ベルリン在住のクリエイター=パブロ・デコーダーによるテックな素材集

LOOP MASTERSPABLO DECODER PRESENTS PEAK TIME BERLIN
パブロ・デコーダーという、ドイツはベルリン在住のクリエイターが手掛けた本ライブラリー。彼の作品には、インストのダンス・ミュージックよりも本人の歌が乗ったエレクトロ・ディスコ系の楽曲が多く見受けられる。日本ではまだそれほど紹介されていないので、彼の音作りに興味のある方は、ぜひこの素材集を手に取ってみてほしい。

さて、その内容は彼自身の作品とは趣向の異なるテイストとなっており、テクノやミニマル、テック・ハウスなどに使えるサウンドを網羅的に収録。総容量は約572MBと、それほど大きなボリュームではないものの、どの音にもキレがあり、メリハリが付いた印象だ。コンプやEQでの処理を施すことなく、そのまま使っても良さそうだ。また用意されている音の種類が多い上、ベースやシンセ、SE、打楽器などの音はAPPLE LogicのEXS24やNATIVE INSTRUMENTS Kontakt、STEINBERG Halionなど、主要なサンプラーへ瞬時に読み込めるパッチとしても収録。ただ、サンプラー・パッチに割り当てられている素材がマルチサンプルではなく、シングル・ショットであるところは残念に感じた。総容量から考えても仕方無いと思うのだが、どうしても音階の幅に限度ができてしまう。とは言え、特にキックの音などは実に高品質だし、そのまま使ってもエフェクトをかけても、なかなかに使えるものだ。細かいことは気にせず、好みのサウンドを見つけたらガンガン使い倒してみると良いだろう。


さらに、WAV/Acidized-WAVで合計120種類ほどが用意されたドラム・ループを使えば、それを基にベースと上モノを作るだけで手軽に楽曲を構成可能だ。とりわけ、打ち込みを始めたばかりの初心者は重宝するだろう。もちろん、経験豊富なトラック・メイカーにとっても、自身のサウンドにエッジを加えたいと思ったときなどに役立ってくれそうだ。


サウンド&レコーディング・マガジン 2012年8月号より)


LOOP MASTERS
PABLO DECODER PRESENTS PEAK TIME BERLIN
2,205円(為替レートによる価格の変動あり。表記の価格は2012年7月3日現在のもの)
●ダウンロード販売●容量:約572MB ●DATA FORMAT:EXS24、Halion、WAV、Sound Font、REX2、Kong、Acidized-WAV、NN-XT、Kontakt4