サウンドの立体感の再現に優れたコンパクトなパワード2.1モニター

BLUE SKYMedia Desk 2.1 System

定評のある音響機器メーカーのマーケティング/回路設計者が中心となって設立されたBLUE SKYは、高解像度のデジタル・レコーディングに向けたモニター・スピーカーを製造しているメーカーです。同社のスピーカーはすべてサブウーファーを加えた2.1仕様になっており、今回紹介するMedia Desk 2.1 Systemも完全密閉型の2本のメイン・スピーカーと1本のサブウーファーで構成されたモニター・システムです。小スペースでの音楽制作やTV、フィルム、ポストプロダクションなどに最適化されたモデルで、パワー・アンプとベース・マネージメントを内蔵しており、簡単に2.1モニター環境を構築できるのです。別売のMedia Desk 5.1 Upgrade Kit(オープン・プライス/市場予想価格99,750円)で5.1chサラウンドにもアップグレード可能で、目の離せないシステムと言えるでしょう。

コンパクトでセッティングも容易な
2本のスピーカーとサブウーファー


まず、Media Desk 2.1 Systemが到着した際にビックリしたのは箱の重さ(笑)。しかも男1人で持てるかどうかの大きさです。ただし、箱から出して実際に本機を見た第一印象はイメージと比べて一回り小さく、“かわいらしい”という表現がよく似合うもの。早速、セッティングに取りかかったのですが、接続方法なども至って簡単です。作業としては外部音源からの出力をサブウーファーのリア・パネルにある入力端子(XLRもしくはRCAピン)に接続し、同じくサブウーファーのリア・パネルから付属のスピーカー・コードで2つのメイン・スピーカーと接続するだけです。メイン・スピーカーのセッティングに関しては説明書に“デスクトップ上で使用するために少し上向きにセッティングできるような設計になっている”と紹介されています。もちろん水平にセッティングすることも可能ですし、底面にはねじ穴があるので、マイク・スタンドを活用したり、別売りのウォールマウント・アダプターを使用することも可能です。今回のチェックでは、比較という意味でも筆者が普段から使い慣れているYAMAHA NS-10Mの横に並べてセッティングします。次にサブウーファーのセッティングですが、筆者のチェック環境では2本のメイン・スピーカーからちょっと離れた左下に設置します。本来であればセンターに置けるのがいいのですが、低域は特性として無指向なので、2本のメイン・スピーカーとそれほど離さなければ問題ありません。ただし、かなり振動するので、付属の着脱可能なスパイクを取り付けて防振対策をしましょう。

立体的で広がりのあるサウンドで
ハイエンドの伸びが印象的


ここからは本機の音に関しての印象を紹介していきます。実際に使用してみて、まず驚いたのは音の立体感。音のツブがはっきりと見えます。小型のモニターでは見えづらいベースの輪郭なども、これでもかというくらいに聴きとることができるのです。音の空気感をここまで感じられるとは正直驚きました。ハイエンドがすごく伸びており、とても気持ちいいのです。NS-10Mや筆者が使い慣れているMACKIE.HR824などのモデルとはまさに対象的で、広がりを重視したであろうサウンドを基本としている本機はサラウンド・スピーカー・システムを幾つも作り上げている同社の実績がうかがえます。離れたところで聴いても、すごく立体感が感じられるのです。5.1chで使用することを想像すると、ものすごくコンパクトなのにもかかわらず、素晴らしい音場を期待できそうです。ただ、先述のモニター・スピーカーと比較すると曲のしんの部分が若干引っ込んでいるようです。それは歌だったり、楽曲にもよりますが、ロックなどで曲の勢いを感じさせる部分です。これはサラウンドで使用したときのための意図的な部分なのでしょうが、ハードな音作りをしている人はちょっと物足りないかもしれません。言うなれば広い部屋で高級オーディオをワインでも飲みながら……といった雰囲気を感じさせ、生音を重視したものや、ゲーム・ミュージックのような三次元的な楽曲制作でポテンシャルを発揮しそうです。これはもう次世代というか、違う楽しみ方のできる製品といった印象です。サラウンドと言えば同社のSky System Oneというモニター・スピーカーがTHX pm3認証というサラウンド・プロダクションにおける最も高い基準を取得しており、5.1サラウンド用モニター・スピーカーとして定評を獲得しています。例えばあのルーカス・フィルム、スカイ・ウォーカー・サウンドには同社の製品が50セット以上導入されているそうです。本機は2.1chでの使用はもちろん、価格的にもサラウンド環境の構築を視野に入れている、音にこだわる方にもうってつけの製品だと思います。
BLUE SKY
Media Desk 2.1 System
オープン・プライス(市場予想価格:99,750円)

SPECIFICATIONS

■タイプ/2ウェイ完全密閉型パワード・モニター
■スピーカー構成/25mmソフト・ドーム・ネオジウム・ツィーター(HF)、102mmネオジウム半球体ドライバー(LF)
■周波数特性/110Hz〜20kHz(±3dB)
■クロスオーバー周波数/110Hz、2kHz
■アンプ出力/60W
■外形寸法/158(W)×241(H)×158(D)mm
■重量/2.3kg(1本)
【サブウーファー】
■タイプ/1ウェイ完全密閉型パワード・モニター
■スピーカー構成/203mmペーパー・コーン
■周波数特性/35Hz〜110Hz(±3dB)
■クロスオーバー周波数/110Hz
■アンプ出力/60W
■外形寸法/355(W)×406(H)×381(D)mm
■重量/20.4kg(1本)