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危険な音楽!? ハイパー・トランス・シンセ(Hyper Trance Synth)の作り方 〜crayvxnおすすめ!

crayvxnおすすめ! 多幸感/高揚感MAXなハイパー・トランス・シンセの作り方

昨今の洋楽ダンス/クラブ・ミュージック・シーンにおける主流のシンセ・サウンドやミックス・テクニックなど、最新の音作り術をプロ・クリエイターたちが紹介! ここでは、1980年代の“トランス”を現代に復活させたムーブメント=“ハイパー・トランス”(Hyper Trance)で用いられる代表的なリード・シンセの作り方をDJ/作曲家のcrayvxnが解説します。

高揚感溢れるシンセ・リード・サウンド

 トランスは、1980年代中期にアシッド・ハウスから派生したと言われる音楽ジャンル。130〜150BPM上で何度も繰り返されるシンセ・リードがリスナーを“トランス状態”にするというところから名付けられたようです。

 “ハイパー・トランス”はネオ・トランスとも呼ばれ、当時のトランスを現代に復活させようというムーブメントの一つ。個人的にも今熱いと感じているシーンです。この仕掛け人はポーター・ロビンソンの別名義、ヴァーチャル・セルフとも言われており、サイバーパンク的なカルチャーに強く影響を受けていると思います。

 ここでは、そんなハイパー・トランスで用いられる代表的なリード・シンセを紹介します。具体的には、テンポがトランスよりも速い170BPM前後の中で繰り返される、高揚感溢れるシンセ・リード・サウンド。音作りはさほど難しいものではありませんが、ポルタメントや空間系エフェクトがポイントになるでしょう。

 参考音源 

STEP 1:2つのオシレーターを使用

 ソフト・シンセはXFER RECORDS Serumで、真っさらのデフォルト状態(波形はソウ系)から始めます。まずはOSC Aをオンにし、UNISONを16に、DETUNEを12時か1時辺りに設定。OSC Bもオンにして、UNISONとDETUNEの値をOSC Aと同じくらいに調整し、オクターブを1つ上げましょう(赤枠)。

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1オクターブ違いで重ねよう

STEP 2:エンベロープを設定

 画面下部にあるENV1でアンプ・エンベロープを設定しましょう。アタックは1.2ms、ホールドは0.0ms、ディケイは2.69s、サステインは−15.7dB、リリースは0.6msです。こうすることで、アタック感のあるサウンドを得ることができます。

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アタック・タイムは速めに

STEP 3:ポルタメントを調節

 画面右下にあるポルタメントも欠かせません。ポルタメントとは、ある音から次の音に移動する際、音程が滑らかに変化するように演奏する挙動のことを指します。ここではMONO、LEGATO、ALWAYSをすべてオンにし、ポルタメント・タイムを15msくらいに調節しましょう(赤枠)。これでノートからノートへの移り変わりがスムーズになり、往年のトランスに登場するシンセっぽさが一段と増します。

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トランスのシンセはポルタメントが鍵

STEP 4:ノイズを追加する

 今度は、画面中段左端にあるNOISEをオンにします。ノイズを足すことで、音に厚みが出せるからです。音量は分かるか分からないかくらいでちょうど良いと思います。LEVELをいじって、お好みの値に設定しましょう。次はエフェクト部分の解説です!

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音に厚みを出す秘けつ!

STEP 5:ホール・リバーブを設定

 まずは、画面上部にあるFXタブをクリックして表示を切り替えましょう。画面左端のエフェクト欄からREVERBをオンにし、リバーブ・タイプをHALLに調整。LOW CUTを10%に、MIX値を11時の位置にし、あえて深めのリバーブにします。

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リバーブは深めに!

STEP 6:マイクロ・ディレイ/コーラスをかける

 次はHYPER/DIMENSIONをオンにし、マイクロ・ディレイ/コーラス・エフェクトのHYPERを調節します。ここではUNISONを3にして、MIXを30%程度にしましょう。サウンドに奥行き感のある厚みが出せたかと思います! ちなみにDIMENSIONは使いませんのでMIXは0%のままでOKです。

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奥行き感を出そう

STEP 7:ディストーションをプラス

 続いてDISTORTIONをかけましょう。少し粗い質感と存在感が欲しいので、ディストーション・モードをHardClipにし、DRIVEを60%くらいに設定します。

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存在感を引き立てるテク!

STEP 8:シェルビングEQで処理

 EQでは、シェルビングで高域を若干ブーストし、低域はカットします。画面左側にあるパラメーターが低域に関するEQで、右側が高域に関するEQです。低域のEQではFREQを140Hz、GAINを最小値の−24.0dBに、高域のEQではFREQを2kHz、GAINを8.0dBに調整します。一気にきらびやかで派手なサウンドになりました!

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きらびやかで派手なサウンドに

STEP 9:仕上げのピンポン・ディレイ

 仕上げにディレイもオンにします。ディレイ・タイムはLchが1/16(16分音符)で、Rchが1/8(8分音符)、ディレイ・モードはPING-PONGにチェックを入れ、MIXは50%付近にしましょう。トランスに登場するシンセ・リードはディレイとリバーブの組み合わせがポイントなので、ここはしっかり押さえておきましょう。これで全体の音作りは完成です。

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ディレイとリバーブの組み合わせが肝

STEP 10:アルペジオ・フレーズを打ち込む

 最後はシンセ・アルペジオのMIDIノート打ち込みについてです。今回は画像のように打ち込みましたが、基本的には16分音符や8分音符を多用すると、キラキラした高揚感あふれるハイパー・トランス・シンセになるでしょう。これとは別に立ち上げたシンセ・リードなどとレイヤーすると、より力強いサウンドになるのでぜひ試してみてください!

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16分音符や8分音符を多用しよう

 

 完成した音源の試聴はこちら! 

 

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crayvxn
【Profile】DJ/作曲家。17歳のころにIMAGE-LINE FL Studioを使った作曲を始め、21歳でオランダのダンス・ミュージック・レーベル最大手であるSpinnin' Recordsと日本人初となる専属契約を果たした。現在は名義をPharienからcrayvxnに変更し、ゲーム音楽などをメインに活動している。

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