【製品レビュー】24ビット/192kHz対応の高音質な4trポータブル・レコーダー

EDIROLR-4 Pro

2005年にリリースされたEDIROLの4トラック仕様のポータブル・レコーダーR-4。その上位モデルR-4 Proが登場しました。R-4 Proはタイム・コードの対応やAES/EBU入出力端子の装備など、プロの現場での使用を考慮した機能が幾つか追加されていて、フィールド・レコーディングにぴったりな仕様になっているようです。早速野外に出てテストをしてみたので、ここではその結果をリポートします。

24ビット/192kHzに対応し
内蔵ハード・ディスクは80GB


まずは入出力を見ていきましょう。R-4 Proには4系統のファンタム電源対応のアナログ入力(XLR)およびアナログ出力(RCAピン)、1系統のデジタル入出力(AES/EBU)が用意されています。また、R-4には無かったSMPTEタイム・コード端子(BNC)も装備。ビデオ・カメラとR-4 Proを同期させて、カメラで音声を録りながらR-4 Proでバックグラウンド・ノイズを録り、豊かな音場を演出するといった使い方も考えられます。ほかにも、デジタル入出力で2台のR-4 Proを接続すると、8chの同時録音を実現するのもトピックです。また、USB端子を2系統装備していて、1つはコンピューター(Windows/Mac対応)へのデータ転送用、もう1つはUSB対応外部記憶装置用になっています。後者はUSBメモリーなどにバックアップを取るときに便利そうです。主な仕様としては、トラック数は4、最高24ビット/192kHz対応(R-4は24ビット/96kHzまでの対応)で、内蔵ハード・ディスクの容量は80GB。内蔵ハード・ディスクの容量が大きく、24ビット/192kHzでも1trで約17時間録音可能です。記録フォーマットはタイム・コード情報を含むBWFなのもうれしいところ。なお、録音モードはモノラル1〜4、ステレオ×1、ステレオ×2、4trが用意されています。さらに、EQやコンプ、エンハンサー、MSマイク・ミキシングなどの6種類のエフェクトが用意されており、録音時のかけ録りや再生時に後からかけることが可能です。R-4 Proは単三電池×8本およびACアダプターで駆動するのに加え、左サイド・パネルの電源コネクター(4ピンXLR)に外部電源機器を接続可能。大容量のバッテリーを使えば長時間の使用を実現します。野外での長時間の使用を考えると大変うれしいですね。しかも、こんなに多機能にもかかわらず、重量は1.7kgしかありません。

至って簡単な操作で
リアルなサウンドを録音可能


では、R-4 Proを使ってフィールド・レコーディングしてみます。4ch同時収録が可能なので、4trモード&24ビット/96kHzで繁華街で街のざわめきや電車の通過音を狙ってみましょう。マイクはSENNHEISER MKH 418SとMKH 60、MKH 30を使用。XLR入力に接続してファンタム電源を供給します。フロント・パネルのSENSツマミで入力レベルを調整して、録音を開始。さらに同じ音をステレオ×1モード&24ビット/192kHzで録音してみます。録音が終わったところで、早速サウンド・ファイルをチェック。マイクプリは明るいサウンド・キャラクターが印象的です。ちなみに操作は至って簡単で、本体の液晶画面を見ながら、ENTER/FINDERスイッチとジョグ・ダイアルを操作すればファイルを呼び出すことができます。シンプルな操作性はR-4の流れを受け継いでいると言えるでしょう。しかも、サウンド・ファイルの不要な部分をカットしたり、2つ以上のファイルを結合するなどの編集機能も充実しており、これらの操作も簡単。使っていてストレスを感じることはありません。取り扱い説明書を読まなくても操作できるのは私だけではないと思います。では、収録した素材をスタジオに持ち帰り、USB経由でスタジオのコンピューターに転送してみましょう。何と1.8GB程度のデータを約2分で転送できました。転送速度はかなり速いと言えるでしょう。まずは4trモードで録ったデータをDAWで5.1chに分けて、バランスを整えて再生。チェックしてみると、臨場感あふれるサウンドで録れています。テレビ番組の収録に使うにはぜいたくで、少しオーバー・スペックかもしれない……とすら感じました。広い展示スペースなどで映像を発表する際、大型スピーカーで再生しても十分なクオリティだと思います。続いて、ステレオ×1モードで録音したファイルを確認してみると、さすが24ビット/192kHzということもあり滑らかな音で録れています。街を行き交う人々の足音の一つ一つの輪郭が聴きとれるほどリアルです。R-4 Proはプロ/アマ問わず、さらに野外からスタジオまで多目的に威力を発揮するレコーダーです。大容量のハード・ディスクを生かして、24ビット/192kHzのハイクオリティなサウンドを長時間収録できるので、現場でも安心して使用できると思います。R-4 ProはR-4に続き、人気機種になるのではないでしょうか。

▲左サイド・パネル。左からDC入力(4ピンXLR)、デジタル出力(AES/EBU)、デジタル入力(AES/EBU)、USB(ストレージ・コネクター)、タイム・コード出力(BNC)、タイム・コード入力(BNC)、USB、ヘッドフォン



▲右サイド・パネルには左からアナログ入力(XLR)×4、アナログ出力(RCAピン)×4が並ぶ。なお、トップにはスピーカーとマイクも内蔵

EDIROL
R-4 Pro
オープン・プライス(市場予想価格/198,000円前後)

SPECIFICATIONS

■トラック数/4tr
■記録メディア/ハード・ディスク・ドライブ(80GB)
■量子化ビット数/16/24ビット
■サンプリング周波数/44.1/48/88.2/96/192kHz
■周波数特性/20Hz〜40kHz(0〜−3dB)
■外形寸法/240(W)×77.1(H)×217.4(D)mm
■重量/1.7kg(電池含む)