S/P DIFコアキシャル入力も搭載 入力3系統&出力3系統から自由に選択
まず目を引いたのは各スイッチやボリューム・ツマミの配置やデザインが良いところ。視認性の良さは誤操作の低減につながり、作業効率の向上にも貢献してくれます。以前のバージョンからの変更点は、パネルの色がシルバーから黒に変わるとともに、トークバック・マイク入力やレコード・プレーヤー用AUXフォノ・インが無くなり、S/P DIFコアキシャルのデジタル入力(24ビット/44.1/48/88.2/96kHz対応)が搭載されました。 入力ソースはST1&2がそれぞれTRSフォーン×2。RCAピン×2とステレオ・ミニを併装するAUXは、ゲインの調整が可能です。ちなみにこの2つのAUX入力は同時使用可能。前述のS/P DIF入力は、このAUXとの切り替えで使用できます。 入力ソースの選択方法は2通りあり、1つ目はスイッチを押すたびに入力ソースが切り替わる“トグル・モード”。リファレンスとなる音源と聴き比べをするときに便利です。2つ目はST1&2とAUXで計3系統の音源を同時に鳴らすことができる“サミング・モード”。例えばST1にオケ、ST2にはプレイヤーだけに聴かせたいガイド・ボーカルやクリックなどといった具合に分けておくと、コントロール・ルーム(ST1)とCUE回線(ST1&2)とで別々のミックスを聴きながらレコーディングできます。 一方、出力側のスピーカー・セレクトはA〜Cのステレオ3系統。すべてTRSフォーン仕様で、系統ごとにアウトプット・ボリュームをリア・パネルに備えています。スピーカーの切り替え方法は3種類から選択可能。スイッチを押すごとにスピーカーを切り替えることができる“トグル・モード”、3つ同時に鳴らすことができる“オール・オン・モード”、3回線目のCをサブウーファーに接続してA/Bを切り替える、つまりA+CまたはB+Cとなる“サブウーファー・モード”があります。 ヘッドフォンの出力は4系統あり、それぞれCUE回線側で選択したソースを選んで聴くモードと、コントロール・ルームで聴いているメイン回線側と同じソースを聴くモードが選択できます。メイン回線側を選択するとMONOやDIM、MUTEがヘッドフォン側にも反映されます。 入力や出力のスイッチングの切り替えやインプットLEDメーターの基準は、指定されたボタンを押しながら電源投入すると設定の切り替えができます。一度設定すれば電源を落としても前回まで使用していたモードが継続されます。
ハイエンドからローエンドまで伸びた音 デジタル入力では透明感が増す
音の印象はハイエンドからローエンドまで気持ち良く伸びていて、低域ではバス・ドラムのボトムのアタック感がとてもよく再生されていました。ボーカルの帯域は声が少し前に出てくる感じで、聴きやすくミックスしやすい印象です。 またS/P DIF入力ではアナログ入力よりも位相が良く感じられました。透明感が増し、リバーブの残響感もより見えやすく、左右もより広がって定位も把握しやすくなりました。レコーディングではCUEなども扱いやすいようにアナログ入力を使い、ミックスではデジタル入力を使うという方法も良いのではないでしょうか。 音質もさることながら、本機のコミュニケーション・セクションの充実ぶりには目を見張るものがありました。皆さんもより良いモニタリング環境を構築して、レコーディングやミキシングを楽しんでいただきたいと思います。