リアルタイム・サンプラー機能など曲制作にも活用できるDJソフト

IMAGE-LINEDeckadance
音質の高さと拡張性に富んだ独自ユーザー・インターフェースを持つダンス・ミュージック制作ツール

IMAGE-LINE Deckadance 26,250円FL Studioの開発元としても知られるIMAGE-LINEからWindows/Mac対応のDJソフト、Deckadanceが日本に登場しました。音質の高さはもちろん拡張性に富んだ独自ユーザー・インターフェースを持つこの製品は、ただのDJソフトに留まらないダンス・ミュージック制作ツール。ヨーロッパでは既に発売されて人気を誇っているそうで、そういえばココ日本でも最近はパソコンを"本格的に" 導入しているプロのDJも本当に多い気がします。

Wii Remoteでも操作可能 タイムコード・レコードにも対応


オモシロいことに自分が実際に現場で巡り会った中(狭い範囲での調査)での統計では、意外とテクノなどのDJの方はアナログ盤にこだわっている方が多い感じで、逆にヒップホップ系のDJの方がRANE Serato Scratch Liveなどを積極的に導入しているように思います。なんか不思議に感じるのは自分だけ? 確かにDJソフトの先駆けであるSTANTON FinalScratchやNATIVE INSTRUMENTS Traktorといったソフトは、テクノなアーティストも早くからその最先端技術を取り入れダンス・フロアを驚かせてくれていました。僕もトライしたことがありましたが、小心者の自分としてはとてもじゃないけど前のDJがプレイしている最中に"ちょっとすんませーん"といって結線する勇気がないのであきらめました。しかし、聞けばヒップホップをメインにしているクラブではコンピューターが常設(!!)されているところも珍しくないんだとか。さて、DeckadanceはDJソフトの肝であろうフィジカル・コントローラーの対応も親切でアサイン作業不要。まぁ思いつく大体のメーカー(はおろかWii Remoteコントローラーまで!)を"あらかじめ"カバーしています。その一部はWebサイトに対応リストがあります。さらに、海外のDJ-TECHというメーカーからは、Deckadanceが付属したマウスまで発売されているようです。また、Serato Scratch LiveやFinalScratchなどのタイムコード・レコード/CDにも対応しています。

AUTOMIX機能が新鮮 即興性あふれるRELOOPER


Deckadanceは、画面上部に2つのデッキとミキサーがあり、下部はブラウザーやサンプラーなど機能によって表示が切り替わります。DJソフトの特徴でもあるテンポの自動検出&シンク機能は高性能で、画面中央のPEAKSCOPEディスプレイでは上半分にDeck A、下半分にDeck Bの波形が表示され、波形のピークが四角い印で表されます。これにより手動でのビート調整を視覚的にも確認できます。このような基本的な機能の精度の高さはもちろん、やはり特筆すべき点はクリエイティブな"おまけ"機能でしょう。エフェクトはEQ、フィルター、フェイザー、エコー、ビット・クラッシャーなど、またサンプラーは8トラック(バンク)が装備されています。こうした機能はDJソフトで一般的になりつつありますが、ウケたのがAUTOMIX機能です。自身でチョイスしたプレイリスト内を自動でDJしてくれる機能なんですが、"オート"って本末転倒じゃん!と思いきや試せば納得。APPLE iTunesのシャッフルばりに新鮮です。15~90秒を8段階でクロスフェード・ポイントを設定できるきめの細かさもウケます。ファミコンのコンピューター対コンピューターの意味がちょっとだけ理解できた気がします。そして!RELOOPER。いわゆるリアルタイム・サンプラー機能で、サンプルのスライスおよび再配置をランダムに行ってくれます。こいつがかなりキテます。さすがDAWソフトを開発してるメーカーなだけに、そのランダムなキテレツ即興性はキープしつつ、インターフェースにマトリクスを採用することにより、"ここで連打が欲しい"といったポイントを視覚的かつ任意に設定(手直しが)できます。偶発性の勢いと、狙った計算を併せ持つスバラシカ!機能ではないでしょうか。設定したパターンは3つストックできるので制作でも活躍してくれそうです。さらに、恐ろしい?コトにDeckadanceはDAWなどでVSTプラグインとしても使えるんです。その上、Deckadance自身も8個のVST/VSTiを読み込めるんです。すごい。今後はDMXに対応し照明のコントロールもできるようになるんだとか。どこまでDJにやらす気?ソレより先に個人的な要望としてはWAV/MP3/OGG以外に、AIFFやAACにも対応してくれるとうれしいんですけど~。Decakdanceの特徴は、DJソフトとしての基本セオリーを押さえつつ独自の遊び心とクオリティを兼ね備えているところでしょう。メーカーのうたい文句は"お気に入りの曲で手軽にDJ" ですが、付加価値がクリエイティブすぎる!!パッケージのキャラクター・イラストにだまされるな!(『サウンド&レコーディング・マガジン』2009年12月号より)
IMAGE-LINE
Deckadance
26,250円
▪Windows/Windows 2000/XP/Vista、INTEL Pentium II(I または同等のCPU)もしくはAMD Athlon XP、メモリー512MB、ハード・ディスク空き容量200MB以上、水平解像度1,024ピクセル以上のディスプレイ、DirectSoundまたはASIO準拠のオーディオI/O▪Mac/Mac OS X 10.4以降、INTEL MacまたはPowerPC G4 1.25GHz以上、メモリー512MB、水平解像度1,024ピクセル以上のディスプレイ、CoreAudio対応オーディオI/O