最大12系統の入出力を扱えるiOS対応のUSB-MIDIインターフェース

ICONNECTIVITYiConnectMIDI
iConnectMIDIは、Mac/WindowsベースのコンピューターやiOSデバイスとの接続に対応したUSB-MIDIインターフェースである。APPLE iPad/iPhoneの普及に伴い音楽系アプリが多数登場した昨今では、iOS上で使えるMIDIインターフェースも珍しくはない。そんな中、本機は非常に多機能で、唯一無二の特徴も備えている。一体どんな部分が優れていて、どういった用途に向いているのか? 早速見ていこう。

2系統のMIDI IN/OUTに加え
USB A端子×1/ミニB端子×2を装備


MIDIが策定されたのは1982年。何と30年も前だ。変遷の激しいデジタル系の規格としては、非常に長生きと言えるだろう。こんなに長くMIDIが使われているのは、対応するハードウェアが販売され続けている以前に、MIDI信号がデジタル・データとして高い完成度を備えており、なおかつその通信プロトコルが優れているからだろう。DAWソフトの多くがMIDIをコントロールすることをベースに作られているし、舞台照明の制御などにもMIDIが使われている。より身近なものに例えると、MIDIファイルはTXTファイルと同じくらいに無くてはならないものとなっているのだ。しかしMIDI信号は日常的に使用するものの、音響機器のソフトウェア化の流れもあり、MIDI端子を見る機会は減ってきた。その代わりに増えてきたのは、USB接続のMIDIデバイス(以下、USB-MIDIデバイス)だ。USB-MIDIデバイスと一口に言っても各種コントローラーや鍵盤など、その種類は多岐にわたり、USB普及に伴い増加の一途をたどっている。しかしここに来て、iOSデバイスを音楽制作システムに組み入れようとすると、ホスト側とクライアント側、それぞれの機器が1本のUSBケーブルで接続できなかったりと、USB接続の制約が足かせになることもある。それを解決しようという機材が、このiConnectMIDIだ。それでは実際に見ていこう。本体の外形寸法は110(W)×35(H)×70(D)mmと非常にコンパクトで、フロント・パネルにはMIDI信号の入出力を表わすLEDインジケーターが、リア・パネルには付属のACアダプターを接続できる5VのDCインが装備されている。入出力端子としてはフロントにUSB端子を1+2系統=3系統、リアにMIDI IN/OUTを2系統装備。USB端子の系統数を"1+2"と記載したが、ここが本機の非常に重要な部分となっているので、詳細を書こう。USB端子は、デバイス側に装備される"A"とコンピューターなどのホスト側が備える"B"の2種類に大きく分類される。本機には、A端子が1つとミニUSB B端子が2つ用意されている。本体に描かれたアイコンのように、A端子にはUSB-MIDIデバイスやUSBハブを接続することができ、ミニB端子にはコンピューターやiOSデバイスを最大2台つなげて同時に使えるようになっている。これは非常に画期的な仕様で、コンピューターとiOSデバイス間でのMIDI信号のやり取りを有線で行うことができ、Wi-Fiなどを準備する必要が無いことを意味している。また、A端子にUSBハブ(一般的なものでOK)をつなぐと、さらに最大8台のUSB-MIDIデバイスを接続することができる。Macを本機に接続したとき、Macに標準搭載されているAudio MIDI設定というアプリケーションを見ると、リアのMIDI IN/OUTだけでなく、フロントに配置されたすべてのUSB端子がMIDI入出力として扱われることが分かる。そんなわけで、以下にiConnectMIDIならではの具体的な用途を挙げてみよう。


  1. 複数のUSB-MIDIデバイスを使って、iOSアプリをコントロール

  2. コンピューターとiOSデバイス、複数のUSB-MIDIデバイスを使ってMIDI音源をコントロール

  3. 複数のUSB-MIDIデバイスで、MIDI音源をコントロール


無償のiOSアプリPortManagerで
MIDI信号のルーティングなどが設定可


さらに、Port Managerという同社のiOS対応アプリを使えば、本機の各端子に入力されるMIDI信号をどの端子から出力するのか、または、どういったデータをフィルタリングするのか?といったことをすべてアプリ側で設定できる。なお、PortManagerはiTunes Storeから無料でダウンロード可能だ。


本機はその大きさから想像できないくらいに、多機能なUSB-MIDIインターフェースだ。同じ仕様の製品が一昔前に発売されていたら、液晶ディスプレイの付いたラック・マウント・サイズになっているだろうが、こんなに小型化できたのはMIDI端子の数を抑え、ルーティングやフィルタリングをソフトで管理できるようにしたためだろう。一般的なUSB-MIDIインターフェースと比べればそれなりに高価だが、先述の通り本機が無ければ実現できないような機器の接続パターンもある。ライブ用システムにiOSデバイスを組み込んだり、複数のUSB-MIDIデバイスを一括して扱いたいときには、必要不可欠なものになるだろう。

▼リア・パネルには左から、DCインと2系統のMIDI IN/OUTが装備されている




サウンド&レコーディング・マガジン 2012年8月号より)

撮影/川村容一

ICONNECTIVITY
iConnectMIDI
19,800円
▪入出力/USB A端子、USBミニB端子×2、MIDI IN/OUT×2系統▪電源/DC5V▪外形寸法/110(W)×35(H)×70(D)mm▪重量/320g

▪Mac/Mac OS X▪Windows/Windows XP/Vista/7▪iOS/対応デバイス:APPLE iPad(iOS 4.2以降)、iPad 2、iPhone 3G/3GS/4/4S、iPod Touch(第3/4世代)