MPK49はUSB接続のMIDIコントローラーです。AKAI PROFESSIONALの代名詞とも言えるパッドを搭載し、同ブランドとしては久しぶりの鍵盤もお目見え。その詳細を見ていきましょう。
鍵盤の感触の良さはピカイチ
パッドは指に吸い付くような感覚
本機には、49鍵仕様の標準鍵盤と同ブランドMPCシリーズ伝統のパッドを12個、それにピッチ・ベンド／モジュレーション・ホイール、８基のノブとスライダー、さらにスイッチなど合計24基のアサイナブルなコントローラーが搭載されています。さらに、MMC対応のトランスポート・ボタンも装備。これらを駆使するための各種ソフト用プリセットも内蔵されていて、本機付属のABLETON Live Lite"Akai Professional Edition"用をはじめ、STEINBERG Cubase、CAKEWALK SonarといったDAW用から、FXPANSION BFD、SPECTRASONICS Atmosphereなどのソフト音源用など16種類が備えられています。それでは各コントローラーの操作感をレポートしてみたいと思います。本機は本当に久しぶりの鍵盤搭載製品。正直、あまり鍵盤というイメージが無いブランドだけに不安に思うところはありました。が、実物を触ってみてビックリ！ 数ある同種製品の中でも、感触の良さはピカイチです。筆者はピアノ経験者で割と鍵盤にかける圧力が強いのですが、それでも打鍵の際にしっかりと指に返ってくる感触は、各社のフラッグシップ・シンセをほうふつさせます。パッドはMPCよりもしっとりとした印象。どちらかというとSEQUENTIALの名機Studio 440に近い、指に吸いつくような感覚です。一方、ノブやスライダーはMPCに近く、高級感のある触り心地。この手の製品にありがちな"小さなノブが狭い間隔で並ぶ"ということもなく、非常にいじりやすい形状です。個人的に一番しっくりきたのがモジュレーション／ピッチ・ベンド・ホイール。重量感のある手触りは非常に触り心地が良く、演奏中つい無駄に音を揺らしてしまいました。
ライブにも有効なアルペジエイター
MPC譲りのノートリピート機能も搭載
では、機能面を見てみましょう。USBバスパワーの本機は、コンピューターに接続するだけで使用でき、面倒な設定は必要ありません。付属の専用エディター・ソフトで詳細なパラメーター設定も可能ですが、本体上でも簡単に行えます。本機の特徴で、個人的にも非常にうれしかったのがアルペジエイター機能。MIDIコントローラーに搭載されているケースはなかなか珍しいのではないでしょうか。アップ／ダウン／ランダムなど６つのモードが用意され、演奏されたノートはMIDIデータとしてシーケンサーにすぐ記録できます。そこからアレンジするだけで思いもよらないフレーズが生成できたりしてとても面白いです。また、スライダーの下に並んだ８個のTIME DIVISIONボタンで音符設定を変更でき、リアルタイムに演奏をコントロールしていくことも可能。シーケンサーのテンポと同期してゲート・タイムを変えていけばライブにも有効です。さらに、パッド部にはMPCユーザーおなじみのノートリピート機能が搭載されています。これはパッドを押さえている間、連続して発音させる機能。タイミングはTIME DIVISIONボタンで変更でき、ソフト音源などでは、今までになかった使い方も生まれるのではないでしょうか。なお、本機は鍵盤の機構や多彩な機能が搭載されているためか、比較的重量があります。ライブなどでの使用を考えている方は、楽器店で重量を確認してみることをお薦めします（その際はお店のスタッフに一声かけてくださいね）。本機には現状で可能と思われるMIDIコントロール機能が"これでもか！"と詰め込まれ、さながらMIDIコントローラーの決定版といった印象。一度、店頭で試されてはいかがでしょうか。
▲リア・パネルの接続端子類。左からDC IN（DCアダプターは別売）、USB端子、MIDI OUT/IN、サステイン・ペダル端子、エクスプレッション・ペダル端子
SPECIFICATIONS
▪鍵盤数／49（セミウェイト、ベロシティ／アフタータッチ対応）
▪ドラム・パッド数／12（４バンク）
▪コントローラー／フェーダー×８（３バンク）、ノブ×８（３バンク）、スイッチ×８（３バンク）、モジュレーション・ホイール、ピッチ・ベンド・ホイール、トランスポート（REW/FF/STOP/PLAY/REC）
▪外形寸法／730（W）×300（H）×100（D）mm
▪重量／5.8kg
