4段階のインジケーターを使用し操作性に優れたデジタル・エフェクター

ALESISAkira

皆さん、こんにちは。on button downというポップス・ユニットを営んでいるコバヤシハジメと申します。今回はADATで知られる名門ALESISが昨年発表した、コンパクト・マルチエフェクターInekoのラック・マウント・モデルAkiraを紹介いたします。この、奇麗なInekoちゃんの頼れる兄貴分Akira君はというと、ラック・マウントになってスリムになると同時に、親切設計もバージョン・アップしています。

ユーザー設定の保存や
MIDIアクセスも可能に


さて、早速サンレコ編集部より送られてきたAkira君を取り出してみると、1Uのスリムな筐体に、レベルとパラメーターを調整するツマミが3個ずつすっきりと配置され、何ともシンプルなルックスです。僕は、機械の威嚇に弱いタイプなんですけど、これなら平気。銀色のボディは黙してその実力を語るってところでしょうか? 余談ですが、ALESISのロゴってカッコいいですよね。よくヒップホップの人が、機材の描いてあるTシャツとか着ててイイなあって思うんですけど、ALESISのTシャツは無いのでしょうか?話が脱線してしまいましたが、それでは、早速自宅のシステムを立ち上げて、ループやシーケンスにAkiraのエフェクトをかけて遊んでみることにします。ボディ裏側の端子群もステレオのIN/OUTとバイパス、MIDI IN/OUTだけと、非常にすっきりしています。エフェクトの選択は、ボディのセンターに、インジケーターに寄り添うようにして鎮座している2個の“VALUE”ボタンをテテテッと押して選択します。プログラムの選択は、もしかするとInekoの上下左右のボタンで操る方が楽かもしれません。これは気の持ちようだと思いますが……。そして、インジケーターに出ている数字がプログラム・ナンバーです。0〜49までがプリセット。50〜99まではユーザーです。プリセットは、おおまかに挙げると、0〜11:REVERB EFFECTS、12〜18:DELAY EFFECTS、 19〜29:PITCH EFFECTS、30〜38:FILTER EFFECTS、39〜43:DISTORTION EFFECTS、44〜49:MISCELLANEOUS EFFECTSという具合にカテゴライズされています。マニュアルを読まなくても、任意のエフェクトをカテゴリーで選んだ後は、その前後のプログラムを試して選んでいけばいいでしょう。エフェクトを選んだら、今度はボディの右側にあるX、Y、Zの3個のツマミでそれらのプログラムのパラメーターを決めていきます。このツマミも、動かすとセンターのインジケーターにパラメーターが00〜99で表示されてすっごく便利です! ユーザー・プログラムで保存もできますが、数字で確認できるところが二重に親切な印象を持ちました。さすが、Mr.ハンコック!(ALESISのディレクター)と同時に、“おい! たった100段階かよ!”とも思いましたけど。あと27段階くらいは付けてほしかった……。個々のエフェクトについては、InekoのLOAD TEST記事中に細かく書いてあるので、そちらを参照してみてください。

効きの良いエフェクトを
ツマミでリアルタイム演奏


早速、音源を鳴らしっぱなしにしながら、ガンガンかけてチェック!チェック! リバーブ系のオーソドックスな感じから、ピッチゲロゲロの変態ブチコワシ系までいろいろ変えられるのでオモシロ〜イ。今回は、自分が過去に発表した作品にかけてみたんですけど、楽曲の印象ががらっと変わって相当面白いです。バースとバースの間のフレーズとかに“これ、かけたかったな〜”と思って少しヘコんだりもしましたが……。個人的にはプログラム・ナンバー39番“RECORD NOISE”が気に入りました。何も入力しなくても勝手に“プチプチ”いってて最高です。41/43番のエグい歪みもいいな〜って思います。あと、僕はマイブラ大好きっ子なんで、リバース・リバーブも外せません。しかし、何と言ってもこのAkiraの真骨頂はFILTER系でしょう。だって、どう考えてもリアルタイムでツマミをグニグニやって、“エフェクターを演奏”する作りじゃないですか。そんなわけで“鉄男〜!”“金田〜!”って叫びながらグニグニしましょう。“楽しー!!”ってなりますよ。もっと大きなツマミなら、なお良いと思うんですけどね。そんな感じで、DJ気分でロックンロール! 夢中で小一時間ほど鳴らしまくってみました。もちろん、普通に楽曲全体を組み立てるためのエフェクトとしても問題なく使えると思います。でも、今後僕が使うとすると、ループにかけてツマミで遊んでいるのを録りっぱなしにして、後でオイシイところをサンプリングし直すとか、楽曲にスパイスが欲しいときに頼っちゃうと思います。ちょっと“ひと味欲しい”ってときにね。僕は根がギタリストなんでアレですけど、DJの人はInekoをターンテーブルの隣に、トラック・メーカーはAkiraがラックの中に1個置いてある、というのが理想的なんじゃないでしょうか。AkiraにMIDI端子が付いているのもそういう理由なんだと思います。現在、世間的にはデスクトップで全部作れちゃうのが当たり前で、エフェクトも基本的にはプラグインですよね。でも、リバーブが欲しいときにはテープ・エコーをかけたりもするし、個人的には単体のエフェクターは楽器っぽさがあった方が面白いと思うんですよね。そういう製品の方が自由な使い方がしやすいというか。それで、ビックリするような音が出たらラッキーですもんね(僕は何にでもギター用のコンパクト・エフェクターをかけちゃうので、その考え方が顕著なのかもしれませんが……)。そんなわけで、このAkiraが御家庭やスタジオに1台あると、何かと便利だと思います。マルチエフェクターというイメージにとらわれず、“絶対どこかで使えるから買っとけ”というのが僕のAkiraへの感想その1です。感想その2は、値段もお手ごろですし、すごく操作が簡単なので、“エフェクターを買うのは初めてです”って人にこそ超オススメかも! 大概の機能は入っていますしね。これに物足りなくなったら、次のステップに進みましょう。
ALESIS
Akira
45,000円

SPECIFICATIONS

■入出力端子/フォーン×2(ステレオ)、MIDI IN/OUT、バイパス
■最大入力レベル/+20dBu
■歪率/0.006%@1kHz
■S/N/103dB
■周波数特性/22Hz〜22kHz(±0.5db)
■AD/DA/24ビット/48kHz
■信号処理レート/28ビットALESIS DSP
■外形寸法/483(W)×45(H)×127(D)mm
■重量/1.6kg