「FOCUSRITE Saffire Pro 26」製品レビュー:4基のマイクプリを搭載した最大18イン/8アウトのオーディオI/O

FOCUSRITESaffire Pro 26
FOCUSRITEのFireWireオーディオI/O(Thunderboltにも対応)、Saffire Proシリーズにアナログ/デジタルを合計して18イン/8アウトの入出力を有するSaffire Pro 26が追加されました。最高24ビット/96kHzに対応し、Mac/Windowsをサポートする本機についてレビューしていきたいと思います。

DIMやミュートを備えたモニター部
クセが無く解像度の高いD/A


Saffire Pro 26の外形寸法は470(W)×108(H)×273(D)mmとなっており、今回のテストで使った13インチのRetinaディスプレイを備えるAPPLE MacBook Proとほぼ同じ幅。YouTubeで製品プロモーション映像を見たところ、自宅はもちろん外に持ち出しての使用も想定されているようで、実に扱いやすいサイズだと思います。本機にはFireWire 400端子が装備されており、DC電源のほかバス・パワーでも動作可能。また、APPLEのThunderbolt/FireWire変換アダプターを用いれば、Thunderbolt接続のオーディオI/Oとしても動作します。筆者のMacBook ProにはFireWire端子が備えられていないため、今回は変換アダプターを使ってThunderbolt接続でテストしてみることにしました。ちなみに、現行のコンピューターにはFireWire非搭載のモデルが増えています。手持ちのFireWireオーディオI/Oを使いたい場合は、変換アダプターを用いることによりThunderbolt接続で使えるケースもあるのですが、変換しての接続が可能であることがオフィシャルにアナウンスされているのは重要だと思います。またFireWireはUSBと比べて供給電力が高いので、バス・パワー動作はポータブル環境において有利だと感じます。オーディオの入出力としては、マイク・イン×2やマイク/ライン・イン×2、ライン・イン×2、ライン/インスト・イン×2、ADATイン、S/P DIFイン/アウト、ライン・アウト×6、ヘッドフォン端子×2を装備。フロントのモニター・コントロール・セクションにはモニター・ボリューム・ノブのほか、シリーズ機のSaffire Pro 24 DSPやSaffire Pro 40と同様にDIMスイッチとミュート・スイッチが用意されています。オーディオI/O本体にそれらの機能が集約されているのはうれしいものです。D/Aの音質にはクセが無く、解像度も申し分ないもの。また、モニター・ボリューム・ノブを上げてもひずみ感が無く、色付けが極めて少ないのも特徴です。 

ニュートラルな音質のマイクプリ
ADATやS/P DIFによる高い拡張性


本機にはマイクプリが計4つ内蔵されています。FOCUSRITEと言えば、ISAシリーズやAPI 500互換モジュールのRed 1など、スタジオで頻繁に使われるマイクプリを数多くリリースしているので、本機のマイクプリにも期待が持てます。そのサウンドをチェックするためにコンデンサー・マイクやリボン・マイクを接続し、ボーカルやアコースティック・ギターを録音してみました。幾つかのソースを録り終えての総合的な印象は、音の入り口としてニュートラルな音質であり、解像度が高いというもの。ISAシリーズのような単体機のマイクプリは独自のキャラクターを持っており、インプット/アウトプットの両ゲインで音作りを行いますが、オーディオI/Oのマイクプリは基本的にアウトプット・ゲインを持たないため、本機のようにニュートラルかつ高解像度な音質のものが求められるのではないでしょうか。また、最近ではひずみや倍音をうまく付加できるプラグイン・エフェクトも増えていますし、入力する段階から質感を持たせなくても音楽的なテクスチャーの表現が可能になっています。そうした中で十分な解像度を備え、リボン・マイクの音なども問題なく増幅できる本機のマイクプリは良い出来栄えだと思います。より多くのチャンネルが必要な場合は、同社のOctoPre MKIIなどをADAT接続すれば同クオリティのマイクプリを増設できるため、ドラムのマルチマイキングなどにも対応可能です。また、さらに解像度の高い録音を求める際には、気に入ったADコンバーターをS/P DIFで接続できるなど、拡張性も高いと思います。同価格帯のオーディオI/Oと比べても、訴求力の高い優秀な製品であると感じました。 
▲背面には、左からS/P DIFイン/アウト(コアキシャル)、12VのDCイン、MIDI OUT/IN、FireWire 400端子、ADATイン(オプティカル)、ライン・アウト(フォーン)×6、ライン・イン(フォーン)×2、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)×2、マイク・イン(XLR)×2が配置されている ▲背面には、左からS/P DIFイン/アウト(コアキシャル)、12VのDCイン、MIDI OUT/IN、FireWire 400端子、ADATイン(オプティカル)、ライン・アウト(フォーン)×6、ライン・イン(フォーン)×2、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)×2、マイク・イン(XLR)×2が配置されている
 (サウンド&レコーディング・マガジン 2014年10月号より)
FOCUSRITE
Saffire Pro 26
オープン・プライス (市場予想価格:40,000円前後)
▪接続タイプ:FireWire 400(別売の変換アダプターでThunderboltにも対応) ▪入出力数:最大18イン/8アウト(アナログ最大8イン/6アウト) ▪ビット&レート:最高24ビット/96kHz ▪周波数特性:20Hz〜20kHz(±0.1dB) ▪ダイナミック・レンジ:109dB(A-weighted、全入力/ライン・アウト) ▪外形寸法:470(W)×108(H)×273(D)mm ▪重量:2.98kg 【REQUIREMENTS】 ▪Mac:Mac OS X 10.5.8以降、PowerPC G4 1GHz Dual/INTEL製プロセッサー ▪Windows:Windows XP(SP3)/7、1.5GHz以上のINTEL製プロセッサーを推奨 ▪共通項目:512MB以上のRAMを推奨