アコースティック・ギターに特化した専用マイクプリ付属の小型マイク

AMTS15G-Studio

AMT(APPLIED MICROPHONE TECHNOLOGY)からアコースティック・ギター用マイク、S15G-StudioとS15G(オープン・プライス:市場予想価格/105,000円前後)が発売されました。前者はスタジオ用、後者はPA用とのことで付属マイクプリが異なるシリーズ製品。今回はS15G-Studioをチェックしていきます。同社からはこのほかにも管楽器用やベース用といったマイクが発表されていますが、S15G-Studioはどのようにアプライド(応用/適用)された製品なのでしょうか。それにしてもポリシーが伝わってくる社名ですね。

航空機用アルミ素材を採用した
耐久性の高いグースネック・アーム


まず仕様ですが、見ての通り直径10mmほどの小型コンデンサー・マイク・ユニットが、リング状の支持体(金属製)に細いゴムにより4点でつるされ、その支持体は自在に曲がるグースネック・アームに固定されています。使用する際にはグースネック・アームのホルダー部でギターのボディをつかむように固定し、アコギ録りの定番とも言えるハイポジションのネック上や、サウンド・ホールの真上にマイクをアレンジできるという仕組みです。取り付け可能なギター・ボディの厚みは、76.2〜149mmと十分な範囲。また、グースネック・アーム部は、航空機用のアルミ素材で作られており耐久性が高いようです。アームの中を通るケーブル保護の面からも好ましいでしょう。このタイプのマイクの弱点を一つ克服しています。また冒頭でも少し触れた通り、S15G-Studioは付属のマイクプリAP40と併せて使用します。このAP40は本当にシンプル。グラウンド切り替えスイッチが付いているのみで、EQやフィルター・スイッチなどは一切付いていません。余分な機能を付けず、その分ダイナミック・レンジを広く取った設計は好感が持てます。ちなみにPA用のS15Gは、付属するマイクプリが小型なベルトパック・タイプのBP42になりますが、マイクの仕様は全く同じです。そのほか全体的な印象としてはアメリカ製の良いタフさを感じる作りになっています。カプセル部のボディは真ちゅうの削り出しで作られており、不要な振動を防止するゴムが取り付けられたリングの支持体部分や、マイクプリのAP40もちょっと踏みつけてしまったくらいではビクともしないように見えます。

プレイヤーの耳に聴こえる音を
自然にとらえる特性と感度


さて実際に試してみたところ、一般的な単一指向のモデルよりも指向性がやや鋭いように感じました。筆者がよく使用しているダイナミック・マイクよりも横からの音の影響を受けません。また、感度も8dBくらい高いです。本機のような取り付け方をするのであれば距離はややオフ気味になります。それを考えると、高過ぎず低過ぎず扱いやすい感度だと言えるでしょう。音色は演奏者にとって自然に聴こえる音。10〜20kHzにかけて10dBほどロール・オフしたような特性になっています。恐らくマイクプリ部でそのような特性を実現しているのではないかと思いますが、それにより演奏者が自身で弾いているときに聴こえる音色に近い音で収音できます。一般に演奏者が聴いている音は、マイキングしてある部分よりも高域成分が少なく聴こえることが多いのです。本機の特性はその辺りを考慮したものでしょう。この手の製品の多くはプレイヤー自身が購入して使用する場合が多いことを考えると、聴こえる音を素直に録音できる適切な特性だと思いました。一方、低域は80Hzまではフラットで、その後はわずかにロール・オフします。これもまさしくギターに合わせた特性でしょう。良い意味でのイージー&ナチュラルな音です。S15G-Studioは、エンジニアの視点でもプロ仕様なサウンドのマイクです。初めて使用しても戸惑わずに使えるでしょう。20070901-03-002

▲専用マイクプリのAP40。アナログ出力(XLR)と、その左がグラウンド切り替えスイッチ。マイクからグースネック・アームを通って伸びているケーブルをAP40に接続する


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▲マイク取り付け時の様子

AMT
S15G-Studio
オープン・プライス(市場予想価格/115,500円前後)

SPECIFICATIONS

■指向性/単一指向
■周波数特性/50Hz〜18kHz
■感度/−65dB〜+4dB
■インピーダンス/150Ω
■外形寸法/10(φ)×28(H)mm(マイク、リング部含まず)、75(W)×36(H)×117(D)mm(AP40)
■重量/49g(マイク)、368g(AP40)