パソコンを使った自宅での録音や制作が、初心者でも手軽にできるようになって久しい昨今ですが、そんな初心者の方へお薦めしたいのが今回紹介するUSBオーディオI/O、YAMAHA Audiogram 6です。早速使ってみましょう！
端子や操作子がトップ・パネルに集中
素早いセッティングを実現
本機は16ビット／44.1kHzに対応する、２イン／２アウトのUSBオーディオ・インターフェースです。ユニークなのは、モノラル2ch＋ステレオ２系統の入力端子が装備されており、これらを2chにまとめてコンピューターへ出力するというミキサー的仕様になっている点です。コンピューターとはUSB 1.1で接続し、電源もUSBバス・パワーで供給されます。コンパクトなので、ノート・パソコンと本機でのモバイル・レコーディングも十分可能です。つまみや端子はトップ・パネルに配置され、リア・パネルにはUSB端子のみ。ミキサーを使い慣れている方はもちろん、初心者の方でも触っているうちにすぐ使いこなせるでしょう。中でも特徴的なのはch1/2に装備されたCOMPつまみですが、これは後ほど詳しく触れます。まず入力端子の詳細ですが、ch1/2はXLR/TRSフォーンのコンボ・ジャックとなっており、マイク入力が可能。ch1はファンタム電源を供給できるので、コンデンサー・マイクでの録音も行えます。また、ch1/2ともMIC/INSTスイッチで切り替えることでHi-Z入力に対応し、エレキギターも直接つなげます。しかも、MONO/STEREOスイッチを使えば、ch1/2をステレオ・チャンネルとして使用することが可能で、本機をステレオ３系統仕様として活用できます。例えばch1/2にそれぞれマイクを接続し、ステレオでのライブ録音やフィールド・レコーディングが行えるわけです。さらに、ch3/4と5/6はライン入力用（TRSフォーン）のステレオ・チャンネルとなっています。出力端子は、コンピューターからの音声とダイレクト・モニター音をミックスして出力するSTEREO OUT（TRSフォーン）とヘッドフォン端子のみ。コンピューターからの音量をDAWつまみで、全体の音量をMASTER LEVELつまみで設定します。これは録音時などに便利な仕様です。例えば、DAWのバック・トラックを聴きながらギターを録音する際、“ギターの音量はちょうどいいけどバック・トラックの音量が大きすぎる！”なんてことがありますが、この場合はDAWつまみでバック・トラックの音量のみを下げることが可能です。また、DAWつまみの音量を下げて、本機を6chミキサーとして利用することも考えられるでしょう。
購入したその日から手軽に録音
コンプの音質も良好
本機にはDAWソフトのSTEINBERG Cubase AI4も付属しており、スペックを満たすパソコンさえあれば、本機を購入したその日から本格的な音楽制作ができます。せっかくなので、今回はコンデンサー・マイクを使ってCubase AI4にアコギを録音してみます。マイクをch1へ接続し、ファンタム電源スイッチをオン。チャンネル最上段のGAINつまみを、最大入力時にPEAKインジケーターが一瞬点灯する程度に調節すればOK。このまま録音を開始してもいいのですが、本機の目玉は冒頭でも触れたコンプです。しかも操作するつまみは１つだけという“１ノブ・コンプレッサー”なのです！ 通常のコンプは設定が難しく、初心者には何かと敷居の高いものですが、本機のコンプはCOMPつまみを操作するだけでレベルが整うスグレもの！ これを使わない手はありません。ということで、先ほどの入力レベルはコンプによって変化するので再度調整し、最後にチャンネル最下段のLEVELつまみで出力レベルを調整、いよいよ録音開始！肝心の音質は、マイクプリ部で強引にゲインを稼いだにもかかわらず、ノイズも少ないナチュラルなサウンド。ローもしっかり出ているので、録音後に“低域が足りない！”なんてことも無さそうです。そして、コンプも驚くほど優秀です！ 指弾きのアルペジオやピックのストロークなどさまざまな奏法を試しましたが、どれも自然なニュアンスで音量が整い、嫌なコンプ感も皆無でした。本機は簡単にしっかりとした音質での録音が行え、かつ簡易ミキサーとしても使えるという印象を持ちました。とりあえずDAWで録音をしてみたいという方にお薦めです。筆者は１ノブ・コンプ機としても本気で欲しくなりました！
SPECIFICATIONS
■量子化分解能／16ビット
■サンプリング・レート／44.1kHz
■外形寸法／170（Ｗ）×50（H）×192（D）mm
■重量／758g
REQUIREMENTS
■Windows／Windows Vista/XP Home/XP Professional、USB端子、512MB以上のRAM（Vistaは1GB以上）、INTEL Core/Pentium/Celeronシリーズ750MHz以上のCPU（Vistaは1GHz以上）
■Mac／Mac OS X 10.3.3以上、USB端子、128MB以上のRAM、INTELまたはPower PC G3 300MHz以上のCPU
