オカモトショウ(OKAMOTO’S)× BLUE MICROPHONES 〜ボーカリストの潜在能力を引き出す宅録マイク

オカモトショウ(OKAMOTO’S)× BLUE MICROPHONES 〜ボーカリストの潜在能力を引き出す宅録マイク

BLUE MICROPHONESからリリースされている宅録用/ミュージシャン向けのコンデンサー・マイク“Blue XLRシリーズ”の3機種。そのSpark SL、Bluebird SL、Baby Bottle SLは、デザインのみならず、ターゲットに合うサウンドをとらえるためにそれぞれ特性の異なる仕様に仕上げられている。今回はOKAMOTO'Sのボーカリストで、ソロ作品ではトラック・メイクも行うオカモトショウに、ソロ楽曲の「GLASS feat.AAAMYYY」の録音で試してもらい、インプレッションを聞いた。

Photo:Hiroki Obara Engineer:青木悠(B-PILOT)

Bluebird SLは中高域と低域など、俺の声の美味しい成分を引き出す

 Spark SL、Bluebird SL、Baby Bottle SL3つのマイクを試したのは、都内のスタジオ、サウンドバレイにてオカモトショウはまず、ビジュアルの優れた点について指摘した。

 

 「マイク・カプセルとボディが切り離されているこのデザインは、クラシカルでもありモダンさも兼ね備えていますね。Spark SLの光沢のある黒と、Bluebird SLのビンテージ感のある青、Baby Bottle SLのマットな黒、それぞれの色が渋くて格好良いと感じました」

 

 そんな第一印象を抱きつつ、BLUE MICROPHONESのマイクを初めて試すオカモトショウがまず手に取ったのは、26mm径カプセル搭載の単一指向性マイクSpark SLだ。

 

f:id:rittor_snrec:20210802195840j:plain

 

 「Spark SLはキャラ付けをしてくれるイメージで、俺の声の高域の部分に一番反応している気がしました。俺よりも声の高い人が使ってみた音も聴いてみたいです」

 

 Spark SL 
オープン・プライス(市場予想価格:24,970円前後)

f:id:rittor_snrec:20210802200034j:plain

SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド ▪カプセル:26mmコンデンサー・カプセル ▪感度(@1kHz):34.9mV/Pa ▪ノイズ・レベル:16.4dB ▪外形寸法:45(W)×220.5(H)mm ▪重量:336g

 

 次に手を伸ばしたのは、34mm径カプセル採用の単一指向性マイクで、モダンでクリアなサウンドが特徴だというBluebird SLだ。

 

f:id:rittor_snrec:20210802202229j:plain

 

 「最初に“あー”ってマイク・チェックをした時点で、“あ……合うかも”と直感的に思ったし、録音後にテイクを確認してみても俺の声の一番おいしい成分をバーンって伸ばしてくれるなと感じました。とても歌いやすかったですよ。「GLASS feat.AAAMYYY」で俺がイメージしているボーカルのサウンドともすごく合っているなと思いました」

 

 Bluebird SL 
オープン・プライス(市場予想価格:32,780円前後)

f:id:rittor_snrec:20210802202305j:plain

SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド ▪カプセル:34mmコンデンサー・カプセル ▪感度(@1kHz):28.5mV/Pa ▪ノイズ・レベル:11.7dB ▪外形寸法:47.5(W)×222.5(H)mm ▪重量:455g

 

 Bluebird SLが自身の声と合う、そして良さを引き出すと感じる理由をさらに聞いた。

 

 「自分の声の特徴的な部分である中高域とか、低い音を歌ったときの成分の出方とか、声にある収めてほしいさまざまなニュアンスを収音してくれるんです。それでいて、伸びも太さもあるから、俺の声の良い部分をよく引き出してくれると感じたんですよね」

 

 最後に34mm径カプセル採用の単一指向性マイクで、クラシックな温かみと存在感を目指したBaby Bottle SLを試してもらったところ、また別の良さがあると続けた。

 

f:id:rittor_snrec:20210802202527j:plain

 

 「Baby Bottle SLも俺との相性が良かったです。声の低域の部分をグッと持ち上げてくれるような感じ。例えばテンポの速めな曲とかをBaby Bottle SLで録っておいて、オケにあるパートが野太い音でラウドな音場になっても、低域から抜けるようなボーカルを作りたいというシーンで活躍してくれると思います。落ち着いた音なので、ジャズ・スタンダードなどをカバーするときにも良いかもしれないです」

 

 Baby Bottle SL 
オープン・プライス(市場予想価格:43,780円前後)

f:id:rittor_snrec:20210802202616j:plain

SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド ▪カプセル:34mmコンデンサー・カプセル ▪感度(@1kHz):39.8mV/Pa ▪ノイズ・レベル:10.8dB ▪外形寸法:51.5(W)×222.5(H)mm ▪重量:410g

 

 またボーカル処理の観点から見ても、Baby Bottle SLは優れているという。

 

 「芯が太く録れるので、後からひずみ系エフェクトをかけて倍音を際立たせても、低域と良い関係を保ったボーカルに仕上げられる気がします」

 

3機種とも録り音が完成形に近いので、宅録のアイディアを逃さずに記録できる 〜オカモトショウ(OKAMOTO'S)

f:id:rittor_snrec:20210802202945j:plain

 音質的に異なる3つのマイクを聴き比べながら、オカモトショウは個性の比較の面白さを話してくれた。

 

 「カプセルの部分をよく見てみると、3つそれぞれメッシュ部分の形が違うんですね。Spark SLは両面が平らで、Bluebird SLは収音側が平らで、もう一面は半球状、Baby Bottle SLはすべて球状になっている。3つが収音/出力する音には細かいニュアンスの違いはあるけれど、高域寄りのSpark SL、中域寄りのBluebird SL、低域寄りのBaby Bottle SLと分類できるような気がします。個人的に買うとしたらBluebird SLを選びますね。それぐらい俺の声と圧倒的に相性が良くて、ハマっていた」

 

 また3つのマイクには共通点もあると続ける。

 

 「3つとも録り音が最初から完成形に近い感じで、そのままオケに乗せても抜けて聴こえてきそうだと感じます。とりあえずパッと取り出して使いやすいマイクは、宅録する上で必須アイテムだと思うんです。じっくりと考えて機材を選んでいる時間にアイディアのイメージを逃してしまうこともあるので。そのままで良い音が録れるマイクっていうのは、宅録する上で重宝すると思います」

 

 豊富なラインナップが用意されていることで、ボーカリストのさまざまな用途に対応できる3機種になっている。

 

 「普段自分の歌声を録る人なら分かると思うんですけど、本当に声質によってマイクの相性は変わりますよね。歌い比べて音質がかなり異なることを実感したので、どれが合うかをこの3機種で試してみるのは面白そうだと思います。表現の幅も広げられそうです。今日はレコーディング・スタジオで録りましたけど、家で録ってみたらまた印象が変わりそうですよね。違う曲では違うマイクがハマるかもしれない。俺の宅録用マイクの選択肢に加えて、いろいろな楽曲で試すのが楽しみです」 

 

25年の歴史を持つBLUE MICROPHONES

 BLUE MICROPHONESは1995年創業のマイク・メーカー。現在はアメリカを拠点としている。プロ用コンデンサー・マイクは世界中のスタジオで使用されており、デヴィッド・ボウイ、セレーナ・ゴメス、レディー・ガガなど世界的なアーティストの楽曲で使われてきた。

 

 昨今ではマイク用途の多様化に伴い、一般消費者の配信/リモート会議向けのUSB接続で使用できるマイクなども開発している。プロ志向のマイク技術を手ごろな機種にも踏襲し、サウンド・クオリティとコスト・パフォーマンスに優れたさまざまなマイクを届ける。

f:id:rittor_snrec:20210802203047j:plain

BLUE MICROPHONESのUSBマイク。左から、Yeti X、Snowball Black、Snowball White

製品情報