FireWire/USBハイブリッドの高機能オーディオ・インターフェース

MOTUAudio Express
MOTUよりWindows/Mac問わず使える6イン/8アウト、24ビット/96kHz対応のオーディオ・インターフェースAudio Expressが新登場。FireWire/USB2.0のハイブリッド対応や、同社オーディオ・インターフェースの特徴であるミキサー機能、スタンドアローン操作も可能な本機。パーソナル・レコーディングはもちろん、ライブなどでも活躍しそうな予感ですね。早速チェックしていきましょう!

フロント・パネルの7つのノブで
さまざまな設定が可能


上位機種のUltraLite-Mk3 Hybridと同様、ハーフラック・サイズにすべてを詰めこんだAud
io Express。まずはフロント・パネルをチェックしてみましょう。パネル右側にはインジケーター・パネルを装備。各入出力のレベル確認をはじめ、ファンタム電源や−20dB PADのON/OFF、MIDIやS/P DIFの送受信状態が分かりやすく確認できます。左側には各入出力の調整をするノブが7基装備されており、これらを使うことでMOTUならではの各入力のレベル/トリム調整、パン設定、ミュートのオン/オフなどがフロント・パネルから操作可能です。もう少し具体的に説明しますと、これら7つのノブはそれぞれ"押す/長押し/回す"ことにより、1ノブで異なる設定を行えます。まずデフォルトのVOL MIXモードでは、VOLノブを押すたびにメイン出力→ライン出力→S/P DIF出力→ヘッドフォン出力→トリムの順番でインジケーターが切り替わり、ミックス設定したい出力先を決めます。ここで設定できる機能は各インプット・チャンネルのボリュームとミュートで、各ノブを回してボリューム変更、押してミュート/ミュート解除となります。次に、VOLノブを長押ししてPAN MIXモードへ入ります。VOL MIXモードと同様、押すたびに出力先が切り替わり、各ノブを回してパンを設定します。最後はVOLノブを回してミックス全体のボリュームを決定。こうした一連の行程で、計4種類の独立したミックスを別々のアウトプットへ出力可能となります。文字で書くよりも実際に触ってみた方が分かりやすいのですが、この直感的ミックスは驚くほどスムーズで楽チンでした。例えばライブに本機を導入した場合、メイン・ミックスをPA卓へ、ボーカルが大きめのミックスをステージ・モニターへ、リズム楽器のレベルを下げたミックスをヘッドフォンへ、PA卓へ送ったミックスと同じものをS/P DIFでデジタル・レコーディング機器へ出力するなど、状況に応じてバンド側でライブをコントロールすることも容易でしょう。これは現場で重宝しそうです!

驚くほどレンジが広く
クリアで透明感のある録り音


さて、ここからは肝心のサウンドに重点を置いてチェックしていきます。今回はAudio ExpressとAPPLE MacBook ProをFireWire接続、メイン出力を直接パワード・スピーカーにつないで検証してみました。まず、作業中のミックスを本機で再生してみると、中域から低域にかけてどっしりとしたレンジ感が非常に気持ちよく、むやみにエフェクトに頼らないミックスが行えそう。個人的に同社の2408MK3をかなり長い期間使用していたこともあり、今回の出音の印象と非常に近かったので、"しっかりと遺伝子が継承されているんだな"と勝手に感慨深くなってしまいました。次にプリアンプ部をチェックしてみましょう。まずは筆者が普段よく行うダイナミック・マイクを使用したアコギ録音。ナチュラルで透明感のある出力音がたまらなく気持ち良い! 録り音も無駄な色付けがなく、それでいてストローク時の中域の張り出し/ツヤ感や、クリアに伸びる高域がさらにアコギらしさを引き立ててくれる印象です。次に−20dB PADスイッチをオンにして、コンデンサー・マイクでの歌録りにチャレンジ。こちらも空気感が伝わる原音に忠実な音。共通して言えるのは、どちらの録音も驚くほどレンジが広く、同社のプリアンプの優秀さをあらためて実感しました。最後にリズム・マシンをMIDI接続し、DAWと同期しながらライン録音。こちらもレンジ感が申し分なく、しっかり芯のあるキックと上品なクラップが録音できました。音の入り口にここまで癖がないと安心しますし、プライベート・スタジオでは、本機のようなインターフェースこそが必要とされるのではないでしょうか。しかも、ミキサー機能内蔵でこの価格とは! MOTUの安定感はすごいです。 201107_Audio-Express_rear.jpg▲リア・パネル。左よりMIDI IN/OUT、S/P DIF入出力(コアキシャル)、FireWire端子、USB端子、メイン出力L/R(TRSフォーン)、フット・スイッチ用端子(フォーン)、ライン出力L/R(TRSフォーン)、ライン入力L/R(TRSフォーン)、マイク/インスト入力L/R(XLR/TRSフォーン・コンボ) 
MOTU
Audio Express
オープン・プライス (市場予想価格/55,000円前後)
▪外形寸法/241.3(W)×44.5(H)×177.8(D)mm▪重量/1,045g

▪Windows/Windows 7もしくはVista SP2以上、INTEL Pentium 4 1GHz以上のCPU、1GB以上のRAM(2GB以上を推奨)▪Mac/Mac OS X 10.5.8以上(Snow Leopar d対応)、PowerPC G4 1GHz以上のCPU、1GB以上のRAM(2GB以上を推奨)