 Maschineシリーズを発売当初から愛用するDJ Mitsu the Beats。まずはその変遷について語ってもらった。

 「新製品が好きで、サンレコも“ヘビー読者”としてチェックしているんです。昔はハードウェアのパッド・サンプラーを使っていたんですけど、コンピューターに音源をアーカイブしていたので、コンピューターとの連携ができるMaschineが登場してすぐに興味を持って購入しました。取り込んだデータですぐに作業できて、トラック・メーカーの痒いところに手が届くところに魅力を感じたんです。その後は、ライブ用にMaschine Mikroを買って、Maschine MK2でやりたいことが実現しやすくなり、Maschine Studioで画面が大きくなったのでパソコンの画面を見なくなりました。Maschine MK3はSmart Strip(タッチ式スライダー)など、ビート・メイクだけでなくパフォーマンス機能も充実して、Maschine+ではスタンドアローンと、バージョンアップごとにどんどん進化していますね」

 続けて、現在愛用するMaschine+の魅力を語る。

 「コンピューターがないとできなかったことが単体でできるのは大革命です。旅先でも電源一つあればいいし、モバイル・バッテリーをつなげて電源なしで使う人もいますよね。Maschine+にはSDカード・スロットがあって、SDカードでデータの読み書きや保存ができるというのも安心感があってうれしいです。所有する人にとってはモノとしての質感も大事だと思いますが、Maschine+は本当にかっこいい。ノブの素材も最高です。この薄さでがっちりしたアルミの筐体は、インテリアにもなり得るかっこよさで、部屋にあるとすごく締まります」

Perform FXのフランジャーやフィルターをかけ録り

 現在Maschineを使う場面は、「動画などでのパフォーマンスと、ビートのスライスがメイン」と話すMitsu。

 「Maschineだけで制作を完結するときもありますが、スライスしたサンプルをDAWに流し込んで最終調整をすることが多いです。そのときは、Maschine+とコンピューターをUSB接続してデータを送るのではなく、Perform FXを使ってリアルタイムでフランジャーやフィルターをかけながら、Maschine+のオーディオ・アウトから音声を出力してDAWで録音することが多いです。そうすることで、サンプルの切り貼りだけでは出せないグルーブ感が生まれるんです。ほんの少しフィルターをかけるだけでもすごく生々しさが出ます。Maschine+のオーディオI/Oはすごく素直な音質ですね。薄くなったりザラついたりしないので気に入っています」

 Mitsuが愛用するPerform FXについてさらに深く聞く。

 「パフォーマンスしながらエフェクトの種類を変えたり、直感的にパラメーターを変えられるので使いやすいですね。Perform FXはグループ単位でもかけられるので、ドラムは普通に走らせて、上モノだけにフランジャーやRingをかけたり、反対にドラムだけフィルターをかけたりもします」

 付属音源やExpansionsもMitsuの即戦力となっている。

 「Maschine付属のインストゥルメントやExpansionsはいいものがそろっていますね。インストゥルメントではMonarkをよく使います。ビンテージのアナログ・シンセでしか出せないような太いベースが出せて、設定も細かくいじれるんです。GAGLE「Grand Gainers」はほぼMonarkで作りました。ExpansionsのConcrete Sunは、日本のアーティストとのコラボ製品で、日本を象徴する音も入っていて面白いです」

 最後に、Maschine導入を検討する人に向け、こう話した。

 「Maschineはパフォーマンスにも制作にも使える機能が充実してるし、プロだけでなく、音楽をやりたいと思ったときに、プラグインや音源がいっぱいそろった状態でスタートできるので、これから音楽を始める人にもすごくいいですね」

Favorite Points|Perform FX & Smart Strip

Perform FX

Smart Strip

 パフォーマンスに特化したPerform FXと、タッチしながら左右にスライドさせる操作子のSmart Stripを組み合わせることで、パフォーマンスの幅を広げているDJ Mitsu the Beats。「Perform FXのScratcherモードではSmart Stripを親指でこすってスクラッチみたいなことをしたり、Stutterでぶつ切りにした音のループ幅をSmart Stripでどんどん短くしたりするのが面白い」と話す。Smart Stripは、エフェクトのほかにピッチ・ベンドやモジュレーション、ノート演奏などにも対応する。

Favorite Points|付属のアナログ・シンセ音源Monark

付属のアナログ・シンセ音源Monark

 Maschineには、多数のインストゥルメントやエフェクトが付属。中でもDJ Mitsu the Beatsのイチ押しソフト音源が、往年のモノフォニック・アナログ・シンセをモデリングしたMonarkだ。Monarkは、Maschine Mikro、Maschine MK3、Maschine+すべてに付属。GAGLE「Grand Gainers」は、ベースやピュンピュンした音など、楽曲全体でMonarkを駆使して作られた曲だという。

 

 Recent Work 
『CELEBRATION OF JAY3』
DJ Mitsu the Beats
(Jazzy Sport)

【Profile】ヒップホップ・ユニットGAGLEのDJ/トラック・メイカー。JAZZY SPORT所属。9月公開の映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では、劇中歌としてHUNGER「わ道(DJ Mitsu the Beats REMIX)」が使用された

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