“自分らしさ”を追求することが大切
僕は“自分のやりたい音”を作っているだけです
トラップ・ミュージックを中心に制作する国内ビート・メイカーたちに、音楽制作を始めたきっかけやこだわりを聞いていく「TRAP BEAT MAKERS」。YENTOWNメンバーのDJ JAMは、DJ/ビート・メイカーのほか、イベント・オーガナイザーやヒップホップ・ラジオ番組のホストとして活動する。2020年にはBRAVURA RECORDSを発足し、ShowyやCookie Plantなどに楽曲提供している。
RECENT WORK
『RED STONE (DELUXE)』
Showy x DJ JAM
(BRAVURA RECORDS)
ビート・メイキングを始めたきっかけ
19歳のとき、グループ・ホーム『Livin' Proof』(1995年)をよく聴いていました。それでヒップホップのビートを作りたいと思い、サンプラーのAKAI PROFESSIONAL MPC2000XLを購入したんです。
ビート・メイキングに影響を与えた楽曲
近年のビート・メイキング・スタイルにおいて影響を受けているのは、エイサップ・ロッキー「Peso」です。特に最近では、アメリカのプロデューサー/ラッパーとして活動しているピエール・ボーンの「Poof」。両者に共通するようなサウンドの質感や、癖になるワンループの上モノは、自分がビート・メイキングをする際に参考にしています。
制作環境
コンピューターはAPPLE MacBook Proで、DAWはABLETON Liveです。Liveを選んだのは、単純に自分の周りにLiveユーザーが多かったから。自分はほかのDAWをあまり使ったことがないので比べるのは非常に難しいのですが、個人的な印象として、Liveはかなり使いやすい方だと思います。またオーディオI/OはUNIVERSAL AUDIO Apollo X8で、コンデンサー・マイクはNEUMANN U87AIとAMATERAS 8087を所有していますね。U87AIを購入したのは、プライベート環境でもプロ並みの録り音にしたかったから。フラットな音質で定番の音がします。それに比べると8087はドライな音質だと言えますね。
モニター環境
モニター・スピーカーはYAMAHA HS8で、 サブウーファーのHS10Wと併用しています。これらはピエール・ボーンが来日した際、スタジオに置いていったものです。もう一つのモニターはGENELEC 8020で、楽器屋に薦められて購入しました。中域と高域がかなり鮮明にモニターできます。
TR-808系キック・ベースのこだわり
キック・ベースの音源はサンプルです。Live付属サンプラーのSimplerで直感的に打ち込みます。ひずませたいときはサチュレーション・プラグインのDADA LIFE Sausage Fattenerの出番。迫力のあるサウンドになりますね。
上モノのこだわり
ソフト・シンセのSPECTRASONICS Omnisphere 2。これも直感です。ゴチャゴチャした感じにならないように、ワンループですっきりまとまるように仕上げることが多いです。好きなプラグインは、FABFILTERの製品。エフェクトをかけると質感が全体的にクリアになる印象があります。
ビート・メイカーとして大切なこと
“自分らしさ”を追求すること。自分のやりたい音を作っているだけです。あと、作品クオリティを一定に保つことと、たくさんリリースすることも大事。たくさんビートを作れば作るほどいろいろな発見があり、作曲のレベルも上がると思います。ビート・メイカーとしての名前の認知度を上げるという意味でも、リリースの量はポイントです。
今後の展望
有名/無名関係無く、自分が好きなラッパーたちとセッションしたいです。今はコロナ禍ですが、落ち着いたら全国を転々としながらビート・メイキングしたいですね。