透明なサウンドと高いトランジェント特性を目指した4chマイクプリ

AVID Pro Toolsがレコーディングの主流になってから既に10年ほど経ちます。当時、プロの仕事で使えるプラグインは一握りでしたが、今では質がかなり向上したこともあり、レコーディングの方法や手順も大きく変わりました。同時に、アウトボードのマイクプリに求められることも、アナログ・レコーディングが主流のころとは異なってきています。 そんな状況を加味しつつ、設計や部品へ徹底的にこだわった4chマイクプリのSP-MP4が発売になりました。このマイクプリの基本的な設計思想は、"できる限りシンプルに、かつ厳選された部品だけを使って、マイクからインプットされた音を色付けせずに増幅する"ということ。一見簡単そうですが、かなりのこだわりがないと実現は難しく、また製作コストもかかります。しかし本機はコストよりもまずは"音"を第一に考え、厳選された部品だけを選んで作り上げたという製品。試聴が非常に楽しみです。

SYM・PROCEEDSP-MP4
AVID Pro Toolsがレコーディングの主流になってから既に10年ほど経ちます。当時、プロの仕事で使えるプラグインは一握りでしたが、今では質がかなり向上したこともあり、レコーディングの方法や手順も大きく変わりました。同時に、アウトボードのマイクプリに求められることも、アナログ・レコーディングが主流のころとは異なってきています。 そんな状況を加味しつつ、設計や部品へ徹底的にこだわった4chマイクプリのSP-MP4が発売になりました。このマイクプリの基本的な設計思想は、"できる限りシンプルに、かつ厳選された部品だけを使って、マイクからインプットされた音を色付けせずに増幅する"ということ。一見簡単そうですが、かなりのこだわりがないと実現は難しく、また製作コストもかかります。しかし本機はコストよりもまずは"音"を第一に考え、厳選された部品だけを選んで作り上げたという製品。試聴が非常に楽しみです。

まさに色付けの無いピュアな音
歌い手のニュアンスも如実に表現


まずは外観から。アルミ削り出しで作られたフロント・パネルは、ハイエンド・オーディオ機を彷彿させるデザインです。4chとも操作子の配置は同じで、メインのゲイン・ダイアルは3dBステップ。ほかはファンタム電源スイッチ、逆相スイッチ、−20dBのPAD兼ハイパス・フィルター(40Hzを−6dB/oct)スイッチ、そして−1dB/0/−2dB切り替えのアッテネーター・スイッチがあるだけと、とても分かりやすいです。特別なスイッチも無く、見たままの操作が可能。ただメイン・ダイアルはそれ自体に数字がプリントされたデザインなので、遠くからパッと見でゲインの状態が把握しづらい点は少し気になりました。では、実際に音を入力してチェックしていきましょう。まずはコンデンサー・マイクのAKG C414EBでチェック。ボーカルで試してみたところ、"クリア""音の立ち上がりが早い""粒立ちが良い""レンジが広い""透明感がある"といった印象。一言で言えば素直な音であり、NEVE 1073のような個性はありません。設計者によれば、マイクプリではなるべくピュアなサウンドで録音し、音の色付けは後からプラグインなどで加えていく形を想定しているそうです。何ともコンピューター・レコーディング的な発想ですが、今の制作形態に即した考えた方だと思いました。そういう意味でこの"色付けの無い音"は、設計者の意図通りに仕上がっていると思います。声の低音から高音まで、どの帯域も奇麗に表現しています。ボーカリストが声色を変えて歌った感じもそのまま再現されるので、特に音色/音量コントロールのスキルを持ったボーカリストにはお勧めです。次にアコースティック・ギターに使ってみました。ナイロン弦/スチール弦とも相性は良く、倍音が奇麗に再現されます。ダイナミクスも弦を弾いたそのままの感じで再現されるので、特にクラシックやジャズなどアコースティックな音楽の場合、モニター・サウンドがミュージシャンに気持ち良く聴こえるのではないでしょうか。より演奏に集中できるサウンドだと思います。

カッティングは粒立ちが良く
打楽器はダイナミクス豊かに再現


今度はダイナミック・マイクのSENNHEISER MD431にてチェック。まずはアコギ録りをしてみました。ダイナミック・マイクでのアコギ録音は中域が強調され、ロックで効果的であることが多いものの、カッティング時に飽和してしまうというケースもあります。しかし本機は、カッティングでも飽和してつぶれることがなく、音の粒立ちが気持ち良く録れました。さらにゲインを60dBまで上げて、アルペジオを録ってみました。この際、本機の入力インピーダンスが4.4MΩと非常に高く設定されているためかS/Nの点が少々気になりました。ゲインの高いマイクでの作業では大丈夫ですが、リボン・マイクやダイナミック・マイクでゲインを上げなければならない現場では注意が必要です。もう一つ気を付けたい点として、ハイパス・フィルターと-1dB/-2dBのアッテネーターを併用した場合、フィルターの時定数が変化してしまうため、ハイパス・フィルターの周波数が上がってしまうこと。気付かないで併用すると低域の抜けた音になるので、積極的にこの変化を使うのでなければ気にしておきたい部分です。最後に打楽器としてジャンベにマイクを立ててみましたが、大音量でもクリップすることもなく、ピアニッシモからフォルテッシモまでダイナミクスをそのままの迫力で再現。少々無機質なイメージはありますが、"色付けは後処理で"という設計意図ならばアリでしょう。以上、シンプルな回路設計を選択し、色付けの無い音を追求した本機。使用に際して知っておくべき点はあるものの、それを加味した上で"ピュアな音"が魅力的な機材です。 201107_SP-MP4_rear.jpg

▲リア・パネル。4つのチャンネルごとに入出力端子が用意され、各チャンネルに入出力(XLR)とアンバランス出力(フォーン)を実装。右のスペースはDCインとオプションのADコンバーター・カード用だ

SYM・PROCEED
SP-MP4
オープン・プライス (市場予想価格/550,000円前後)
▪周波数特性/+21dBゲイン&+21dBuバランス・アウ時:5Hz~40kHz(<±0.03dB)、+21dBゲイン&+8dBuアンバランス・アウト時:6Hz~40kHz(<±0.03dB)▪ゲイン/0〜66dB▪THD+N/+21dBゲイン&+21dBuバランス・アウト時(5Hz〜40kHz):<0.001%、+21dBゲイン&+8dBuアンバランス・アウト時(5Hz〜40kHz):<0.003%▪入力インピーダンス/4.4MΩ、150kΩ(+48V時)▪外形寸法/本体:482.6(W)×44(H)×260(D)mm、電源ユニット:230(W)×70(H)×231(D)mm▪重量/本体:約2.1kg、電源ユニット:約3.5kg