多彩なDJプレイが可能なUSBメディア・プレーヤー&コントローラー

DENONDN-HS5500

DN-HS5500はダイレクト・ドライブのターンテーブル型コントローラーを搭載したMP3/WAVプレーヤーで、ハード・ディスクやUSBメモリー、携帯プレーヤーなど、USB接続の外部機器に保存された楽曲データをDJプレイできるというものだ。早速、紹介していこう。

1台で2曲を同時再生する
データ/メディア・ターンテーブル


本機の最大の特長は2系統のオーディオ出力を持つデュアル・デッキのような動作。トップ・パネル左上のLAYERボタンを押すだけでDeck1/2を切り替えて本機1台で2曲を同時に再生できるため、DJミキサーに接続すれば即座に省スペースのDJセットが構築できる。サウンドは同社のフラッグシップであるCDターンテーブルDN-S3500と同等の高品位なものだ。さらに、コンピューターとUSB接続してMIDI機能を搭載したDJソフトなどのコントローラーとしてや、出力のみのオーディオ・インターフェースとしても使用可能。定評のあるエフェクト機能も搭載し、DJにとって全く新しい概念のモデルと言える。最近の“データDJ”という呼称にならえばデータ・ターンテーブル、あるいはメディア・ターンテーブルと呼ぶのだろうか。いずれにせよ、真のターンテーブルの反応を実現するプラッターの搭載によってアナログやCDからデータに移行する人も違和感なくサポートするだろう。

多彩な機能を満載し
現場だけでなく自宅でも活用可能


多彩な機能の中からポイントとなる部分を紹介していこう。まずUSBメモリー内のファイルを再生してみることにした。この際、USBメモリーはMS-DOSにフォーマットされている必要がある。なお、Windowsユーザーは付属のデータ・ベース作成用ソフト、DENON DJ Music Managerを活用すれば、本機を使ってArtist/Album/Title/Genreなどでの検索も可能になる。USBメモリーを挿入して十数秒後、USBメモリー内のMP3ファイルが読み込まれ、ディスプレイにメニューが表示される。ここでトラックを選択し、再生するという通常のDJプレイとなるわけだ。まず、最大の特徴である“1台でのDJミックス”に挑戦したい。これには何通りか方法があり、最も簡単な方法は“リレー再生”。これは、Deck1で再生している曲が終了すると自動的にDeck2の曲をプレイ・リスト通りに再生するものでクロスフェードの時間も0〜5秒の範囲で調整できる。リレー再生を手動で操作したい場合は“ネクストファイルモード”を使う。再生中に次曲を指定し、任意のタイミングで再生すればクロスフェードでつないでくれるのだ。続いてDeck1/2をそれぞれライン出力し、DJミキサーを組み合わせた本格的なDJミックスを試してみよう。1台で2曲をプレイすることに最初は違和感を感じつつ、Deck1で再生、Deck1の曲をモニターしながらDeck2の曲を指定してピッチ合わせをするという通常のDJのノーマルな操作ができることに軽い感動を覚える。ディスプレイ上はDeck1/2の操作を混同しないよう片方のDeckだけを表示するFull画面と両Deckを表示するDual画面が選択可能。Full画面の場合は再生中のDeckを選択するとターンテーブルが回るので、視覚的にも大変分かりやすい(回転させない設定も可能)。それから“Mirror Mix”という面白いエフェクト機能がある。これはDeck1と、Deck1を指定時間分(1/8、1/4、3/4、1/2、1/1、2/1@BPM)遅らせたトラックをDeck2で再生し、これら交互に鳴らしながらDJミックスしていくというもの。延々とディレイをかけながら再生される、まさに鏡のような効果。例えば、ミニマルな曲やノンビートのトラックなどに使えば全く別の曲が生まれそうだ。そのほか、複雑な設定もできるループ機能やFLANGER、FILTERなどのエフェクト機能に加え、スクラッチやプラッター・エフェクトにも対応、各種プレイリストの設定、本機を2台同期させてのプレイなど、多彩な機能が満載だ。現場のみならず、自宅でも新たな気持ちで活用できるだろう。またオプションとして本体内にマウントできるハード・ディスク・ドライブやCD-ROMドライブなどもリリースが予定されており、拡張性も高い。20080401-07-002

▲リア・パネル。左からUSB接続端子×2(A端子、B端子)、D-SYNC.端子(RJ45クロス・ケーブルを使用)、ライン出力×ステレオ2系統(S/P DIFコアキシャル、RCAピン)、FADERリンク端子×2、電源スイッチ

DENON
DN-HS5500
オープン・プライス(市場予想価格/99,800円前後)

SPECIFICATIONS

▪対応デバイス/MS-DOSフォーマットのUSBハード・ディスク・ドライブ、USBメモリー、APPLE iPod(Windowsマシンで使用のもの)、Jump Drive
▪対応ファイル・フォーマット/WAV、MP3
▪量子化ビット数/24ビット
▪サンプリング周波数/44.1kHz
▪周波数特性/20Hz〜22kHz
▪コントローラー/Mac OS X 10.4以降、Windows XP SP2/Vista
▪USBオーディオ・インターフェース/2アウト(ASIO、CoreAudio対応)
▪外形寸法/300(W)×120(H)×330(D)mm(足部含まず)
▪重量/6.8kg