VESTAXTank VAI-80
ドライバー上での設定を極力省くことで現場でのトラブルも未然に防止
VESTAX Tank VAI-80 オープン・プライス(市場予想価格25,000円前後) これ、何に見えます? 今週のビックリドッキリメカ? やわらか戦車? スーパー戦隊の超合金合体メカ? 何とも不思議なデザインで、かわいらしい。でもこれは一体なんなのでしょうか? 実はこれ、オーディオI/Oなんです。
ドライバーでの複雑な設定は不要 2バンドEQで大胆な音作りも可能
Tank VAI-80は4ch入出力(ステレオ・ペア×2)、16ビット/44.1kHz対応のオーディオI/O。USB 1.1接続で、Windowsでは付属の"ASIO4ALL"という汎用ASIOドライバーを使用します。これはバッファー・サイズの変更のみできる超シンプルなモノ。Macではドライバーのインストールさえ不要です。これは、本機のコンセプトの一つでもあり、ドライバー上での設定を極力廃し、起動時にボリューム設定が変わるなどのトラブルを解消することで、クラブなどの現場での使用に特化しようという意図です。筆者も現場で音が出ず、結構あわてた経験があるので、このシンプルさは歓迎できます。両サイドには、インプット・ボリュームと2バンドEQ、アウトプット・ボリュームが搭載され、左側がch1/2、右側がch3/4に割り当てられています。ねじってボリューム・コントロールするのはまた不思議な感触です。EQは2バンドのみですが、ガバっと効かせると意外と面白いし、HI/LOWの組み合わせでフィルターのようにもなります。またヘッドフォン・アウトのソースは、ch1/2またはch3/4の信号(ポストフェーダー)を右パネルのスイッチで選択可能。ボリューム・ノブもちゃんとあるので、DJミックスするときのCUEモニターなどに重宝します。ちなみに本機+DJソフトを使ったDJプレイをする場合、2通りの接続方法があります。まず、DJソフトのメイン出力を本機のいずれかの出力に、そしてDJソフトのCUE出力を本機の残った出力にアサインし、DJソフト上のミキサーでミックスする方法。もう一つは、DJソフトの各デッキ出力を本機の各出力にアサインし、外部DJミキサーでミックスする方法です。いずれの場合も、各チャンネルの音量&EQ処理が本機自体でも操作できます。
高域が伸び低域も十分の音質 ヘッド・ルームに余裕を持たせた設計
肝心の出音もナカナカのモノで、XLR端子(ch1/2)はもちろん、RCAピン端子からの出力でも意外とハイが伸びるし、低音も十分表現されています。この価格帯のオーディオI/Oとしては合格でしょう。なお、本機はバス・パワー対応ですが、別売りのACアダプターでの駆動なら、さらに安定した動作とパンチのある出力が期待できます。
さらに入力側をチェックしますと、4ch分のライン入力とch1のマイク/楽器入力が装備されており、これもドライバーに極力依存しない設計です。入力レベルを本体上のノブで調整することができ、後はDAWソフト上でパッチすれば即録音可能です。しかも、本体上では、入力経路と出力経路は別系統になっているのでフィードバックは起こらない設計となってます。また各チャンネルにLEDレベル・メーターがあり、これも左側面のスイッチで入力/出力を変更できます。ちなみにヘッド・ルームは十分あるようで、メーター上のフル・レベルで入力/出力してもOKでした。
最後に、どうしてこんなデザインなのかをいろいろ考えてみました。多分、1970年代のスーパーカーのデザインが自由奔放であるのに対し、空力を追求した結果どれも似たようなデザインになってしまった現代のスーパーカーに勝るように、機能美だけを追求した無骨な製品へのアンチテーゼなのでしょう。何ともキュートで、机上のインテリアとしてもいいカンジ。本体の柄などを変えれば、女性にも受け入れられるのではないでしょうか? マリメッコ風の花柄や、オタク向きには萌えキャラ全開の痛車風、もちろん"戦車"なので、迷彩柄なんてあったらサイコーですね。(サウンド&レコーディング・マガジン2009年7月号より)
VESTAX
Tank VAI-80
オープン・プライス(市場予想価格25,000円前後)
■EQ/LOW:70Hz、HI:15kHz、±16dB
■インターフェース/USB 1.1
■AD/DA変換/16ビット
■入力インピーダンス/LINE:100kΩ、Hi-Z:1MΩ
■外形寸法/121(W)×47(H)×140(D)mm
■重量/600g
■Windows/Windows XP(SP2以降)、Vista ■Mac/Mac OS X 10.2以降