使いやすい操作子と豊富な入出力を備えるモニター・コントローラー

PRESONUSMonitor Station

最近のDAW環境の宅録現場では、予算の関係やDAWの性能アップにより多チャンネルのミキサーを使用せず、DAW内でミックスをしてステレオ・アウトだけをモニターして作業するのが主流になっています。そのため、DAWのステレオ・アウトやCD/レコードなどの入力切り替え、複数のモニター・スピーカーを切り替えて聴く機器が必要となり、モニターのレベル管理をしやすいコントローラーが求められるようになってきました。そこで今回は多機能なモニター・コントローラーMonitor Stationのレポートです。

3組のスピーカーまで接続可能
入力もステレオ3系統を用意


まず、入力はST1/ST2/Auxのステレオ3系統(TRSフォーン×2系統、RCAピン×1系統)が用意されており、 レベル・コントロール付きのAuxはフォノ入力にも対応しています。出力は、スピーカー出力がステレオ3系統を装備しており、ほかにもマスター・レコーダー入力用のMain出力1系統や外部ヘッドフォン・システム入力用のCue出力1系統、さらにヘッドフォン出力4系統を搭載しています(すべてTRSフォーン)。スピーカーの選択モードには、全スピーカーを同時に使用できる"コンボ"、1組のスピーカーのみを選択可能な"トグル"、スピーカーA/Bを切り替えできスピーカーCは常時選択できる"トグルA/B"を用意。コンボは3組のスピーカーが別の部屋(コントロール・ルーム、ブース、ロビー)にある場合、トグルは1つの部屋で3組のスピーカーを切り替えて聴く場合、トグルA/Bは2組のスピーカーをコントロール・ルームで切り替えながら、もう1組をブースで使う場合に便利でしょう。スピーカー出力はMain出力と同じソースが出力されます。本体中央のボタンで選択できるMain/Cue出力ソースはすべてのソースを同時に選択できる"サム"と、一つの入力ソースのみが選択できる"トグル"の選択モードがあり、サムのときはST1にDAWの出力、ST2にシンセなどを接続し、同時に聴きながら録音できます。また、トグルではST1にDAWの出力、ST2にCDプレーヤーなどをつないで切り替えて聴くときに便利です。スピーカー出力のレベルは本体中央下のMainレベルつまみで一括に調整でき、各スピーカー出力に設けられているレベルつまみでさらに細かく調整できます。一方、Cue出力の場合は本体右側のCueレベルつまみで調整します。また、ヘッドフォン出力のソースはMain出力かCue出力から選択でき、各出力のレベル調整も可能です。

ハイファイ指向の音質で
スピーカーの特徴も分かりやすい


本機はデスク上に置くにはちょうど良いサイズで、金属製ボディは表面がシルバー、つまみが同社独特のブルーと高級感があります。また、本体は適度な重量があり、非常に置き心地が良いです。スイッチはマットな仕上がりで、さらに自照式なので分かりやすく便利です。また、つまみ類は適度な重さのトルク感で、一度位置を決めたら動きづらくなっており、使いやすくできています。特にMainレベルつまみは大きさと回すときのトルク感が非常に良く、今まで使用したコントローラーの中では本機が一番ではないでしょうか。トップ・パネルにはほかにもメーター感度が調節可能な8段LEDメーター、ミュート・ボタン、モノ・ボタン、レベル調整可能なDimボタン、レベル・コントロールつきトークバック・ボタン(外部マイクも使用可能)などを備えています。トークバック・ボタンは、一度押してオン、もう一度押してオフになるので、押している間のみオンになる機種に使い慣れている人は注意が必要です。一方、スピーカー出力の音質は高域が軽やかに伸びており同社の他製品と共通のサウンド・カラーで、ロックやR&B系のパンチ感より、ジャズ、フュージョン系のハイファイ指向の音質です。使用するケーブルやスピーカーの特徴が素直に出る製品だと思います。また、ヘッドフォン出力の音質は、SONY MDR-CD900STで聴いたところ、スピーカー出力と同じ印象で、パワーも十分にあるので、作業しやすいでしょう。本機はMain/Cueのソースを別々に選択し、それらを4ch入力可能な外部のCueシステムに出力すればヘッドフォンに楽器の単独返しも可能になります。もう1つ、トグルA/Bモードにおいて、A/Bで2組のスピーカーを切り替え、Cでサブウーハーをコントロールすれば、1台のサブウーファーで2組のスピーカーに対応できるでしょう。ほかにも工夫次第でいろんな使い方があるはずなので、いろいろ試して経験を積んで音量感を養ってみてください。

▲リア・パネル。左より電源スイッチ、Main出力、Cue出力、スピーカー出力A/B/C(すべてTRSフォーン)、Aux入力(RCAピン)、ST1/ST2入力(TRSフォーン)、トークバック用マイク入力(XLR)

PRESONUS
Monitor Station
オープン・プライス(市場予想価格/45,000円前後)

SPECIFICATIONS

▪周波数特性/入力時:10Hz〜65kHz(ST1/ST2@-0.5dB)、10Hz〜50kHz(Aux@-0.5dB)、出力時:10Hz〜50kHz(Main/Cue@-0.5dB)、10Hz〜50kHz(ヘッドフォン@+1dB)
▪外形寸法/204(W)×70(H)×205(D)mm
▪重量/1.8kg