ヌケの良いフィルターと強力なレゾナンス ひずみのコントロールも自由自在
大きさはお弁当箱サイズといった感じで、先にリリースされたシンセ・モジュールのRocketと共通です。プラスチック製のボディで、重さもさほどなく、持ち運びには良さそうです。電源は付属のユニバーサルACアダプターを使います。 信号はモノラル入出力で、アナログ・マルチモード・フィルターを搭載。モジュレーション・ソースとしてLFO、そして音源などに反応してトリガーするエンベロープがあります。入力段ではかなり大きなゲインを取ることができ、エレキギターなども直接接続可能。ライン・レベルではGainつまみを回すと大きくひずませることも可能です。シグナル・パスはすべてアナログ。フィルターはトゥルー・バイパス可能で、音質重視の設計です。 フィルター特性は2ポール、つまり−12dB/octですが、これは一般的な4ポールより緩やかな効き。その分、原音のヌケが出しやすく、実際この2-Poleのフィルターも質感がとてもアナログ的かつクリアです。S/Nも良く、Gainでひずませてもノイズが上がってくることはありません。 ただ、“緩やか”と聞くと、もっと過激に効くフィルターのほうがいいんじゃないかと思ってしまいますが、2-Poleのレゾナンスはかなり強力で、つまみを2時くらいまで回すともう発振してくるほど。フィルターのモードもローパス、バンドパス、ハイパスで切り替えられるので、音質のバリエーションも豊富です。 さらに、波形の下半分を上へ反転させるRectifyツマミやオーバードライブ感を加えるDriveツマミによってひずみ感をさらに調整することができます。感覚としてRectifyは中高域のひずみのカラー調整に、Driveはひずみの太さを出すのに使えます。特にDriveを回すとぐっと音が前に出てくるのがいいです。 印象的なのはハイパス(HP)モードが非常に秀逸なこと。個人的に気に入りました。普通は一番地味なモードですが、強力なバンドパスに負けないしっかりとした質感が得られます。もちろん3つのタイプともモダンなキャラクターで、汎用性のある扱いやすいフィルターだと思いました。
LFOやエンベロープで カットオフをモジュレーション可能
LFOの波形はサイン波のみですが、スピードのレンジを切り替えられます。かなり高速のFastからSlow、さらにGemütlich(ドイツ語で“心地いい”という意味)とあえて表記された超スローなLFOが、カットオフに対してかけられます。スウィープ感はかなり心地いいです。 エンベロープでは、まずゲートのように、入力した音のアタック部分からトリガーを抽出しています。この抽出されたトリガーをパーカッシブに短いパルス信号として取り出したり、ソースの長さに合わせてトリガーのオン/オフを決めたりが可能です。そして、このトリガーに対してアタック、ディケイ、ホールドを調整します。ハイパス・フィルターで音を完全に切った状態からエンベロープでフィルターを開かせるようにすると、ビート・スライサーとしても結構使えます。それと右下にあるTriggerボタンは、抽出されたトリガーの確認ランプであると同時に、指で押すことでマニュアルのトリガー・ボタンとしても動作します。 さらに2-Poleでは外部からエンベロープ、カットオフ、ゲートのCV信号を受けることができるため、モジュラー・シンセなどと連携させたりしても面白いと思います。やっぱりハードウェアのアナログ・フィルターっていいですね!