DJソフトに特化した非常にコンパクトなコントローラーであるVCM-100(以下、VCM)は、4イン/4アウトのオーディオ・インターフェース機能も用意されたモデルです。僕は普段のDJで以前の同社初のDJ用コントローラーであるVCI-100(以下、VCI)を使っており、両モデルの違いを含めてチェックしていきます。
高品位なロータリー・フェーダーを含む
シンプルなDJプレイのための操作子
まずは仕様から。VCMの特筆すべきポイントは2点。コンパクトであること、そしてオーディオ・インターフェース機能の搭載です。VCMには3バンドEQ、パン、入力ゲイン調整、マスター/モニター出力調整、モニター・セレクトなどシンプルなDJプレイをするための操作子を厳選して用意。スペースの関係上、VCIにあるディスク・プラッターとエフェクト用の操作子はありません。この辺りは男の魂を揺さぶるところで(笑)、実に直球勝負なモデルです。男の魂と言えばロータリー・フェーダーの採用も見逃せません。しかも使用パーツは同社の最高級DJミキサー、R-3と同じものとのこと。トルク感も見事で、ハウスDJも高いモチベーションでプレイできそうです。あと、これは気付きにくい部分ですが、ピッチを調整する縦フェーダーがVCIよりも少し長くなっています。この細部の違いが実は大きな差で、あくまでハードウェアと同じ感覚でソフトを操りたいという方にはうれしいポイントです。例えば、あえてDJソフトのシンク機能を使わずにミックスしたいといった向きにはトピックでしょう。
CoreAudio/ASIOドライバーに対応し
操作感にすぐれた操作子を搭載
では実際に試していきます。僕のチェック環境はコンピューターがMacで、USB接続するだけでVCMが認識されます(CoreAudio対応)。また、ASIO 2.0ドライバーにも対応しており、もちろんWindows環境でも使用可能(MME/WDM使用時は2イン/2アウトで認識されるとのこと)。NATIVE INSTRUMENTS TraktorがインストールされたAPPLE MacBook ProとVCMを組合せてDJプレイをしてみると、音質面もしっかりしていることが分かります。筆者がVCIの導入を決めた大きなポイントであるツマミやフェーダーなどの操作感は、まさにそのまま。これはコントローラーとして肝となる部分で、この“感覚”こそが現場で使う気にさせるところです。また、VCMはUSBバスパワーに対応しているので目の前のスッキリしたセットアップにうっとりしてしまいます(専用電源アダプターはオプション)。VCMのリア・パネルにはVCIには無かったMODE切り替えスイッチが用意されています。Traktorを使用する場合はA、一般的なMIDIコントローラーとして使用する場合はBを使います(Cは現状で未使用)。あと、Traktor以外で使用する場合は同社Webサイトから各DJソフトに対応したテンプレートを入手する方法に加え、MIDI LEARN機能に対応したDJソフトであればVCMであらかじめセットされているMIDIコントロール・ナンバーをDJソフト側で設定していくという2パターンがあります。最後の紹介になってしまいましたが、VCMにはTraktor LEが同梱されており、DJソフトを持っていないという方でもコンピューターさえあればすぐDJを始められます。Traktor LEやTraktorで使う方はもちろん、ほかのDJソフトを使っている人でもVCMを導入すればプレイヤビリティや省スペース化などで多くのアドバンテージがあるはずです。特にエフェクトはDJミキサーで、という方はぜひ実機を触ってみてください。気付くとソフトをいじっている感覚が無くなりますよ。
REQUIREMENTS
▪Windows/Windows XP SP2以降、INTEL Pentium3 500MHz以上のCPU、256MB以上のRAM、USB端子
▪Mac/Mac OS X 10.4.7以降、G3 600MHzまたはG4 667MHz以降、256MB以上のRAM、USB端子
SPECIFICATIONS
▪サンプリング周波数/44.1/48kHz
▪ADコンバーター/18ビット
▪DAコンバーター/20ビット
▪外形寸法/350(W)×40(H)×126(D)mm
▪重量/1.8kg